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2018.03.27

[書評] 回避性愛着障害(岡田尊司)

 自分、60歳にもなって人生擦り切れてきているわけで、おかげで将来の夢も不安もない。人生悩んでいても、そもそも生きられる時間がたいしてないうえに、老化は急に止まらない状態なんで、心の悩みとかあったとしても、そもそも意味がない、はずなのだが、ある。この歳こいて、けっこう日々内面が苦しい。成人した子供もいるというのに、自分の内面に子供期の母子関係の失敗が今も心に影響しているという実感がある。つらい。笑えるほどつらい。

 なんだろうか。難病は抱えているとはいえ、肢体に問題ないのだが(腰や足が痛いとか別として)、なんだか気が付いたら左足がないといったふうな身体欠損のように、心のある大切な部分がごっそりないぞ、俺は、という感じがしばしばする。
 こうしたものに向き合っても、なんもないというのが我が人生の結論でもあるのだが、それでも最近、「愛着障害」というのが気になって、本書『回避性愛着障害』(参照)を読んでみた。
 まあ、それだ。本書副題にあるように「絆が希薄な人たち」に自分は入る。リアルな人間の関係から回避して生きているのが俺だ。まさに、回避性愛着障害である。どうでもいいが、「かいひせい」って入力すると「会費制」が出てくるのはいいな。
 で、ま、こういうと失笑を買うのはわかっているが、我ながらSNSが好きではない。しかたなくフェースブックにも登録したが、使ってない。のわりに、ツイッター廃人でもあるが、これも本書に指摘のあるとおり。《リアルの関係と、ネットワークの関係は、一見、同じように見えても、そこには決定的な違いがある。》 そりゃな。

 そのために、まずやるべきことは、パソコンやケータイの画面との接触時間を短くすることである。一日一時間くらいに抑え、メールのチェックも一日一~二回時間を決め、そのときだけ返事を書くようにする。メル友には、その旨を通知しておけばいい。メールの奴隷のような生活を脱しよう。

 どうでもいいけど、この本、いつの本? 2013年。すでにラインとかツイッターとかあったんじゃないかというか、まだそこまでSNS病が蔓延している時代でもなかったか、5年前。
 いずれにせよ、ネットを介した人間関係というのは、人間関係の偽物のようなものだろうし、まさに、リアルからの回避行動でツイッターとかしているのだろう。と、ふと思い出したが、昨年の今頃、ツイッター数か月止めてたし、ブログも半年くらいお休みだったか。まあ、どうでもいいけど。
 問題は愛着障害だ。どうしたらいいんだよ。基本は二つだろうか。一つは、シェルターというか「安全地帯」になるような人間関係を構築しなおすこと。自分についていえば、けっこうあるにはあるか。ただ、それを広げていくというのはできそうにはないな。二つ目は、コミットメント。人生から逃げないと決意する、面倒なことから避けない、というのだ。それもある程度はしているか。

 本当に必要なことは、不安や恐れから逃げることではなく、それに敢えて自らをさらし、それに立ち向かっていくことではないか。不安や恐れを抱えて生きるということが、生きるということだとしたら、不安や恐れから逃れようとしたとき、人は自分の人生からも逃げてしまうことになってしまう。

 そうかもしれないけど、それもまた、なんというか、空回りで満身創痍になってしまうものだしなあ。
 本書は、そういうふうに斜に構えて読むと、お説教本のようにもなってしまうが、こてこてと書かれている文章はカウンセリングでも受けているような気分になるし、なにより、こりゃ自分は愛着障害なんだからなあというのは自覚が進む。また、回避性愛着障害をもってたような文学者や著名人などのエピソードも面白い。著者の学生時代のフランス語授業の話も面白い。そこだけ小説であっても、読みたいぞ。
 さーて、どうしたものかなあ。


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