河野外相が逃げてはならないこと
Japan In-depth / 2018年3月31日 1時23分
島田洋一(福井県立大学教授)
「島田洋一の国際政治力」
【まとめ】
・強制連行を認めた“河野談話”は国益を害し続けている。
・河野太郎氏は父の“河野談話”について常にはぐらかしてきた。
・河野太郎氏は一刻も早く河野談話「修正版」を引き出さねばならない。
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慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話(1993年8月4日)は、日本外交に亡霊のように付きまとい、国益を害し続けている。特に談話発表の記者会見で、「強制連行を認めたのか」と問われて、「それで結構です」と答えた行為には弁解の余地がない。
▲写真 河野洋平氏 出典 Presidential Press and Information Office
3月28日、衆議院外務委員会において杉田水脈議員(自民党)が、その点について改めて河野太郎外相の見解を尋ねた。ところが河野氏は資料に目を落としたまま答えようとせず、代わって立った外務省参事官の「過去に安倍首相が、河野官房長官が何を考えて発言したのか承知しないと答弁している」という趣旨の答弁をただ無表情に聞いていた。堂々たる態度とはおよそ言い難い。
▲写真 杉田水脈議員 出典 Facebook
▲写真 河野太郎外相 出典 Twitter
河野氏は安倍「地球俯瞰」外交の先兵を自認して世界を飛び回っている。その労は多としたい。空港での待ち時間が惜しいから外相専用機が欲しいという要望もそれなりに理解できる。
しかし河野氏には、華やかな外遊の前に日本でなすべき事、河野氏にしかできない仕事があるだろう。それは父である洋平氏を説得し、河野談話の「修正版」を出させることだ。
河野太郎氏は従来、河野談話について聞かれると、「それは別の河野さんの話でしょ」等とはぐらかすのを常としてきた。しかしそれは無責任だろう。河野家というブランドにも助けられて政界入りした以上、「父と自分は別人格。知りません」では済まない。
父の住居を訪ねて膝詰め談判を行い、「日本軍は慰安婦を強制連行していない。性奴隷という表現は間違っている。記者会見での発言は舌足らずだった」との言葉を洋平氏自身が公に発するよう、「言わないならここで刺し違える」くらいの気迫で押すべきだろう。1937年生まれの洋平氏に残された時間は、常識的に見て少ない。
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