「Jリーグが大好きだと言ってはばからない方は、船橋アリーナに千葉ジェッツの試合を観に行くのはやめておいた方がいいかも知れない」
B.LEAGUEの中でも船橋アリーナをホームとする千葉ジェッツが毎回5,000人規模の観客を集めていることは勿論知っていた。
そして、その実態がどういったものであるのか、それを確認してみたくなって1月の末にチケットを入手した。2月からはDAZNでもB.LEAGUEの試合が見られるようになり、その存在は私の中でより身近なものとなっていった。
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千葉ジェッツの試合を観に船橋アリーナへ
日本のバスケットボールの実力は、サッカーとは比べものにならないほど世界の頂点からは大きく引き離されている。いや、引き離されているというよりも、まるで違うスポーツであるかのような「どうしようもないギャップ」が存在するといったほうがいいかも知れない。
実際バスケの日本代表は、現在行われているワールドカップのアジア一次予選ですら未だ未勝利なので、厳密に言えば日本代表がバスケットボールで勝利出来る相手は世界のどこにもいないのも同然だとも言える。
しかし、そんな日本代表チームの状況などどこ吹く風、B.LEAGUEの観客数は増加の一途をたどっており、この日の船橋アリーナもほぼ満員で5,150人もの観客が集まった。
私自身、初めてのB.LEAGUE、初めての船橋アリーナになったわけだが、千葉ジェッツ人気の理由がどこにあるのか。普段サッカー場にばかり行っている人間の視点で、少し考えてみたい。
千葉ジェッツの試合を観に行って感じた「人気の理由」
最寄駅からの導線案内が丁寧
私は今回船橋アリーナへ行くにあたって、新京成の北習志野駅から臨時直行バスを利用するルートを使った。Jリーグの試合であれば大抵は電車に乗っている段階からユニフォーム姿のサポーターが目につく。そのサポーターの波に乗って行けばスタジアムまで辿り着くというのは良くある話だが、北習志野駅に到着しても「それらしい」人は皆無といっていい。しかし、それを補うようにして駅構内から非常に丁寧な導線案内の表示がされていることに感心した。あれだけはっきりと表示されていれば、初めて船橋アリーナへ行く人でもほぼ迷うことはないはずだ。
無料で赤いTシャツを配布している
千葉ジェッツのホームゲームと言えば、スタンドを埋めた真っ赤なTシャツが非常に印象に残る光景だが、この日船橋アリーナでは少なくとも1F席にいた観客全員に赤いTシャツが配られていた。そのTシャツは今回の対栃木ブレックス戦特別仕様のもので、栃木ブレックスのファンも非常に嬉しそうに受け取っていた。それをすぐに身につける人もいれば、そのままカバンにしまってお土産にする人もおり、柏レイソルのホーム日立台でスタンド全体を黄色くする為に黄色いビニールビブスが半ば強制的に配布されているのとはかなり風情が違っていた。
物販が非常に充実している
千葉ジェッツの関連グッズはもちろん、関連書籍の販売、Jリーグでいうところの「スタグル」つまり飲食も非常に充実していた。また生ビールの売り子もスタンドに回ってきてくれるので、ビールを飲みながら観戦をしている人も非常に多かった。ちなみにビジターである栃木ブレックスのグッズ販売ブースもそれなりの大きさで用意されていた。
託児所がある
Jリーグのスタジアムでも託児機能を有しているところもあるが、船橋アリーナではこれが非常に分かりやすく案内されている。また、スタンドのすぐ裏側に子どもが遊べるスペースも準備されており、ベビーカーを置くスペースも十分に確保されていた。これだけ配慮されていれば小さい子どもがいる家庭であっても比較的躊躇することなくアリーナへ来ることが出来そうだ。
綺麗にしている女性が多い
誤解を招く言葉になってしまうかも知れないが、私が今回の「初船橋アリーナ」で最も大きな衝撃を受けたのは、実はこのポイントだ。
室内で行われるアリーナスポーツという点も多分に影響しているのだろうが、サッカー場と比べて明らかに「綺麗にしている女性」が多い。注意して欲しいのは「綺麗な女性」ではなく「綺麗にしている女性」だ。つまり、彼女たちはこの試合が終わったあと、そのままデートに行ってもおかしくないような服装をしているのだ。これは何も女性に限った話ではなく、若い男性の中にはガチガチに決めている人も多く見ることが出来た。こうした身なりの人たちは日立台でほとんど見ることのない客層。彼らは試合の時だけお洒落着の上に赤いTシャツを着て、試合が終われば直ぐにそれを脱ぐ。「スポーツ観戦だけで終わらない週末」を実現するスタイルがそこにあった。
それも含めて女性客が多い
先に「綺麗にしている女性」について触れたが、そうしたお洒落女子も含めて女性客の多さも非常に印象的だった。女性同士で来場しているファンもいるし、子どもを連れて来ている母親らしき女性も多い、Jリーグの観客における女性比率は約35%程度と言われているが、今回の試合の印象ではB.LEAGUEはこれが全く逆転していて男性比率が35%くらいなのではないかと思うほどだった。
アリーナにいる間、ひと時も飽きさせない演出
Jリーグのスタジアムではそれぞれの観客がそれぞれの楽しみ方で、試合前から試合中、ハーフタイムから試合終了後までを過ごしているように思うし、そこにどれだけ多くの楽しみ方を見つけられるかがファンやサポーターの「能力」の違いだとも思ってきたが、B.LEAGUEでは観客の側に「楽しみを見いだす努力」を求めることはしない。アリーナの中にいれば絶えず何かしらの演出が提供される。そうした演出の中ではチアリーダーの存在、チームマスコットの存在も大きいが、何といってもアリーナDJの力が大きい。アリーナDJは試合中は勿論、試合前も試合後も観客を1つにまとめてしまう力を持っている。これはFリーグのようにアリーナを使って行うリーグであればすぐにでも真似するべき演出方法だ。
試合への「参加」が簡単
Jリーグの場合「試合の中でどこが盛り上がるポイントか分かりづらい」というビギナーファンの声をよく聞く。しかしB.LEAGUEの場合そんな心配は無用だ。その競技性もあってバスケットボールは「攻守」の切り替えがサッカーよりも明確。そのため攻撃時は「GO! ジェッツ!」と連呼すればいいし、守備時は「ディーフェンス!」と連呼すればいい。この「試合参加」のシンプルさもあってアリーナの中では応援の声が絶え間なく響きわたっていた。
JリーグにとってB.LEAGUEは「ライバルか?お手本か?」
こうして思いつくままに書き連ねてみたが、実際はこの程度の文章ボリュームでは収まりきらないほどの衝撃を私は今回のB.LEAGUE観戦で受けてきた。
私はバスケットボールというスポーツに対する知識はほとんどないので、その競技性についての言及は出来ないが、彼らが世界的に見れば「取るに足らない」選手達であることぐらいが理解できる。それでも、船橋アリーナには週末をB.LEAGUEで過ごしたいという人たちがこれだけ沢山集まってくる。今回の栃木ブレックス戦は土日ともにチケットは完売だそうなので、2日間で10,000人以上の観客が集まることになる。そうなると、柏レイソルの日立台にとってもジェフのフクアリにとっても「強力なライバル」が出現したと言えるだろう。
そして何よりも、この日の船橋アリーナでは試合終了後にも観客全体から「充実感」が強く感じられた。千葉ジェッツが終盤に猛追され、大逆転された後「勝利を取り逃した」のにである。
B.LEAGUEが仮に勝っても負けても「楽しい」と感じさせるプロスポーツであるのなら、Jリーグはいよいよピンチである。負ける度に選手にブーイングを浴びせ、笑顔を見せずにスタジアムを後にするサポーターたちの顔には「新しいファン」を呼び込む力はない。
「Jリーグが大好きだと言ってはばからない方は、船橋アリーナに千葉ジェッツの試合を観に行くのはやめておいた方がいいかも知れない」
これはもちろん逆説的な意図で発している言葉ではあるものの、もしかしたら私の正直な気持ちなのかも知れない。少なくとも私は船橋アリーナへ行ったことで、Jリーグの在り方、サッカー界の在り方に若干自信を喪失しかかっている。
ただその一方で、プロスポーツの新しい在り方を体感出来たのは本当に良い経験だった。出来れば今シーズン中(5月初めまで)にもう一度必ず船橋アリーナへ行ってみたい。
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