次の「株価大暴落」に、50歳以下はどう備えるべきか?
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株式市場の調整(あるいは暴落)はまたいずれ、起こります。読者のみなさんもそれに備えておくべきです。
「調整や下落は、株式市場のエコシステム全体の一部です」と、ETF(上場投資信託)プロバイダーのPacer ETFsでプレジデントをつとめるSean O’Hara氏は指摘します。
あなたの年齢がいくつであれ、しっかりと状況を見極めて生きるべきです。
それではさっそく、押さえておくべきポイントを年齢別にご紹介していきます。
60歳未満の人の場合…
問題ありません。「若い人ほど、調整や下落を心配する必要はないでしょう」とO’Hara氏は言います。
ようするに、特価で株を買えるチャンスと考えれば良いでしょう。特に、あまり積極的に管理していない職場のリタイアメントアカウント(退職金積立口座)を通して自動的に投資している方の場合、値段が下がっている時に株を買うべきです。
「ほしいものが特価で売り出されたら、普通、私たちはよろこびますよね。ところが株の場合、値段が下がると、これはまずいと思ってしまうのです」とO’Hara氏は言います。
このような短期の下落は、むしろチャンスとみなすべきです。
金融教育プログラムを提供するMarket Traders Instituteで、シニア市場アナリストをつとめるKevin Dixon氏は、おもに401(k)(確定拠出年金)を通して投資を行っている若い人に向けて、401(k)のとらえ方として、損失を出している取引口座と考えてはダメと言っています。
そうではなく、一時的な下落を利用して安値で株を買う貯蓄ととらえるのです。
これは、ドルコスト平均法というコンセプトです。価格が上がっている時も、下がっている時も、同じように買います。
歴史的に見ても、下げ相場が続くのは2年未満です。一方、上げ相場はそれよりもずっと長く続きます。「市場が崩壊しはじめたら、その株価の変動は、7~10年に一度しか訪れないチャンスです」とDixon氏は言います。
自分がコントロールできることに集中しましょう。個人の資産管理をサポートするWebサイト「NerdWallet」の投資・リタイアメント専門家 Andrea Coombes氏は、負債があればきちんと返済し、緊急時のための資金をつくっておいてから、投資目標に集中して取り組むようアドバイスしています。
退職が20年以上先の方は、市場の長期的な成長の力を利用して、その目標の達成を目指すことを考えてみてください。
そして何よりも、決断をする際には、感情の影響を受けないようにしないといけません。
「行動から人間らしさを切り離すことはできません。私たちは誰もが感情を持っています。誰もが恐怖を感じるものだし、それを避けることはできません」とO’Hara氏は語ります。
ただし、恐怖に行動を支配されてしまうと、誤った決断を下してしまいます。
退職が近い人の場合…
こちらのケースは少し厄介です。60歳前後の人や、5年以内に退職したいと思っている人の場合、「こうした下げ相場の状況で収入を得ようとすると、とても面倒なことになります」とO’Hara氏は言います。
「あと数年で退職を迎える方の場合、退職後の蓄えは目標額にかなり近づいているはずです。この段階では、最大限のリターンを得ることよりも、損をしないことのほうが重要です」とリタイアメントプランニング会社のYour Money MattersでプランナーをつとめるMichael Dinich氏は述べます。
『The Last Chance Millionaire: It's Not Too Late to Become Wealthy(最後のチャンスで億万長者に:今からでも富は築ける)』と『Millionaire by Thirty: The Quickest Path to Early Financial Independence(30歳までに億万長者に:若くして経済的に自立する一番の近道)』の著者であるDoug Andrew氏は、流動性資産を考慮に入れるべきと指摘します。つまり、お金がもっとも必要な時に、すぐに使えるようにしておかなければいけないということです。
すぐ必要な時に、電信送金や電話1本で動かせるお金がありますか?」とAndrew氏は尋ねます。「流動性をないがしろにしている投資家が多すぎます。利益率と比べて、3つも4つも低い優先順位しか与えていない人もいます。私に言わせると、流動性が一番大事です。
そんなわけで、資産配分の調整を考えて、配当などの代替手段を検討してみてはいかがでしょうか。Dixon氏のお気に入りの1つは「REIT(不動産投資信託)」です。
市場が問題なく動いているあいだは、毎月、配当で収入が得られます」と同氏。「配当収入は賢い方法です。ポートフォリオを多様化しておけば、株を所有しているだけで、確実にお金が入ってくるのですから。
それから、外国株の保有も忘れてはいけません。「株式市場は1つだけではありません。アメリカ国外に株式投資のチャンスが転がっている場合もあります」とO’Hara氏は指摘します。
ポートフォリオを眺めて、十分なお金をアメリカ国外にも振り分けているか自問してみてください。リスクを下げる十分な努力をしていますか?
とはいうものの、「110(または100)-あなたの年齢=ポートフォリオに組み込むべき株式の割合(%)」という資産配分の方程式は現状に合わないかもしれない、とO’Hara氏は言っています。人の寿命はのびています。ということは、退職後の生活が20~25年(あるいはそれ以上)続くかもしれないのです。十分に高いリターンを得られなかったせいで、資金不足に陥るような事態は避けなければなりません。
この機会に、全体的な資産計画と短期の投資目標を見直してみてはいかがでしょうか。「短期目標に向けて投資を行っている方は、今が株式市場から撤退しはじめる潮時かもしれません。3年以内にお金が必要になりそうなら、そのお金を株に投資すべきではありません」とNerdWalletのCoombes氏は言っています。
Image: Bro Crock/Shutterstock.com
Source: Pacer ETFs, Market Traders, Forbes, NerdWallet, Investor
Alicia Adamczyk - Lifehacker US[原文]
訳:阪本博希/ガリレオ