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【医師監修】赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の6つの症状と予防法

【医師監修】赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の6つの症状と予防法

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎かどうか心配するママは大勢いらっしゃいます。ブツブツができるとネットで画像を検索したり・・・。「初期症状は?」、「薬で治るの?」、「遺伝する?」など、今回は、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の特徴や原因、保湿剤や日焼け止めによるケア&予防法、治療法についてお伝えします。


この記事の監修ドクター
秋葉原スキンクリニック 堀内祐紀先生
東京女子医科大学出身。東京女子医科大学病院、都内美容皮膚科クリニック勤務を経て、2007年4月に同院を開院。
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赤ちゃんに多いアトピー性皮膚炎とは?

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アトピー性皮膚炎とは、アレルギーや皮膚バリアの機能の低下によって引き起こされる、かゆみや湿疹など皮膚の炎症を伴う皮膚病の一つです。
アトピー性皮膚炎は、日本では比較的新しい病気だと思われていますが、実はその歴史は古く、なんと帝政ローマ時代にさかのぼります。これまで、アトピー性皮膚炎は乳幼児だけの病気で、発症しても成人するまでには治るものと考えられていましたが、現在では大人でもアトピー性皮膚炎である人は数多くいます。

このアトピー性皮膚炎の名前に使われている“アトピー”という言葉は、ギリシャ語で「atopos(アトポス)」“奇妙な”“この世に存在しないもの”“見慣れない”などといった意味に由来し、英語では“atopic dermatitis”と呼ばれています。

1923年、ぜんそくの研究をしていたアメリカのコーネル大学の学者であるコカとクッケが、血液中にアレルギーを起こす特殊な抗体(レアギン)を発見し、その正体が分からなかったことから“アトピー”という言葉を名付けました。そしてその後、1933年にアメリカの皮膚科医であるザルツバーガーがこの“アトピー”という言葉と皮膚炎を併せて、「アトピー性皮膚炎」と名付けられました。

アトピー性皮膚炎を発症した赤ちゃんの特徴6つ

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赤ちゃんに現れるアトピー性皮膚炎は、乳児アトピー性皮膚炎といわれています。出生間もなくの頃から生後1〜2ヶ月くらいに頭や顔にできる湿疹は、乳児湿疹または乳児脂漏性(しろうせい)湿疹で、アトピー性皮膚炎とは異なります。この湿疹は数カ月ほどで軽快し、5ヵ月から1歳になる頃にはほとんど見られません。乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は症状も似ていることが多いため、赤ちゃんに湿疹ができてすぐには、どちらであるかどうか非常に判断がつきにくいものです。

初期症状を画像でチェック

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎が気になる時は、ブログや専門サイトなどで初期症状をチェックしてみて下さい。初期症状は個人差がありますが、ほとんどの場合、皮膚がカサカサと乾き、赤く炎症を起こすのが特徴です。アトピーの疑いがある時は、特徴に該当するかどうか最初は様子を観察します。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は以下にあげるような特徴があります。

1)湿疹が2ヵ月以上続く

湿疹が一度できると良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、2ヵ月以上続きます。

2)顔や頭以外にも湿疹ができる

アトピー性皮膚炎と似たような症状がある乳児湿疹は、主に顔や頭に湿疹ができますが、アトピー性皮膚炎は、顔や頭以外にも首、胸、耳たぶ、耳の裏側、肘や膝などの、日常生活の何気ない行動での皮膚が擦れや、皮膚のバリアが比較的弱い箇所に湿疹ができます。

3)湿疹の症状が様々である

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状は、ジュクジュクした発疹が多く見られます。皮膚や耳が切れる、頭に黄色いカサブタができる、掻きこわすしによる傷なども多く見られます。

4)“食物アレルギー”にも注意が必要

アトピー性皮膚炎が疑われる赤ちゃんは食物アレルギーにも注意が必要です。食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因にはならない。と現在のところ考えられているのですが、逆にアトピー性皮膚炎はアレルギーの原因になる場合があるのです。

血液検査をすると、まだ食べたことのない食べ物に対して陽性反応がでる赤ちゃんがいます。それは、バリア機能が低い皮膚表面から、アレルゲンが侵入して感作されてしまうためだとされています。

5)アトピー性皮膚炎の家族から遺伝することも

アトピー性皮膚炎になってしまうには、一つの原因からではなく、様々な原因から起こるものだと考えられていますが、遺伝の場合もあります。全てに限りませんが、父親か母親がアトピー性皮膚炎であれば、子供も同じアトピー性皮膚炎になる可能性があるといえます。

6)2歳頃までに症状がよくなる

個人差はありますが、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状は、1歳半から2歳頃までには、大半が軽快もしくは治癒するといわれています。

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎を発症する原因は13個も!

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アトピー性皮膚炎のはっきりとした原因は、現在の所分かっておりません。アトピー性皮膚炎の原因だと断定できるものはなく、皮膚のバリア機能や免疫関連などの「遺伝的要因」、体質や環境などによる「環境要因」、症状を悪化させてしまう「増悪要因」など、様々な原因が重なることで引き起こされると考えられています。

1)皮膚のバリア機能の低下

人間の皮膚は皮脂膜、角質細胞、セラミドなどからなる角質細胞間脂質やアミノ酸からなる天然保湿因子と呼ばれる保湿成分によりバリアを作っています。この皮膚のバリア機能を働かせることで、皮膚にある水分をキープし、外部の刺激から皮膚を守っています。しかし、このバリア機能が低下すると、皮膚はもろく、乾燥し、そこへお肌の炎症を起こす原因となるダニやカビなどのアレルゲン、汗や細菌、化学物質などの刺激物が入り込み、アトピー性皮膚炎の悪化につながってしまいます。

2)アトピー素因

人間の身体は、体内に異物すなわちアレルゲン(または抗原)が入ってくると抗体を作ることで、異物を取り除こうとする免疫の働きがあります。この時、抗体が過剰に作られ、免疫が過度に働いてしまうことをアレルギー反応といいます。アレルギー反応を起こしやすい体質の赤ちゃんは、アレルゲンに対して反応しやすく、肌に炎症を起こしアトピー性皮膚炎になる可能性が高いといえます。

3)アレルゲンを含んでいる食べ物

大人になると食べ物が原因でアトピー性皮膚炎になることはほとんどありません。しかし、消化器機能が未熟な乳幼児は、アトピー性皮膚炎を引き起こすアレルゲンに反応しやすく、特に卵に含まれる卵白に注意が必要だといわれています。これ以外にも、アレルゲンを含む食品として、牛乳、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、大豆、豆腐や味噌などの大豆製品、米、小麦、エビ、カニ、サバや鮭などの魚、そばなども注意が必要です。消化器機能が発達していくにつれ、食べ物による反応は徐々に少なくなり、ほとんどの場合3歳頃から小学校入学までには症状も出なくなります。

【医師監修】赤ちゃんが食物アレルギー反応を起こす原因と症状

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食事の後、気がつくと赤ちゃんの皮膚に湿疹ができている!、そんな経験はありませんか? 今では約10人に1人の赤ちゃんが、食物アレルギーだといわれています。今回は食物アレルギーの原因と症状にはどんなものがあるのか、食物アレルギーの治療法についてもご紹介します。

4)ハウスダスト・ダ二

ハウスダストに含まれるダ二やダ二の死骸、ダ二の糞もアトピー性皮膚炎の悪化原因です。人間の身体は、自分の以外のタンパク質が体内に入ってくるとそれから守ろうと反応します。ダ二の体はタンパク質でできているため、ダ二やダ二の死骸が含まれているハウスダストを吸ってしまうと、それがきっかけで赤ちゃんがアトピー性皮膚炎を発症することもあります。

5)カビ

カビの中に含まれるピティロスポルム(マラセチア)という菌が赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の原因になることもあります。カビの菌が皮膚に付着することで、皮膚に炎症を起こしてしまいます。アトピー性皮膚炎の疾患があるおよそ3割の人から病原性のカビ(白癬菌・カンジダ・クラドスポリウム)が検出されたという調査結果もあります。

6)細菌

もともと、人間の皮膚には常在菌により守られています。この常在菌には表皮ブドウ球菌やミクロコッカス、アクネ菌などがあり、これらが皮膚を弱酸性に保ち、皮膚のバリア機能を発揮させます。この常在菌のバランスが崩れると病原性のある細菌が増殖してしまいます。最近の研究により、アトピー性皮膚炎は病原性のある黄色ブドウ球菌などの一時的な増加により悪化することが発見されました。

7)花粉

アトピー性皮膚炎と花粉症は同じ抗体が関わっていて、スギ、イネ、ブタクサなどの花粉に対するアレルギー反応により、アトピー性皮膚炎の症状が出ることもあります。また、アトピー性皮膚炎の疾患を持つ人のうち、およそ4割の人が、花粉が原因で引き起こされるアレルギー性鼻炎を併発しているともいわれています。

8)化学物質による刺激

防腐剤、消毒剤、防ダニ、抗菌グッズなどに含まれる化学物質が、人間の身体を守ってくれる免疫細胞までも破壊し、そして皮膚がこの免疫細胞を治そうとすることで、皮膚に炎症が起こります。化学物質を含む食品添加物も赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の原因になります。

9)ペット

赤ちゃんとペットを同じ空間で生活させる時は注意が必要です。動物の毛には、アレルギーを引き起こすタンパク質が含まれています。ペットとして人気のある犬、猫、ウサギ、ハムスターなどは、毛が多くあるのでアトピー性皮膚炎の疾患がある場合は、飼うのを控えたほうがいいでしょう。また、ペットの毛だけではなく、ペットの排泄物やフケ、ダ二もアトピー性皮膚炎の原因になります。

10)衣服などによる肌の摩擦

日常生活において歩いたり、座ったりといった何気ない行動で、衣服は摩擦を起こし、それによりお肌はダメージを受けます。衣服に使われている化学繊維が直接お肌に触れることで、皮膚に炎症を起こしてしまうこともあります。敏感な赤ちゃんの皮膚は、ちょっと服が擦れるだけでも刺激を受けてしまう恐れがあります。

11)空気の乾燥や気温の変化

春や秋などの季節の変わり目は朝夕と気温の変化が激しいもの。お肌は急激な気温の変化に適応できません。それに加え、空気が乾燥しているとお肌も潤いを失い、皮膚は外からのダメージを受けやすく、お肌を守ることができなくなります。元々赤ちゃんの肌はデリケートなので、湿度や気温に配慮してあげる必要があります。

12)汗をかくことによるもの

汗の成分が皮膚へ刺激を与えるだけではなく、汗をかくことによりお肌を乾燥させてしまうこともあります。汗をかいたままの状態でいたり、また、あせもなどが痒いからといって皮膚をかいてばかりいると皮膚がダメージを受けて、炎症を起こしてしまいます。

13)過労・ストレス

過労やストレスもアトピー性皮膚炎の原因の一つです。「赤ちゃんがストレスを感じる!?」と驚かれるかも知れませんが、何歳になっても人間の身体はメンタルな部分から影響を受けやすく、乳幼児よりも大人の方が、過労やストレスによりアトピー性皮膚炎を発症する可能性が高いと考えられています。

14)睡眠不足

過労やストレスと同様に、睡眠不足もアトピー性皮膚炎の原因の一つだと考えられています。近年増加している大人のアトピー性皮膚炎は、睡眠不足による影響も大きいといわれています。

治るの?アトピー性皮膚炎の治療方法

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アトピー性皮膚炎の原因や症状は、一つにとどまらず様々。治療法は主に薬による治療が中心です。症状により、処方される薬も異なります。体質の問題なので完治するとは言いにくいものの、成長するにつれて症状がほとんど出なくなるケースも少なくありません。

薬で皮膚の炎症を抑える

■ステロイド外用薬
皮膚がジュクジュクして、かゆみが強い時に塗布することで皮膚の炎症がおさまり、痒みも改善していきます。薬の強さで5段階に分かれてて、症状の強さや部位によって使い分けます。
※ステロイド外用薬は過剰に使用すると、免疫反応が抑えられ、感染症にかかりやすいリスクがあります。医師に指示された使用量を守るようにしましょう。

■免疫抑制外用薬
免疫反応を抑え、皮膚の炎症を改善してくれます。顔や首に症状がある人、症状が軽症から中等症の人などに使われます。

保湿する

アトピー性皮膚炎には何より保湿が大事です。カサカサになってしまったお肌の乾燥を改善するために保湿力のある外用剤が処方されます。保湿をすることで皮膚のバリア機能を上げ、アレルゲンの皮膚への侵入を防ぐ最も重要なスキンケアです。
特に赤ちゃんや乳児期の毎日の保湿ケアは食物アレルギーの予防にも良いとされていますのでしっかりと保湿しましょう。


■尿素軟膏
■白色ワセリン
■亜鉛華軟膏
■ヘパリン類似物質

かゆみやアレルギー反応を抑える

抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬(ザジテン、ケトチフェン、ザイザルなど)
アレルギー反応を抑え、かゆみを緩和させるもの

保湿剤や日焼け止めは予防に効果的?

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は予防できるのでしょうか。アレルギー体質を肉親から遺伝するケースもあるので、完全に予防することはできませんが、対策次第で症状を出にくくすることは可能です。
・バランスの良い食事で栄養の偏りをなくす
・窓をこまめに開け、室内の換気に励む
・寝具など肌が直接触れるものは常に清潔に
・衣類や肌着は皮膚に刺激を与えない素材、デザインを選ぶ
・周りの大人が神経質になり過ぎない
また、アトピー性皮膚炎に紫外線と乾燥は大敵なので、保湿剤や日焼け止めでケアするのもお忘れなく。

まとめ

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赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の初期症状や特徴、原因や予防法、薬による治療法などをお伝えしました。
日頃のセルフケアも大切なのでお肌を常に清潔にして、乾燥させないようきちんと保湿剤でお手入れしてあげましょう。紫外線は大敵なので日焼け止めは年間を通して必要です。
弱酸性などのお肌への刺激が少ない石鹸を選び、アレルゲンを含むものや添加物などを控え、身体や皮膚へのダメージを減らすなど、皮膚が炎症を起こさないよう予防対策に励みましょう。
アトピー性皮膚炎の治療を始めても、すぐに症状が良くなるとは限りません。ただし、症状がずっと続くことも稀です。遺伝も絡んでいるので必ず治るとは断言できませんが、赤ちゃんは月齢と共に免疫力も高まり、お肌も強くなっていくので、自然に症状が出なくなることも。
「アトピーになってしまった」と不安に思うかもしれませんが、あまりナーバスになると赤ちゃんにも伝わってしまいます。いつかは治癒すると信じて、きちんと医師の指示を守って、根気よく治療を続けましょう。

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