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佐川氏が証人喚問で陥った「悪魔の証明」という罠

なぜその証言を信用できないか
大前 治 プロフィール

野党議員にも警鐘を鳴らしたい

野党議員にも警鐘を鳴らしたい。

3月23日と26日に相次いで野党議員が籠池泰典氏(森友学園前理事長)に面会して、その直後に拘置所の出口で会話内容を発表したことに、私は危うさを感じた。

籠池氏の証言は本当に信用できるか。それに全面的に依拠して安倍政権を追及できるだけの価値があるのか。

籠池氏の自白に依りかからず、客観的証拠との整合性から政権を追い詰めることに注力すべきではないか。野党は、足元をすくわれないよう真摯に再検討するべきである。

〔PHOTO〕gettyimages

私が弁護士であるがゆえの心配過剰かもしれないが、黙秘権が保障されている被告人が国会議員による「調査の対象」とされたことにも危惧を覚えた。

籠池氏には「話す権利」もあるが「黙秘する権利」もある。それが事実上侵害される事態が心配である。

しかも、勾留が長期にわたっていることへの批判を打ち消すかのように、「籠池氏は元気そうで、血色もよかった」という国会議員の発言も報道された。

 

面会を終えてすぐに、テレビカメラの前でそんなことを言う国会議員は、一体何のために面会をしたのか。

籠池氏を批判する与党の国会議員が、彼との面会のために行列を作る事態が起きたら、野党議員はそれを批判できるのか。

これは、一般人との自由な面会を認めるか否かの問題ではない。国会議員による調査という名目ならば何をしてもよいのかという問題である。

事実を解明するには、そのための手続の正当性・公正性が求められる。そのことは与野党を問わず全ての国会議員が肝に銘ずるべきである。