2017年、安倍自民党総裁は日本国憲法9条の改正を果たしたいと宣言をしました。
その目的は、現在の項目はそのままに自衛隊を明記する形で第3項を加えるというものです。

これまでも憲法改正、特に9条の改正は幾度も議論に出されつつも立ち消えとなりました。
その中でも、憲法改正に反対、護憲派という面々が声高に「平和憲法を潰すな」と叫び続けたのです。
極端なものだと、自衛隊も軍備を持っているから違憲、即刻解散、武装もすべて捨てろというものもいます。

昨年から頭角を現し、まさに護憲派の嚆矢になりつつあるのが、お笑い芸人ウーマンラッシュアワーの村本大輔です。
彼は昨年のお笑い番組でも左を代表するような時事ネタをテレビで披露しましたが、年明け早々の朝まで生テレビでも出演、下記の発言をしました。


 まず、非武装中立を提言した所で他のパネラーから「もし侵略されたらどうする?」という問いに対して、「侵略されることはあり得ない」と発言しました。
実は、私のいとこも共産党員なのですが、同様の発言をしていました。

すでに北朝鮮が核兵器を作り、中距離、長距離ミサイルも作って日本を攻撃すると挑発しているというのに、なぜあり得ないと言えるのでしょうか?

彼らの反論は必ずこうです。「憲法9条が守ってくれる」と。
その時点で、彼らは法律というものを全く理解していないことに気づくべきでしょう。

憲法は「国内の」法律の中でも一番上に当たる法律であり、様々な法律は憲法に反したものを規定することが出来ません。

しかし、憲法規定される範囲は、あくまでも国内です。日本国憲法なら「日本国」とその国民に対してのみになります。
一方で中国、北朝鮮などの諸外国は日本国憲法の対象外です。いくら前文で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と書いていても、外国がそれを遵守する義務はありません。

つまり、いくら憲法9条を掲げても、何の抑止力にもなりません。「だから何」で終わりです。

結局護憲派と言われる面々は、法律の基本も理解せず、ただただ侵略や攻撃を受けるという可能性を最初から排除して、憲法の議論から逃げ続けていたのです。

その次に村本の発言は呆れたものとなっています。
結局侵略されたらどうするかの問いにこう答えました。
「白旗を揚げる」
「他国に領土を撮られてもいい」
「敵に殺されてもいい」

正直言って、簡単に捨てられるような人生なんて価値などないし、ちっぽけすぎます。

人間は基本的に楽しく幸せに生きたいと願うものです。それを妨害する敵国の攻撃や侵略を忌み嫌い、抗うのが当たり前ではないでしょうか。
日本国憲法には、しっかりと国民の生存権も規定されています。個人でそれを放棄するのは勝手ですが、それを他人に押しつけることは憲法違反です。

さて、問題となる憲法9条の2項にはこう記されています。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

ここで記されている「交戦権」とは、敵基地や戦力を破壊、あるいは兵士を殺害することだけではなく、予防的理由で海上封鎖や臨検、拿捕を行うことなども含まれています。

仮に自衛隊の戦力を自衛権のみに使うと限定しても、交戦権を禁止している場合、敵国が攻撃を始めて領土、領海、国民に被害が及ばないと攻撃が出来ない、というとても限定されたものになります。
つまり予防的措置で敵基地を攻撃することが出来ないのです。

また、アメリカが北朝鮮に対して行っている海上臨検においても、日本が行うことが出来ません。

極端な話、北朝鮮が日本全土を核の炎で全滅できるほどのミサイルを持っていても、それが日本にやってくるまでは指をくわえてみているしかないのです。
これでは国民や一部地域が犠牲になるのは間違いないです。

残念ながら安倍総裁が提案した3項追加にしても、自衛隊が軍備を持っている以上、2項に反することになり、仮に違憲立法審査権が行使され、3項の内容が憲法違反だと判断されれば、結局無効化され、意味のない改正になりかねません。

根本的に日本が敵からの攻撃、侵略に対抗できるようにするには、2項を削除あるいは自衛に関する権利が明文化された内容に改正する必要があるでしょう。
識者においては、9条そのものの削除、改正を唱える人もいます。

いずれにしても、目の前に危機が迫ってやっと国民が改正に前向きになったことは、骨抜きにされてきた日本の戦後教育の根深さを改めて感じることであるとともに、まだまだ人間は愚かなのだというのも実感しています。

そして、70年以上もの間、法的論理をも無視し、根拠もない安全を叫び続けた護憲派の罪はとても重いと感じています。
それに踊らされた村本大輔は、被害者として哀れむ点もあるが、実に愚かだと思います。