トヨタ自動車とスズキは29日、インドでの車両の相互OEM(相手先ブランドによる生産)供給について基本合意したと正式発表した。スズキは現地生産する小型車を、トヨタはハイブリッド車(HV)などを供給する。インドはドイツを抜いて世界4位の市場に浮上している。トヨタはインドで4割超のシェアを握るスズキと組み、成長する市場の開拓を加速する。
スズキがトヨタに小型車「バレーノ」のHVとガソリンエンジン車、多目的スポーツ車(SUV)「ビターラ・ブレッツァ」のディーゼルエンジン車を供給する。トヨタは主力の「カローラ」のHVなどをスズキに供給する。早い車種で2019年春ごろからの供給開始を目指す。
両社は16年秋から協力に向けた協議を本格化させ、昨年2月に包括的な業務提携を結ぶと発表した。昨年11月には20年ごろにトヨタがスズキからインドで生産する電気自動車(EV)を調達することを発表。今回は新たに小型車やHVにもOEMの対象を広げる。
トヨタは10年に新興国戦略車「エティオス」を発売してインドの市場開拓を狙ったが、同国でのシェアは17年で3.5%と低い。コスト競争力の高いスズキの車両を加えることで、市場で主力の小型車をテコ入れする。
スズキはトヨタから「カローラ」のHVなどの供給を受け、エコカーの分野を強化する。インド政府が30年までに3割をEVにする方針を示すなど、同国では環境規制が厳しくなっていた。
両社は同日、「インド政府の推進する『メイク・イン・インディア』を実現し、インドでの環境負荷低減、エネルギーセキュリティにも貢献していく」とのコメントを出した。