安倍晋三首相は29日に開いた経済財政諮問会議で、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化に向けて「取り組みの進捗を評価しつつ、黒字化目標と毎年度の予算編成を結びつける枠組みを検討する」と述べた。6月にまとめる財政健全化計画で、毎年度の社会保障費などの伸びを一定に抑える「目安」を継続することを念頭に置いている。
首相は会議で「公的サービスの産業化やインセンティブ改革など行動の変化を促す取り組みを加速、拡大する」とも指摘。財政健全化に向けて、公的サービスの民営化による行政コストの圧縮や、支出を抑えた自治体への財政支援などの歳出改革への意欲を示した。
PBは税収や税外収入で政策経費をまかなえているかを示す指標。政府は2020年度のPB黒字化を目指してきたが、達成が難しくなったため先送りした。今年6月をめどに新たな達成時期の目標を定める。
日本の社会保障費は高齢者の増加により、何もしなければ年6000億円を超えるペースで増える。16~18年度予算では社会保障費の伸びを年5000億円に抑える目安を設け、実際にこの3年間には医療サービスの公定価格の引き下げや医療費の自己負担の上限引き上げなどを実施。年1500億円前後の歳出を抑制して目安を達成した。