越路吹雪物語 #56[解][字] 2018.03.27
ぜひまたご覧ください。
ぜひぜひ見せていただきます。
今日は色々お忙しい中ね縫っていただいて…。
とんでもない。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
どうも。
私ね思ったのよ。
お時さんは恋をするべきだって。
恋してるわよ。
恋…してるの?誰?誰に?内緒。
何よ教えなさいよ。
内緒。
もうケチなんだから。
ケチで結構。
ねえ私も知ってる人?もういいわよ。
あっ…もしかして杉尾先生?そういえばこの間がん検診行った時に先生お時さんの家にお線香あげに行ったって言ってたわね。
ええ〜!何言ってるのよ。
そりゃあ杉尾先生は素晴らしい方だし感謝してるわよ。
でもそんなわけないでしょ。
じゃあ誰よ?いろいろよ。
いろいろって…そんなにたくさんいるの?一緒に仕事をした作曲家やスタッフの人をいいなあって思う事もあるし道で見かけた人を素敵だなって思う事もあるしその時その時に恋してるって事。
でなきゃこの私が恋の詞なんて書けるわけないわよ。
なんだそういう事か。
つまんない女ですみません。
別につまんないなんて思わないわよ。
そういう事なら私だっていくらでもあるし。
だったらいっそその中の1つでも本当にしちゃいなさいよ。
そうしたらこの先の人生もっと豊かになるかもしれないじゃない。
それは無理。
なんでよ。
私は昔から臆病なの。
年を取ったらなおさらよ。
今さら生身の恋で傷付くなんてもう絶対に御免。
この身が持ちません。
それに本当の恋をしてなくたって私の人生は十分に豊かだわ。
良き仕事に恵まれ。
良き友に恵まれ。
ありがとう心配してくれて。
お時さん…。
これからもよろしくね。
もちろん!もちろんよ!
1970年代に入ると「ドラマチックリサイタル」と銘打ったステージに立ち大好きなエディット・ピアフのその壮絶な生涯を歌で演じきり日本一のエンターテイナーの地位を確固たるものにしたのです
「生きていたいの」「ただ命の限りあたしは愛したい」「命の限りにあなたを愛するの」「頬と頬よせ燃えるくちづけ」「交わすよろこび」「あなたと二人で暮せるものなら」「なんにもいらない」
(郷ひろみ)「君たち女の子僕たち男の子」
一方の時子も作詞家として相変わらずの活躍ぶりで大人の歌手から若いアイドルまで多くの歌手に詞を提供し数々のヒット曲を生み出していました
(スタッフ)ああよかった先生お捜ししてたんですよ。
何か問題ですか?いえ。
実はうちの社長がこのあとぜひ先生にごちそうさせて頂きたいと申しておりまして。
ああごめんなさい。
私このあと越路の現場に行かなきゃならなくて。
どんなに偉い作詞家の先生になっても時子はやっぱりコーちゃんのマネジャーなのでした
よいしょ。
はい。
ありがとう。
どういたしまして。
ねえ。
何?私の芝居どう思う?どうって…。
頑張ってると思うわよ。
そう?どうしたの?いきなり。
別に何ってわけじゃないんだけどね…。
まあいいかお時さんが頑張ってるって思ってるなら。
ちょっと何よ気になるじゃない。
いやいやいや問題は目の前にあるリサイタルよね。
ねえ本当にチケット売れてるの?またそれ言うの?売れてます。
もうほとんど完売よ。
そう?ならいいんだけどさあ。
ああ〜やだやだ。
ああ…胃が痛い。
ああ〜もうやだやだ。
家帰りたいよ…。
胃のお薬飲む?ううん平気。
これは舞台に立てば治るやつだから。
う〜ん…。
(田畑和子)杉尾先生いらっしゃいました。
おはようございます。
おはよう。
おはようございます。
お世話さまです。
どうですか?今日のお調子は。
最悪。
あっ喉はまあまあ。
あーっ。
えーっ。
(杉尾)ああ問題ないですね。
大丈夫です。
ちょっと目が充血してますね。
眠れませんでした?いつもの事。
ハハッそうですね。
目薬と睡眠薬まだありますか?ええ。
まだ大丈夫です。
あの今日はこれからちょっと行かなきゃいけないところがあって…。
では素敵な舞台を。
ありがとうございました。
どうもすいません…。
(和子)お忙しい中ありがとうございます。
はあ…。
はあ…私は震える哀れな小鳩。
はあ…。
お願い。
(阿部純一)小鳩を孔雀に変えましょう。
ねえお時さん?ん?今日のチケット売れた?ええ完売よ。
本当に満席になる?本当に私の歌を聴きたい人なんているの?皆さんコーちゃんの歌を聴きたくていらしてくださるのよ。
そう…。
そうよね。
どれだけ回数を重ねてもどれだけ高い評価を得てもリサイタル本番前のコーちゃんは相変わらず極度に緊張しプレッシャーに押し潰されそうになるのでした
あなたは虎お客様は猫。
そしてコーちゃんの緊張と不安を消してくれるのは相変わらず時子のおまじないでした
ステージに立つコーちゃんは楽屋にいる時が嘘のように力強くキラキラと輝くまさにスターでした
「古いこの酒場でたくさん飲んだから」「古い思い出はボヤケてきたらしい」「私は恋人に捨てられてしまった」「人がこの私をふだつきと云うから」「ろくでなしろくでなしなんてひどいオーウィ!」「云いかた」「平日だけどはれ着をきたのよ」「人形だいて」
そして1日の公演を終えるとたばこと酒を手に麻雀に興じるようになっていました
それは翌日の公演へと心を切り替えるために必要な時間でした
どうぞ。
ありがとう。
わかってますこれが最後の一杯ね。
わかってればよろしい。
じゃあ私はそろそろ失礼しますからね。
うん明日もよろしく。
はい。
お時さん心配しないで。
あと半チャンでしっかり終わらせるから。
おお〜。
(笠原進)お酒も見張っとくよ。
ありがとう。
よろしくお願いします。
(有馬康平)お疲れさま。
はいお疲れさまでした。
お疲れさま。
はーい。
ふう〜。
(阿部)ちょっとコーちゃんまたお酒で薬飲む。
やめなさいって言ってるでしょ。
だから胃が痛くなるのよ。
胃が痛くなるのは本番前だけ。
関係ありません。
パーン!ローン!ええっ!?ダマテン!?
(笑い声)いただき!またそんなやっすい手で…。
安かろうが悪かろうが勝ちは勝ち〜!ほらお出しお出しお出しさあさあさあさあさあさあ。
お出しよお出しよ。
(笑い声)はいはいいきますよ。
みんなしっかりしてよ。
引き際?コーちゃんの?ええ。
おいおいそりゃまだ早いだろう。
私もそうは思うんですけど…。
身を削るようにしてステージに立ってるコーちゃんを見ているとこの人このままで大丈夫かしらこんな事ずっと続けてたら身も心もボロボロになってしまうんじゃないかしらって思って。
かと思うと今日みたいに休演日には内藤さんのための家事に頑張ってしまって休みにならないし…。
あっすみません。
こんな事お話し出来るの私たちの事をずっと前から知ってくださってる藤本さんしかいないんで。
そんな事はどうでもいいさ。
コーちゃんはなんて言ってるんだい?仕事の事。
あの人はその時その時でいろいろですから。
もう!もう嫌!もう〜!ロングリサイタルなんて疲れるからもうやめる!私死ぬまでやるわよ!ロングリサイタル。
ピアフも!だって歌は私の人生だもの!しかし不思議な人だね。
ええ。
凡人の私なんて昔からずーっとびっくりさせられっぱなしで。
いやお時さんの事だよ。
え?お時さんだって今じゃすっかり有名作詞家で詞を書くなんて作業は身を削るような思いだろう。
どこが凡人なんだよ。
コーちゃんもお時さんも根っこは同じなんだから。
でも表に出る人と裏方は全然違います。
一緒にしたら怒られます。
それでも根っこが同じだからここまでやってこれたんだよ。
これから先だって引き際だって。
お互い阿吽の呼吸でなんとかなるさ。
だといいんですけど…。
自分が年を取ったせいでしょうかいろいろと心配になってしまって。
何を言ってるんだよまだまだ若いじゃないか。
相変わらずコーちゃんと一緒に肉食べに行ってるんだろ?…ええ。
なら十分若い。
ただ好きなだけですから。
俺だって好きだったさ。
でも今はアジの干物がいいねえ。
年を取ると肉は胃がもたれるから。
そういうものでしょうか。
そういうもんだ。
肉が好きで食べてるうちはまだ若い。
自信を持って気楽にいけって事さ。
はい。
ありがとうございます。
ところが藤本の予想に反してその時は思いがけなく早くやってきたのでした
それはコーちゃんが無事ロングリサイタルの千秋楽のステージを終えた直後の事でした
こちらこそありがとう。
最高だったよ。
ありがとう!お疲れさま。
ありがとう!お疲れさまです。
お疲れさま。
じゃあまたあとで打ち上げの席で。
そうですね。
待って。
話があるの。
今?ええ。
3人には先に言っておきたくて。
私越路吹雪を…。
卒業します。
仕事にもラブしたいの。
(浅利)さすが愛の人越路吹雪だね。
(宇野重吉)ちぇっつまんねえの。
ちゃんと見ててよね。
2018/03/27(火) 12:30〜12:50
ABCテレビ1
越路吹雪物語 #56[解][字]
名曲「愛の讃歌」を世に送り出した戦後の大スター・越路吹雪と作詞家で越路吹雪の生涯のマネージャー・岩谷時子。昭和の時代を背景に偉大な2人の友情と波乱の人生を描く。
詳細情報
◇番組内容
美保子(大地真央)は、久々に時子(市毛良枝)の母・秋子(原日出子)に会いに行く。ある時、美保子は「今までの越路吹雪を卒業して本格的な演技に挑戦したい」と希望し、演劇界の重鎮・宇野重吉(山本學)が演出する舞台に立つ。しかし千秋楽の日、猛烈な胃痛に襲われ、胃と十二指腸の間のあたりに影が見つかり入院する。闘病が続く中、美保子は突然「やりたいことはみんなやってきたから、この世に悔いはない」と時子に告げる。
◇出演者
大地真央、市毛良枝
デビット伊東、近江谷太朗、三倉佳奈、羽場裕一
吉田栄作
◇ナレーション
真矢ミキ
◇脚本
龍居由佳里
◇演出
藤田明二(テレビ朝日)
◇主題歌
大地真央『愛の讃歌』(ユニバーサル ミュージック)
◇スタッフ
【チーフプロデューサー】五十嵐文郎(テレビ朝日)
【プロデューサー】藤本一彦(テレビ朝日)、布施等(MMJ)
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/koshiji/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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