ミャンマー議会、新大統領にウィン・ミン前下院議長を選出
ミャンマー議会は28日、ティン・チョー前大統領の辞任に伴い、ウィン・ミン前下院議長(66)を新たな大統領に選出した。
ウィン・ミン氏は前大統領と同様、アウンサンスーチー国家顧問の側近。2012年から下院議長を務めており、新大統領への就任を予想する声が多かった。
しかし、アウンサンスーチー氏が事実上の国家指導者を務めるなかで、ウィン・ミン氏の役割は大方儀礼的なものになるとみられている。
健康状態の悪化が懸念されていた前任のティン・チョー氏は、前月21日に辞任。議会は7日以内に後任を決める必要があった。
ミャンマーでは、大統領は3人の副大統領から選ばれるが、ウィン・ミン氏が先週、副大統領に就任したことから、大統領就任の憶測がさらに高まっていた。
71歳のティン・チョー氏は大統領府のフェイスブックページに先週投稿された声明で、「休みを取る」ため大統領の座から降りると発表していた。
それ以上の理由は明かされなかったが、ティン・チョー氏は最近、健康状態の悪化に悩まされてきたと考えられている。
軍事政権の下で長年の間軟禁状態にあったアウンサンスーチー氏は、自身が大統領になる道を阻まれている。
アウンサンスーチー氏を要職に就かせないため故意に設計されたと広く考えられている憲法の条文は、ミャンマー以外の国籍を持つ子供がいる人は大統領になれないと定めている。同氏はイギリス人の夫との間に2人の子供がいる。
ウィン・ミン氏の人物像
- アウンサンスーチー氏が信頼する側近集団の一人
- 66歳で、多数派民族であるビルマ族出身
- 高等裁判所の弁護士となるため、ヤンゴンの大学に進学
- 独裁者ネ・ウィン将軍に反対する1988年の民主化要求運動に参加。軍事政権に短期間拘束された
- 大勝した2015年の選挙後、ヤンゴン市タームウェ地区首長の座を得る。このことは政権与党・国民民主連盟(NLD)の指導者グループにおける地位を確固たるものにした
<解説>軍部は依然、国を支配している
ニック・ビーク記者 BBCニュース(ヤンゴン)
ミャンマー人のほとんどは、ウィン・ミン氏が持ち得る経済政策、紛争が続く国境地域に平和をもたらす施策、ロヒンギャ危機にどう対処するかの計画などについて、何も知らない。
大統領職を得る鍵となった判断基準は、アウンサンスーチー氏への忠誠心だった。同氏がこれからも裏で糸を引くこととなる。
ヤンゴンでもその外でも、2年前にティン・チョー氏が、軍部とつながりがなく、民主的に選ばれた数十年で初めての大統領となったときの熱狂を見つけることはできない。
しかし実権に関して言えば、依然として軍部が握っている。
国軍記念日を祝って行われた27日の式典が、それを見せつけた。飛行機、ヘリコプター、そして行進する1万6000人の兵士たちが、首都ネピドー近郊で待ち構える報道陣のために大規模なパレードを行った。
最高司令官は自らの軍に、陸軍は国家の生存に重要な役割を果たさなければならないと説いた。
それは野心を感じさせるものではなかった。それは命令のようだった。