ろんぶ〜ん ロンブー淳と論文を楽しむ!「痴漢」のおもしろすぎる論文[字] 2018.03.28

283月 - による admin - 0 - 未分類

さあ収録が終わったんですけれども…。
終わりましたね。
いや〜俺痴漢をこんなに深く掘り下げて研究してる人がいるって事にまず驚きましたし痴漢の語源ってあ〜そうなんだって感じましたしあと自分のお尻の感覚に自信が持てなくなりましたね。
本日の「ろんぶ〜ん」一体どんな内容なのか。
世界で1年間に発表される論文は…テーマは多岐にわたる。
例えば今年になって物議を醸した中国のクローン猿の事もその猿が悪役で登場する昔話「さるかに合戦」もカニがせっせと水をやった柿の種も調べてみるとどこかで誰かが論文にしている。
しかし論文はあくまでも自分の論。
もし間違っていたとしても誰にも理解されなくても人々は真理に近づこうと論文を書き続けてきた。
さあ研究者たちが情熱を燃やし人生を懸けて生み出した知の結晶論文をかみしめようではないか。
イライラとムラムラが充満する満員電車。
そこに現れるのが…一方で痴漢に対する恐怖は男性にも。
えん罪におびえながら日々電車に乗る。
去年は痴漢を疑われた男性が線路上を逃走し電車がストップする事件も多発。
女性にも男性にも迷惑な存在それが本日のテーマ…では最初の論文にまいりましょう。
タイトルがこちらです。
はい。
えっこれ痴漢…?分かりますか?まあ臀部は分かりますけど…。
では先生にご登場頂きましょう。
日本大学教授厳島行雄さんでございます。
この先生?はい。
よろしくお願いします!何かを見たり聞いたりした時の人の心理を研究してきた。
時に実際の刑事事件の現場を再現。
証拠を調べ目撃証言がどのくらい正確なのかを検証する鑑定人としての実績も持つ。
6年前厳島さんは弁護士から痴漢事件のえん罪を証明するための研究を依頼された。
それが今回の論文。
もし痴漢に触られた時お尻の感覚はどのように感じられるのか。
カバンを手と間違う事はないのかを明らかにしたものである。
そんな先生の書かれた論文がこちらでございます。
写真が載ってますね。
載ってますね。
いや〜すごい!データを基に…。
やっぱ困ってる人がいるからそこから研究が始まるという感じですか?そうですね。
当の…実際彼はどうやってたかというと実はナップザックみたいなのがありますよね。
あれを後ろに背負うんじゃなくて前によくかけて…。
電車とかだと迷惑にならないように…。
それが当たったんじゃないかというのが男性の主張なんです。
ところが彼女は…痴漢事件では警察は加害者とされた男性の手の付着物を調べ目撃者探しなどを行う。
しかし客観的証拠が出ない事も多くその場合裁判では被害女性の供述を唯一の証拠として争う事に。
そのため女性は具体的で詳細な供述を求められるのだ。
ある裁判における被害者の供述でございます。
ただ本当非常に生々しい表現がありますけれどもこれは実態を知って頂くためにあえてそのままお伝えしたいと思います。
まずはこちらです。
「肛門の辺りと陰部の辺りを触られた。
割れ目に沿ってゆっくり手が動く感じで5往復以上された」。
うわ〜でも…。
生々しい…。
更にもう一例あります。
「スカートの上からお尻を上下に動かすように触られたりもむように触られたりした。
内側に指が4本と外側に指が1本だったので左手だと分かった」。
こういう事も言わなきゃいけないって事ですか?被害を受けた女性がこれを言わなきゃいけない。
証言するしかないんだもんね。
ここが…裁判でもそういう事を言わなきゃいけない。
それは女性としては嫌ですよね。
嫌ですね。
ですが…そっちもあるからね。
有罪になったら大変ですよね。
会社をクビになったり…。
私の知ってるケースでは…疑いかけられただけで?だけで。
そうなんですね。
さあそしてこの具体的な供述の基になっているのはこちらです。
これをよりどころに有罪無罪を決めるしかないというか。
…ってなるとですよどのぐらいお尻の感覚は正確なんでしょうかと。
それをまさに先生が研究してデータを出して頂いたという事です。
これは研究してくれる人がいないとそれはデータがない訳だもんね。
さあではお尻の感覚を調べるために先生はどんな実験をしたのか。
こちら薄手のみんな同じものをはいて頂いて実験しました。
実際の実験の様子はこんな感じです。
これでもちょっと疑問浮かばないですか?誰がどういうふうに触って…とかですよね。
でも先生の論文ですから。
自らですか?そんな事したらセクハラに…。
ですよね!教授がただ触りたいだけで論文を利用して論文痴漢みたいになりますもんね。
そんな新しい言葉作らないで下さい。
実際に研究を行ったのは共同研究者の大森馨子さんという女性。
お話を伺ってまいりましたのでご覧下さい。
大学の倫理審査委員会とは医学や心理学など人を対象とする研究において人権や安全を守るために設置されたもの。
研究対象者に負担をかける実験は承認されないのだ。
リアルすぎる痴漢の状況で実験する事はできない中で大森さんが考えた条件は手とカバンで上下に3秒間触る事。
裁判の具体的な供述にもよくある指2本や指4本などを加えた8種類での実験を行う事でクリアしたのだった。
さあ実験結果見て頂きましょうこちら。
さあまずですね上の列がですね実際にこのようにして触ったというものです。
表の一番上には実験でお尻を触ったものを表示。
左側には触られた女性がどう感じたかの答えを表示している。
赤い所にちょっと注目して頂きたいんですけれども実際に手のひらの全体で触った時に手のひら全体で触られたと感じた人が40%だったんですね。
なるほど。
という事は…だって一番正解できそうなところですけどね。
でもそれでも40…。
って事はそれぐらい臀部の感覚っていうのは不確かな感覚という事になる…。
そうなんですよね。
これはでも女子からしたら本当に痴漢に遭ってて…だからっつって今頼らなきゃいけないのは…ここで淳も自分のお尻の感覚がどのくらい正確なのかを体験してみる事に。
これで指すのね?はい。
はい。
え〜っ?さあちょっと耳栓も1個取って頂いて。
さあ淳さん今何だと思われました?指2本でひらの方。
正解は手の甲全体です。
え〜っ!ちょっともう一回だけいいですか?うん。
もう一回ちょっと。
もう一回だけはい。
あっこれは分かるな。
これはこれですね。
間違いない。
さあじゃあ…。
これは絶対そうだ。
今のは?え〜っと全体手のひら。
カバンの面です。
え〜っ!私はカバンの面でしか触ってないです今。
えっここ?今ここでこうやってやっただけですね。
これちょっと恐ろしくないですか?そうね体の向き変えられないから。
そう。
ねえ大変だ。
論文の結果でもカバンの面を手と間違えた人はおよそ半数いた。
最後に論文はこう締めくくる。
被害に遭われてる方は本当にそう…。
そうね確かに。
痴漢のえん罪は罪のない男性が被害に遭うという事で防がなければいけないんですけれどもここでお伝えしたいのは…う〜んそっかそっか。
じゃどうして逃げきれるのか。
番組ではこの方にお話を伺いました。
斉藤章佳さんです。
12年間にわたって痴漢を含む性犯罪の再犯防止プログラムに取り組んでいらっしゃいます。
斉藤さんによりますと…へえ〜。
そこまでするんですか?そう。
犯人がじゃ一体どんな準備をしているのかこちらをご覧下さい。
なるほど。
絶対ガタンとみんなが体を傾けるポイントを選んでんだ。
そのほかにもこちら。
駅によって改札に近い場所とか階段に近い出口とかありますよね。
それを調べておいてそのドアの近くに…。
そっか。
…って事はもうそろそろ駅に着くぞみたいな事も頭に入れながら触ってるって事ですか?結構ありますね。
きったねえな〜。
こういう事を頭に入れた上でバッグやコートで隠して犯行を行っていると。
いやこれだからもうそれに巻き込まれる男性もこれはたまったもんじゃないし当然触られてる女性が一番やっぱり被害者ですしね。
そういう研究があとはなされていかないといけないんじゃないかなと思いますけどね。
ですね〜。
「禅と痴漢」。
全然ピンと来ないわ。
そうですよね。
「禅と痴漢」?書いた先生にご登場頂きましょう!はい。
大阪大学准教授岩井茂樹さんでございます。
さあこちらの方。
若い!若いですよね。
よろしくお願いします。
お願いしま〜す。
キリッとした人出てきた。
しかも若いでしょ?若いですよね。
おいくつですか?年上〜。
お若く見えるんですよ。
日本文化史の専門家岩井茂樹。
和歌や茶道などの伝統文化を掘り下げてきた。
そんな岩井さんがテーマに選んだのが…論文「禅と痴漢」。
まずは…どうですか?そもそも何でじゃあ先生が痴漢について書こうと思ったかという事なんですけど。
そうですね。
ちょっと悲しい過去がありまして私がですね…自身が。
自身が。
僕男なんですけども男性の痴漢に…。
そん時憎い痴漢許せないっていう思いでまずしたのが…そうですね。
何て書いてあるんですか?辞書には。
そこなんです。
今から出てきます。
それでね先生は違和感を感じたんですよね。
そうですそうです。
このように書いてありました。
辞書で「痴漢」を調べてみたら……という説明が出てきた訳ですよね。
でも僕らが一般的に思っている痴漢っていうのは電車でそういうみだらな行為をする男性っていう意味ですよね。
僕も1番目の意味というか…使わない。
ばかな男を見ても痴漢だなとは言わないですよね。
それ言うと何かちょっと誤解を生みますよね。
ですから…では岩井先生はどうやって禅と痴漢の関係を暴いたのかVTRをご覧下さい。
漢字のルーツは中国にあり。
そこで岩井さんは…「痴漢」を入力してみると…。
出るわ出るわ!その数…そこに一冊の禅の本を見つけ強く興味をひかれた。
岩井さんは思った。
禅の本を手当たりしだい取り寄せ…わ〜作業細かいですね。
その結果全部で18冊の禅の本から「痴漢」という言葉を見つけ出した。
そしてその全てが禅問答に使われていた。
では「痴漢」という言葉が出てくる禅問答とはどんなものなのか?禅問答…ある老師が問いかける。
修行僧は考えても考えても分からない。
そこで別の老師に答えを求めたところ即座に雷が落ちた。
「自分で苦しまず安易に人に聞くんじゃない」と怒る老師。
痴漢とは禅の世界で悟りを開く事のできない愚か者という強い罵倒の言葉だった。
ちなみにこの禅問答にはどう答えればいいのか?模範解答を求めて禅寺の住職を訪ねた。
大切なところになります。
そうですねまああの…このような禅問答が14世紀ごろ中国から日本に伝わり「愚か者」という意味での痴漢が広まっていった。
ふ〜ん。
どうですか禅問答。
これどういう感覚でした?そのものすごい膨大な資料ですよね。
その膨大な資料の中から18個しか出てこないって俺は「少ねっ!」と思ったんですけど。
少ないですね。
だから見つけた時はやったなと。
(笑い声)冷静。
さあでもねほかのいろんな物語にまだまだ痴漢という言葉が登場しております。
こちら。
はい「水滸伝」「西遊記」。
こちらも愚か者ばか者という意味で度々出てきます。
禅で最初入ってくるんですけど…それが日本でヒットして最新流行語として江戸文学のそれで使われるんです。
そういうばかな男愚かな男って使われてた痴漢が…まさにそこなんですよ。
そこも研究されてるんだ。
ここも先生はしっかり論文に書かれてるという。
痴漢の意味に大きな影響を与えた出来事があった。
それは明治41年1908年に起きた出歯亀事件。
ある男が銭湯でのぞき行為をし女性の後をつけ強姦したあげく殺害した。
犯人は出っ歯の亀太郎。
のぞき行為をする変質者という意味で使われる出歯亀の語源にもなった。
亀太郎は最悪の愚か者つまり痴漢。
新聞は痴漢という言葉と共に報道した。
この事件がのぞき強姦だった事から広い意味で愚か者を指していた痴漢という言葉に性的な意味が強く印象づけられる事になったのだ。
ここからなんだ。
同じ出歯としてどうですか?誰が同じ出歯だよ。
こんな悪いやつがしかも痴漢っていう言葉を性的な意味を付け加えた犯罪者なんだ。
…というのは何かすごいびっくりしました。
面白いですよねそういうの。
確かにそうか。
草生えるだってそうだもんね。
ただ単に草が生えているっていうところだったのが今やもう笑うとか笑えるみたいに。
小ばかにして笑うみたいな時「草生えるわ」って言うもんね。
いつの日かじゃあ草生えるも日常的にみんなが使うようにもっとなれば辞書に2番目の理由とかで…。
「広辞苑」とかに載ってくるかもしれないです。
へえ〜。
あんま好きじゃないんですね。
すげえムカつくんだよね。
さあそしてもう一つ新たに興味深い事があるそうなんです。
こちら。
「中国に逆輸入!?」という事ですけれどもこれ先生。
ちょっとこれはまだ僕も調べ切れてない…調べがついてないんですが。
電車でそういう淫らな行為をする男性の事を日本の事をよく知っている中国の方は痴漢として認識。
だから逆輸入。
へえ〜。
若者の間ですごい使われてます。
シュウハンっていって。
シュウハン。
シュウハン。
ちょっと似てますよね。
痴漢とシュウハン。
先生痴漢の研究は先生の好奇心からね始まったものなんですけれども何か先生の頭の中どうなってるのかちょっと気になりますよね。
我々も好奇心でね先生の研究室にお邪魔してみました。
あら楽しそう。
(ノック)岩井さんの研究室を訪ねた。
どうぞ。
所狭しと並ぶ本の山。
これはまだ論文になっていない岩井さんの好奇心。
つまり…「です」とか「ます」とか出てくる歌詞の中に出てくる歌っていうのがあるじゃないですか。
最近結構多いです。
そういうのって丁寧語ですよね。
それにどういう意味があるのかっていう事ですね。
思いつかないな。
すごいな。
(ディレクター)「三都物語」にちょっと山口組みたいな事…。
山口組は入れ墨との関係でデコトラの文様って割と入れ墨に近いものがあるかなと思って。
それをちょっとやるために勉強しているという事ですね。
この辺に。
顔とかこういうのも全部そうですよ。
(ディレクター)正面向いてないですね。
正面向いてない。
(岩井)うん。
合わないでしょ。
若き日の岩井さん。
ノーベル賞を夢みる科学者だった。
企業に就職し新しい繊維の開発に奔走。
13もの特許を取得した。
しかし…。
会社のためではなく自分の好奇心のままに研究をしたい。
岩井さんは30歳で心機一転大学院に再入学した。
うれしそう。
それが岩井さんのモットーである。
いいね。
自分の感じるままに研究を進められるっていうのはある意味みんながみんなそれできる環境にないけどその環境にあるっていうのはやっぱありがたいっていう。
そうですね。
幸せですしだから僕も…そっか研究する以上はね。
(岩井)そうですね。
好奇心だけは負けないようにはしてます。
これはまた世の中にある研究してる人の思いみたいなのもこの番組で紹介したいですしまたなかなか世に出てこない論文を紹介できたらいいですね。
面白い。
また次回お会い致しましょう。
2018/03/28(水) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
ろんぶ〜ん ロンブー淳と論文を楽しむ!「痴漢」のおもしろすぎる論文[字]

知的好奇心を刺激する論文を“ロンブー淳”とともに楽しむ。今回のテーマは痴漢。禅と痴漢の意外な関係や、裁判で被害者の証言の元となるお尻の知覚を調べた論文を紹介。

詳細情報
番組内容
小難しくてとっつきにくいイメージがある「論文」。しかし丁寧に読み解いていくとそこには知的好奇心を刺激してくれる「知の結晶」が詰まっている。この番組は、研究者が人生をかけて生み出した「論文」を“ロンブー”田村淳とともに楽しむ知的エンターテインメントショーである。今回のテーマは“痴漢”。禅と痴漢の意外な関係を明かした論文、裁判で被害者の証言の根幹を占めるお尻の知覚に踏み込んだ論文などを紹介する。
出演者
【ゲスト】梨衣名,【出演】田村淳,向井慧,【司会】中山果奈,【語り】石澤典夫

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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