スタートアップに「方法論」は必要か? 大企業にも浸透を始める「リーンスタートアップ」最新トレンドを追う

スタートアップに「方法論」は必要かーーそう問われたら、首を傾げる人もいるかもしれない。方法論などより、まずは起業してみることが一番の勉強ではないのか。

スタートアップにはいくつかの方法論がある。なぜ、それが生まれたかというと、成功の確率が非常に低いからだ。インテル・アップルグーグルフェイスブックといった世界的な大企業の発祥の地であるシリコンバレーでも、成功するのは1000社に3社。この確率を上げることはできないかと、多くの先人たちが成功した企業の事例から、方法論を確立すべく分析を重ねてきた。

それが確立できないのもまた、成功の確率が非常に低いことによる。再現性を持たせられるほどの事例がないとも言えるだろう。だから方法論に学ぼうとしても結局、「とにかくやってみよう」と闇雲に起業し、生き残りをかけた競争に参加することになる……そんな負のスパイラルの中でも比較的、信頼性が高いと考えられた方法論。それが「リーンスタートアップ」だ。

「とにかくやってみよう」でプロダクト開発をするのではなく、顧客への検証を繰り返しながらリスクを減らしていくというこの考え方は、2011年にアメリカで流行した。日本でも、2015年にリーンスタートアップの事情に詳しい有識者や実践者たちから、一度に知識を得られる勉強会「Lean Startup Update!! 2015 (リーンスタートアップをアップデートする会)」が開催されている。しかし、この概念は次第に廃れてしまった。

だが近年、この概念はまたしても注目され、スタートアップのみならず、大企業などでの導入事例も増えているという。そして、前回の勉強会開催から約3年後、2017年12月13日に「Lean Startup Update! 2018」が開催された。リーンスタートアップはなぜ廃れ、そしてよみがえったのか。結局、リーンスタートアップは有効なのか。そもそも、リーンスタートアップとは何なのか。抽象的で謎の多いこの概念について、有識者たちが再度、集合したのだ。

リーンスタートアップをめぐる3年間を振り返り、その提唱者であるエリック・リース氏の最新刊『The Startup Way』(未邦訳)について語り合い、リーンスタートアップにおける最新情報を持ち帰るという趣旨で開催された同イベント。先着180人の募集に対して350人以上の応募が寄せられたという。さらに人気を増した今回のイベントを振り返る。

そもそも「リーンスタートアップ」とは?

イベントについて理解を深めるために、今回語られる「リーンスタートアップ」とはそもそも何なのかを、まずは簡単に説明したい。

この概念の提唱者であるエリック・リース氏の『リーン・スタートアップ』(日経BP社)によれば、リーンスタートアップとは、トヨタで開発された「リーン生産方式」にちなんだ起業の方法論。生産方式をリーンにするというのは、簡単に言えば、徹底的に無駄を省くということだ。自動車生産では「かんばん方式」とも呼ばれる、必要な物を、必要な時に、必要な量だけ生産する製造と在庫管理。これを使うことにより、一つの工程にかかるサイクルタイムが縮小できる。この考え方を起業に応用すると、どうなるだろうか。

リーンスタートアップにおける大まかな流れは、次の通り。まず、検証すべき「仮説」を選ぶこと。ここでいう仮説とは、顧客の課題を解決するようなものだ。そして、最小限の製品を生み出して、フィードバックのループを回す。これは、いわゆるPDCAとも似ている。

リーンスタートアップでは、このループ1周にかかるトータル時間を最少にし、1周ごとに目標達成度によって計画の方向転換をすべきかを検証することが重視される。これによって、「とにかくやってみよう」ではなく、いかにお金と時間という無駄を省きながら意思決定をしていくか、という発想になるのがポイントだ。

このような仮説検証のサイクルは、たとえばエンジニアリングにおいては「アジャイル開発」がよく知られているだろう。リーンスタートアップでは、それをプロダクトの開発のみならず、顧客の開拓や企業のあり方にまで応用しているといえるのだ。

「リーンスタートアップ」のキーワードは忘れられがち?

3人のスピーカーから、まずは東京大学・本郷テックガレージのディレクターである馬田隆明さんが登壇。

馬田さんは最初に「MVP(Minimum Viable Product=実用最小限の製品)」「ピボット(方向転換)」「Build-Measure-Learn(構築-計測-学習) ループ」「虚栄のメトリクス」「コホート」を挙げ、「この単語のうち、半分以上を隣の人に説明できますか?」と会場に呼びかけた。

馬田隆明さん
東京大学産学協創推進本部本郷テックガレージのディレクターを務める。University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトで Visual Studio のプロダクトマネージャーを経て、Microsoft Ventures に所属。2016 年 6 月より現職。 スタートアップ向けのスライド、ブログなどの情報提供を行う。著書に『逆説のスタートアップ思考』(中公新書ラクレ)。

これらは、リーンスタートアップの世界で“青本”として知られる『リーンスタートアップ』から、主要ワードを抜き出したもの。さすがに多くの手が挙がったものの、さらに「Leap-of-Faith(挑戦の要)」「価値仮説と成長仮説」「長期株取引所」「巨大バッチ死のスパイラル」「マネジメントポートフォリオ」といったキーワードを増やすと、どんどんその数は減っていった。

馬田さん自身も青本を読み返してみて、今でも重要なキーワードでも、意外と忘れていることに気づいたという。この理由は、2008年からの10年間のGoogle トレンドから見る人気の推移にも表れている。馬田さんはこう続ける。

「Google Trendsから人気の推移を見ていくと、『Lean Startup』は下落傾向にあるのに対して、『User Experience』は上昇を続け、さらに『Design Thinking』が急激に追い越してきた様子がわかります」

近年の開発やサービス設計のキーワード「UX」は、じわじわと人気度を上げている。そして、米アップルをはじめ、シリコンバレーの企業が続々と採用し、革新的なプロダクトを生み出した「Design Thinking(デザイン思考)」は、急激にその認知度を高めていることがわかる。一方、同時期に登場した概念であるリーンスタートアップは、一時期デザイン思考よりも注目されたにもかかわらず、徐々にその影を潜めてしまった。

馬田さんは続いて、リーンスタートアップの書籍10冊を紹介しながら、日本におけるリーンスタートアップの動きを振り返った。スタートアップだけでなく、新規事業全般に適用されるようになったこと、活動そのものからバリューチェーンやオープンイノベーションなどの大きな「つながり」への変遷を指摘した。

「リーンスタートアップは少ない資源の中、不確実性の高い状況下で、どうやって新しい市場機会を見つけていくかの方法論です。これはスマートフォンなどの、小さな資本でも参入可能な市場に特にマッチしていました。しかしスマートフォンのプラットフォームの急速な拡大が一段落し、新規事業の機会が別の領域へとシフトしていくとき、最初から大きな賭けが必要になる事業領域もあります。すべての領域にリーンスタートアップ的なやり方が通用するわけではありません。リーンスタートアップがどこまで使えるか使えないのかを考えながら、活用すべき時代に変わりつつあるのではないかと思います」

リーンスタートアップにまつわる「4つの変化」

次に登壇したのは、数々のリーンスタートアップ関連書籍を邦訳している角征典さん。冒頭、海外ドラマとの意外な関連性を指摘する。

「海外ドラマは、必ずパイロット版を制作して様子見します。ヒットしたら制作費を増額して継続、失敗したら打ち切りという判断を繰り返しながらシーズンが続いていく。このような海外ドラマのビジネスモデルとリーンスタートアップは近いんです」

角征典(かど まさのり)さん
ワイクル株式会社 代表取締役、東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 特任講師。アジャイル開発やリーンスタートアップに関する書籍の翻訳を数多く担当し、それらの手法を企業に導入するコンサルティングに従事。大学では、起業家育成プログラムにおいて、デザイン思考とエンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)の講義を担当。

前回の「Lean Startup Update!! 2015」からのトレンドの変化として、4つのキーワードを挙げた角さん。

1. デザイン思考

前出のデザイン思考とリーンスタートアップについて、角さんは「だいたい一緒」とする。その差を分けるのは「最初に何をするか」だ。

 「デザイン思考はクライアントワークがベースにあるため、ユーザーにインタビューして『共感』することから始めますが、リーンスタートアップの起点は起業家自身にあるので、『Leap-of-Faith(挑戦の要)』から始まります。「挑戦の要」と日本語で言われても理解が難しいのですが、これはビジョンのようなものと捉えてください」

2. ハードウエア

スタートアップはソフトウエアに限らず、ハードウエアにも進出してきている。顧客の課題を検証することに注力できるようになったのは、ソフトウエアの開発コストが劇的に低下したことが原因だが、それと同じことがハードウエアの分野にも「メイカームーブメント」という形で発生した。リーンスタートアップでは、必要最小限のモノを作って改善を重ねていく「MVP」という手法がおなじみだが、これをいかにハードウエアにも適用できるのかが議論されているという。

では、東工大で角さんはどのように指導にあたっているのか。

 「ソフトウエア開発と同じくらい高速に改善のサイクルを回すには、最初から品質を重視して丁寧にハードウエアを設計していては間に合わない。極端な話をすれば、ダンボールとガムテープでいいから『とにかく雑に作れ』。そして、足りない品質を補うために、チラシや動画など、ユーザーに伝える物語を作りましょう、と。この2つを同時並行で進めていくことが、プロダクト開発の初期段階には必要になると伝えています」

3. 大企業

さらに角さんによれば、大企業でもリーンスタートアップの手法が採用されるようになったという。「スタートアップ」という言葉が含まれるものの、リーンスタートアップは会社の規模の大小にかかわらず、不確実性の高い場面ならば有効である。

「大企業でも新規事業開発は常に求められます。ただ、社内起業家を育成するためにトップダウンで『検証のサイクルを高速に回せ!』と伝えても、なかなか社員の価値観は変わるものではない。抽象的な教育や研修では、組織の文化を変えることはできないからです。アメリカのNUMMI【※】のように、まずは現場が使用する具体的なツールや行動を変えることによって、組織文化を変えたという例があります。小さくてもいいので、まずは具体的な実践から始めたほうが効果的です」

ヌーミ。トヨタ自動車とゼネラルモーターズ(GM)が合弁で設立したアメリカの自動車製造会社。当初、無駄の多かった工場にトヨタ生産方式を取り入れ、全米屈指の生産性を実現した。

4. 成長戦略(スケール)

最後のキーワードである「成長戦略」では、リーンスタートアップで検証や改善のサイクルを繰り返すだけで終わらせるのではなく、数年後のビジョンを描いた上で、そこから逆算して事業計画を立てることの重要性を訴えた。そのときに、お金以外の指標に置き換える「革新会計への変換」が必要だと述べた。

「スタートアップといえどもビジネスですから、最終的にはお金の話は避けて通れません。ですが、スタートアップですぐに収益を上げることは難しい。ですから、“3カ月後にいくら売上が必要か”というお金の指標を、“3カ月で何をどうするんだ”という行動指標に置き換えていきます。これが、KPIから革新会計のKPIへの変換です。たとえば直販モデルでは、お金から顧客スループットへと変換します。アッシュ・マウリャの新刊『図解リーン・スタートアップ成長戦略』(日経BP社)では、こうしたことが示されています。すぐに売上を求めるのではなく、そのための成長につながる仕組みを設計していくというわけです」


リソースとフロー、どちらの効率性を追うべきか

3人目は、「Lean Startupをリーンにヤル」と題して登壇した、リクルートテクノロジーズの黒田樹さん。「仮説検証と実行のサイクルを効率的に回すにはどうすればよいか」がメインテーマだ。

黒田 樹 さん
株式会社リクルートテクノロジーズ プロダクトエンジニアリング部所属。SIerにて官公庁系の大規模開発を経て、リクルートホールディングスに入社。サービスのヒットに伴い、急速に拡大していく組織に対し、ビジネス成長に寄与するエンジニアリング体制を構築。その後、さまざまなチームでスクラムやリーンスタートアップの導入支援、海外スタートアップのグロース支援を実施。現在は、エンジニア組織の運営およびマネジメント業務に従事。

「効率がいい」といっても、定義はさまざまだ。今回のイベント開催のきっかけである『This is Lean』では、大きく2つの効率性について語られている。1つは「リソース効率性」。これがいい状態とは、たとえば生産ラインの稼働率100%で、リソースを使い切れていることを指す。もう1つは「フロー効率性」。フロー効率性がよい状態とは、価値を生むまでのリードタイムの短さを表す。

つまり、完全にリソースを使い切ることを目標にする場合もあれば、とにかく仮説検証のサイクルのスピードを目標にする場合もあるということだ。リソースを使い切れてもリードタイムが長いと価値がなかなか生み出せないし、リードタイムが短くてもリソースの無駄が多ければ結局、価値は生み出せなくなってしまう。

これをエンジニアリングでたとえると、リソース効率性の追求は大規模システム開発などに向いている。たとえば、年次の法改正の対応や、ある程度不確実性が低い状況で「やるべきことがすでに決まっている」ケースであれば、あとはいかに原価を下げていくかなので、リソースを効率よく使っていったほうがよいからだ。

一方、フロー効率性の追求が適しているのは、ペアプログラミングやモブプログラミング、クロス・ファンクショナル・チームなど、リードタイムを最短にする動き。これは、不確実性が高く「やるべきことが明らかではない」ケースであり、小さな試行を高速で繰り返し学びの総量を上げていくことが求められるからだ。リーンスタートアップによる仮説検証はまさにこちらである。

「どちらが偉いとか、正義か悪かといったことではなく、どちらの戦略でいくか。もちろん両立できるのがベストですが、仮説検証を重視するならば、学びまでのリードタイムを最小化したいため、フロー効率性を優先的に取るほうがよさそうです」

リーンスタートアップは一度死に、再びよみがえる

最後は、この3年を振り返りつつ、エリック・リース氏の最新刊『The Startup Way』について語るパネルディスカッションで締めくくられた。3人の登壇者に加え、前回のスピーカーであり、最前列に座っていた河合太郎さんも、壇上から指名されて急遽参加することに。

馬田 まず、世の中的にリーンスタートアップが下降傾向にある話をしておきましょう。リーンスタートアップという概念は死んだのでしょうか?

 スタートアップでは当たり前になりすぎてしまって、ここ数年は概念としては死んでいたと思います。でも、エリック・リースが新刊を出して、大企業を対象にしてよみがえった。悪い言い方になるかもしれないけど、おそらくそのほうがお金になるんでしょうね。うまくピボット(方向転換)できたように思います。

河合 私がこれまでの組織で取り組んできたのは、逆に「リーンスタートアップをいかに死なせないようにするか」でした。経験が少ない不安定なメンバーに、新規開発など不安定な領域に対するリーンスタートアップの方法論を使わせると、どうしても事業がシュリンク(縮小)していくので、常に気を配っておく必要がありました。

黒田 社内アントレプレナーでも、熱量が持たなくて続かないケースはありますね。ましてや、もともとそのために入社したわけではない人がいきなりアサインされて、「お前は今日から新規事業を担当する社内アントレプレナーだ」と言われても……。仮説を実証できないダメージが蓄積していって、ちょっとでも障壁にぶつかると心が折れてしまいます。

 積極的に盛り上げていかないと、廃れてしまう感じなんでしょうね。馬田さんは東京大学で起業を支援されていると思いますが、起業に向かない人を起業できるように変えていくには、どうすればいいと思いますか?

馬田 学生を見ていると、失敗してもいいから、一度プロジェクトを終わらせるとよいのかなと思います。プロジェクトを2度3度やると、次第に筋の良いアイデアを選び始めます。早めに次に行こうとするほうが、スタートアップ的な動きにはなりますよね。

黒田 たしかに、必要なのは「事業を撤廃するスキーム」なのかもしれないです。それが組織に備わってないと、みんなつらい状態になる。これは“あるある”ですね。

馬田 起業するときにリーンスタートアップ以外で参考にしたほうがいいものはあるでしょうか?

 僕はデザイン思考はよくできていると思います。ただ、デザイン思考もリーンスタートアップも、自分で手を動かして考えるところが重要なのに、あまりにもビジネスサイドに寄りすぎてしまうと「作るところは外注でいい」なんて話になる。特に既存の企業に導入するときは、そのあたりに気を付けておかないとうまくいかないですね。

馬田 そのデザイン思考と比べると、リーンスタートアップは沈みがちなトレンドでした。なぜこのような方法論は浮き沈みが激しいのでしょうか?

河合 やはり成功しないからでしょう。リーンスタートアップは自分たちでやるには難しいんですよ。成功体験があれば伝播するけど、その成功体験の情報量はデザイン思考のほうが多かったのでは?

 デザイン思考のほうが伝え方がうまかった、というのはあると思いますね。

結局「リーンスタートアップ」とは何なのか?

河合 「Lean Startup Update!」と題して話をしてきましたが、みなさんは「何があったらリーンスタートアップなんですか」という質問を受けたときに、どう答えますか?

馬田 やはり、最初から手の込んだものを作ろうとしたり、逆に「とりあえず作る」という無駄が多かったりする行動を変えて、無駄の極力少ない MVP(実用最小限の製品)を作るといったことが重要なのではないでしょうか。リーンスタートアップのムーブメントが MVP という言葉を流行らせたことには大きな価値があったと思います。

河合 でも、それって「うまくやったら、きっとうまくいくに違いない」と言うのと、あまり変わらない。だから全体像が見えず、何をしたらいいのかわからない。リーンスタートアップには、そういう難しさがあると思います。

 本当に難しいと思いますよ。何が無駄なのかは、あとからわかることであって、実際にやっている最中にはなかなかわからないですからね。

河合 そう考えると、やっている人間自身を変えるために、文化を育てる取り組みをするのが、遠回りのようで早いのかもしれないですね。

黒田 『The Startup Way』でも同じような話がされていて、ベースがアカウンタビリティ(説明責任)だと。説明責任を負うと、そこで初めて行動が生まれる。説明責任をしっかり果たそうとすれば、できるだけ無駄を省こうとするはずで、自然とリーンな行動が始まっていくんですよね。そうすると行動が組織文化につながって、企業自体がリーンになってくる。そしてその組織文化に惹かれて良い人材が集まってくる。それが雇用など、企業活動に効いてくる。だから、リーンスタートアップが成立する前提条件は、アカウンタビリティだなと思います。

馬田 そうなるとアカウンタビリティをベースにした評価形態を新たに作らなきゃいけない。大企業はやりにくそうですよね。

黒田 説明責任の大小はなんでもいいんです。たとえば、自分の貯金を切り崩してやるのもアカウンタビリティの一つだと思います。あとは、偉い人にレポートするなどで自ら矢面に立つこと。これで初めて行動になるのかな、と。

河合 企業が顧客というフワフワしたものを継続的に攻略するには、まずフワフワした自分たち自身のチームを攻略しないといけませんよね。

 イノベーションや新規事業開発という話になると、どうしても組織変革などの大がかりな話になりがちなんですけど、説明責任の話も含めて、小さな改善を積み重ねていった結果、ある閾値を越えたところでバッと変わる瞬間が訪れるのかな、と思います。

河合 最近、人間の心にも“慣性”があると思っていて。昔からのやり方を変えるのって、大変じゃないですか。一気にそれを変えるのはすごく大変。でも徐々に動かすと、だんだん変わっていく。すると、またその方向へ慣性が働いていくんですよ。

馬田 つまり、今日の結論としては、継続的に改善していきましょうということですね。

 このイベントも継続的に開催していきましょう(笑)