Photographer: Patrick T. Fallon

テスラ債が86セントに下落、警戒信号点灯

  • 株価下落が注目を集める一方、社債価格下落に大きなリスク
  • 借り入れコストは現在8%近くに急騰、資金調達能力を阻害も

米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の債権者は突然、社債を買ったことをひどく後悔している。

  昨年8月、投資家はセダン「モデル3」の野心的な投入を目指すテスラに資金提供する機会を得ようと殺到した。マスク氏の個人的魅力に引き付けられた投資家はテスラの大量のキャッシュバーン(現金燃焼)や生産目標の度重なる未達をほとんど無視し、過去最低金利で18億ドル(約1900億円)貸し出した。

  しかし、ここ1週間にテスラ車の死亡事故や格下げなど悪いニュースが相次いだのを受け、債券保有者はマスク氏が電気自動車(EV)の大衆化という大胆な約束を資金が枯渇する前に実現できるのか厳しく問い直している。28日にテスラの社債は額面1ドル当たり86セントの安値に落ち込み、債権者の不信感を浮き彫りにした。

  ダイヤモンド・ヒル・インベストメント・グループの債券担当最高投資責任者ビル・ゾックス氏は「日に日に状況が悪化している。誰もが心配している」と述べた。

  テスラの苦悩は株式市場で最も目立っており、株価は2日間で15%安と、2016年以来最大の下げを記録した。一方で借り入れコストが急騰し、現在8%近くに達していることは、重要な時期に同社の資金調達能力を阻害する恐れがある。

  テスラに電子メールで取材を試みたが、現時点で返答はない。

  ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリスト、ブルース・クラーク氏は27日、テスラの企業グループ格付け引き下げを説明したリポートで、今年分のキャッシュバーンと、19年までに返済期限を迎える債務約12億ドルをカバーするため、同社が20億ドル余りを調達する必要があるだろうと指摘した。

原題:Tesla Bonds, Down to 86 Cents, Start to Flash Warning Signals(抜粋)

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