お店の火力じゃないと不可能だと思い込んでいた
「〇〇飯店」や「〇〇軒」みたいなお店で、いい感じのオヤジさんや中国から来た調理人が中華鍋をガッコガッコして作る、特別ではないけどおいしいチャーハン。
そこいらのラーメン屋さんで出てくるような、「あのチャーハン」だけは自宅でどうしても作れませんでした。
お店の火力や設備じゃないと不可能だと思い込んでおりました。
でも、僕にもできました。
シンプルな具の構成。チャーシュー、卵、ネギの3ピースで奏でるパラパラ食感のコアなチャーハンです。
理想的なヤツです。
エモコアなチャーハンです。
欠かせない3要素=中華鍋・おたま・ラード
今回のトライアルで、コアなチャーハンを自宅で作るために欠かせない要素もわかりました。
中華鍋とおたま、そしてラードです。
ほかの要素はなんとでもなりますが、この3つだけは代替不能でした。
逆に考えると、中華鍋とおたまとラードがあれば自宅でチャーハンをメイクできるということです。
あ、あとガスコンロね。
チャーハン作りは火力そのものの問題というより温度の問題でした。
なので家庭用のガスコンロの火力でも大丈夫です。
樹脂加工のフライパンでは、火力をフルで使えないんですよ。
コアなチャーハンを作るための材料(2人分)
- ラード
- 卵 2個
- 冷ご飯 2膳分(300~350グラム)
- チャーシュー 2~3枚を細かく切る
- 塩 小さじ半分
- こしょう 適量
- 醤油 味見しながら量を調整します
- ネギ 5センチほどを小口切り
- 【隠し味】砂糖 3グラム
隠し味は、砂糖。
このスティックシュガー1本で味の奥行きが変わってくるのです。
「スイカに塩」の逆位相の味覚効果です。
仕込んどきましょう。
スタート前のセットアップで勝つ
最初から最後まで強火、1分間で終了するスーパーソニック調理。
具材の投下を一瞬で行うための準備をしましょう。
- 材料すべてを手が届くところに置く
- 容器のフタや袋は開けておく
利き手はおたまを、反対の手は中華鍋を、常に動かし続けるからです。
手順を確認しておきます。
- ラード
- 溶き卵
- ご飯
- チャーシュー
- 味付け
- ネギ
- 香り付け醤油
この流れをスムーズにできるように具材を並べておく。
チャーハンづくりは、適量の具材を順番に鍋に放り込んでいくゲーム。
火力との競争なんです。
いざ、スタート!
使う前の中華鍋は、いうなればスリープ状態。
いちど起こします。
あ、鉄鍋のシーズニング(新品の保護皮膜焼き切りと油慣らし)については触れませんので各自がんばってください。
ガスコンロで強火にかけて表面から煙が出たらサラダ油を流し、鍋肌になじませたら捨てます(油ポットがあれば戻します)。
これで油膜ができあがります。さあスタンバイ完了です。
ここから1分でチャーハンを作ります。
ずっと強火のままです。いいですか。いきますよ。
ガスコンロは強火で固定。
そこに20センチほどラードをにゅーーーーー。
溶けたラードの上に溶き卵をススーと落とします。
卵がボウルに多少残っていても気にしない。
なにしろ時間が勝負です。
一瞬でこうなります。
フライドエッグって感じです。
即座にご飯をどーん。
間髪入れず、おたまの底でご飯と卵を押し付けた後、すぐにひっくり返しておたまで切るように混ぜます。
中華鍋は前後にシェイクです。
鍋の曲面のおかげで、前後に振るだけで具材が自動的に真ん中にまとまる仕組みなんです。
鉄鍋だから到達できる高温によってご飯から水分が蒸発し、空いた細孔にラードが食いつきます。
溶き卵もご飯もラードで揚がっています。
切り混ぜるのは、米をつぶさないためと、チャーハンのパラめきを促すためです。
ここまで25秒。
卵とご飯がパラめいたらチャーシューを投下。
塩とコショウを投下。
醤油をご飯の上にひと回し。
これは味つけです。
あとで香り付けにもう1回醤油を回します。
中華鍋を前後にシェイクしながらおたまでガッガッと混ぜっかえします。
ちょっと味見をして、足りなかったらこの後の香り付け醤油をたらす工程の際に醤油を追加して味を整えましょう。
隠し味の砂糖を全体にふりかけて。
ネギを投下。
高温短時間でシャキっとしたまま熱が通るタイミングがここです。
残り15秒。
チャーハンと鍋の境界部分、鍋肌に、香り付けの醤油を2秒落とします。
あおれあおれ、ラスト5秒(実際はチャーハンの様子を見て調理を完了させてください)。
あおって宙に浮いたチャーハンがおたまにインしますので。
盛り付ける。
完成。
およそ60秒、とちょっと。
できた、ついにできた。
これがまさしく理想どおりのチャーハン。
樹脂加工のフライパンではぜんぜん作れなかった「あのチャーハン」ではないでしょうか。
自分史上最高の出来栄えでした。
あーおいしかった。
チャーシューの調達先は「気合系」から
実は自宅チャーハンの関門のひとつがチャーシューのセレクト。
チャーシューも自分で作るよ、という人にはこの記事自体がそもそも無用かもしれませんが、そうでない我々パンピーはパックされたチャーシューをスーパーやコンビニで買うと思うんです。
あれ、どうですか。
チャーシューという名のハム的な加工肉だったり。
味は良くても、えらく薄くスライスされていてチャーハンに入れるにはサイズや形状的に使いにくかったりしますね。
で、いまもっとも気合い入れてチャーシューを作っているのは、「気合系ラーメン屋さん」なんじゃないかと。
そんなわけで気合系ラーメン屋さんに行って「持ち帰りチャーシュー」をゲットです。
メンマも入ってお得です(メンマはこの後おいしく酒の肴にしました)。
チャーハンのうま味の正体は脂
あと重要なのがラード。
クリーム状の豚脂です。
どうやら、チャーハンのうま味の正体は「だしの素」ではなくラードなんです。
脂肪はうま味です。
チャーハンは「ご飯と卵をラードで揚げ焼きしたもの」というのが筆者の結論です。
そう考えると、うま味調味料をベースに作る方法も、ご飯と卵をあらかじめ混ぜておく「TKGスタート法」も、自宅でのチャーハンをつくるために編み出された苦肉の策だったのではないでしょうか。
ラードの代わりにうま味調味料を使わざるを得なかった。温度を上げ切れない樹脂加工のフライパンでなんとかパラパラ感を出すために「卵かけご飯を炒める」方法が考え出された。
こういうことじゃないでしょうか。
中華鍋とおたまが最適な理由
中華鍋の半球状の形は、前後に振るだけで具材を撹拌(かくはん)できるようになっております。
ご飯をガツンガツンと切り混ぜるためには、硬い鉄のおたまが最適なのです。
鍋振りにはそんなにテクはいらないのですが、注意点がひとつ。
鍋を火から離すと温度低下してしまうので、できるだけガスの火に当て続けることが重要です。
さらに、素人が中華鍋を振り振りチャーハンを作るとガスコンロまわりがこんなことになります。
あとは慣れの問題ということでよろしいか。
じゃあ、いい自宅チャーハンを!
追伸:
中華鍋のポテンシャルに気がついた筆者は、中華鍋づくりのカリスマ的町工場へ取材に行きました。その様子は次回お知らせします。