(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年3月24・25日付)
もし外交を罵る米国に「顔」をつけることができるとしたら、漫画キャラクターの「アステリックス」のような長いひげを生やし、ジョン・ボルトンという名前で通っているだろう。
巷に飛び交う冗談では、ボルトン氏は気に入らない戦争に出会ったことがないと言われる。これは控えめな表現かもしれない。
ドナルド・トランプ氏の新たな大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に就任するボルトン氏は、平和的な揉め事を見て、大砲で状況を改善できないと思うことがめったにない。
米国一のタカ派上院議員の一人に数えられた故ジェシー・ヘルムズ氏は、「ジョン・ボルトンはアルマゲドンが起きたときに隣に立っていたいと思うような男だ」と言った。
ジョージ・W・ブッシュ元大統領の政権で倫理担当の主任弁護士を務めたリチャード・ペインター氏は、「ボルトン氏の起用は戦争への誘い、ひょっとしたら核戦争への誘いだ」とツイートしている。
実際には、決断を下すのは大統領だ。大統領のアドバイザーはアドバイスする。
だが、ボルトン氏の存在により、トランプ氏の最も無分別な本能が目立つようになる。これがイラン核合意の将来と米朝対立にもたらす意味合いは暗澹としている。
ボルトン氏は昨年、「トランプは最初の機会が訪れたときに、この忌まわしいイラン合意から米国を解放できるし、そうすべきだ」と語っている。