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経済・財政

大阪を中心に全国の地価が「続々上昇中」一体なぜ?

いつまで続くのか

大阪が上昇率トップ

地価の上昇が全国に広がってきた。

国土交通省が3月27日に発表した2018年1月1日時点の公示地価は、全用途の全国平均で0.7%上昇した。地価上昇は3年連続で、2016年0.1%→17年0.4%→18年0.7%と上昇率も年々大きくなっている。地価上昇が定着してきたことを示している。

全国平均では商業地の上昇率が高く1.9%の上昇。住宅地は0.3%の上昇と10年ぶりに上昇に転じた。

大都市圏の地価上昇が地方へと広がり始めた。地方圏全体の商業地は0.5%上昇し、26年ぶりに上昇に転じた。

 

地価上昇をけん引しているのは引き続き、三大都市圏の商業地の上昇だ。東京・名古屋・大阪とも5年連続の上昇となった。

中でも上昇率が最も高かったのは大阪圏の商業地で、4.7%の上昇。2014年1.4%→15年1.5%→16年3.3%→17年4.1%→18年4.7%と上昇率が拡大。地価上昇は勢いを増しつつある。

大阪の地価が上昇している背景には、訪日外国人の急増に伴う「インバウンド消費」の増加がありそう。

昨年は特に大阪圏を訪れる外国人が多く、大阪の百貨店売り上げも全国の中で突出して伸びた。小売店の販売環境の好転で店舗用地のニーズが高まったほか、外国人観光客を狙ったホテル用地の取得など需要が増えた。

大阪市中央区道頓堀「づぼらや」の公示地価は1平方メートルあたり510万円と27.5%も上昇。大都市圏の商業地で上昇率がトップになった。

また、京都市南区東九条の「KKDビル」が210万円と27.3%上昇、名古屋では中村区椿町の「ミタニビル」が488万円と25.1%上昇した。商業地も住宅地も「上昇率上位」ベスト10には東京都の土地が一件も入っていない。

地価全国1位の「山野楽器銀座本店」は5550万円と、バブル以降の過去最高を更新し続けているものの、銀座での再開発事業が一巡したこともあり、上昇率は昨年の26%から9.9%へ、大幅に鈍化した。

先行して上昇してきた東京圏の地価は一服し始め、大阪や名古屋などが活気付いている。

地価は再開発が行われると上昇するが、東京都心では再開発の余地がだんだん乏しくなっているのに対して、名古屋や京都などはまだホテル新設の計画などが目白押しだ。

また、地方圏でも観光客の増加に対応したホテル建設などが増えつつあり、地価の上昇に結びついている。