昨年4月に新婚旅行先の大阪で、ニコチンの原液を使って19歳の妻を自殺に見せかけて殺害したとして、韓国の世宗警察署は28日、韓国人の男(22)を逮捕した。男は2016年12月にも同じく大阪で、ニコチンの原液を飲み物に混ぜて別の女性を殺害しようとした疑いも持たれている。男は警察の取り調べに対し「妻の自殺を手助けしようとしただけで自分は殺していない」と容疑を否認しているという。
事件の概要はこうだ。昨年4月25日未明、大阪の警察署に「妻が自ら命を絶った」と通報が入った。通報したのは今回逮捕された男だった。男は警察に対し「ホテルのトイレで妻がニコチンの原液を腕に注射した」と話した。男と妻は10日前に両家に内緒で入籍し、新婚旅行で大阪に滞在していた。
日本の警察は検死・解剖の結果、妻の死因をニコチン中毒と結論付けた。妻の血中ニコチン濃度は約3㎎/リットルだった。
日本の警察は、他殺の痕跡が見つからない上、男が妻の自殺を主張して帰国の意向を示したため、調査を打ち切ったという。男は日本で妻の遺体を火葬し、遺骨と共に韓国に帰国した。
闇に葬られるかにみえた事件は、夫妻が加入していた保険によって足が付いた。夫妻は大阪に出発する当日、空港で旅行保険に加入していた。内容は、旅行中に死亡した場合、相手が1億5000万ウォン(約1500万円)を受け取るというものだった。状況を不審に思った保険会社は警察に報告。警察はインターポール(国際刑事警察機構)と大使館から妻の検死資料を取り寄せて分析した。昨年10月には男の自宅を家宅捜索。このとき、男の携帯電話に、妻を殺して保険金を手にしたいという内容のメモが残っているのを発見した。さらに男には余罪もあることが分かった。男は2016年12月に別の女性(22)と大阪に遊びに行き、ニコチンの原液を飲み物に混ぜて飲ませようとしていたのだ。このとき女性は飲み物の味がおかしいと感じて飲むのをやめたため、一命を取りとめた。
警察は男が16年12月にインターネットで海外から購入したニコチン原液を使ったとみて調べを進めている。