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メイカースペースの作り方

メイカースペースとは何か——これから始める人に伝えたいことNEW

fabcrossの調査によれば、メイカースペースは2015年からの2年間で倍増していて、2017年10月時点では174もの施設が日本国内にある。
編集部が把握できていない施設も一定数あることを考慮すると、実際には200以上の施設があってもおかしくないし、日本全国のメイカースペースを漏れなく取材することは難しいだろう。それぐらいの勢いで伸びている。

私はこれまでの取材を通じて、多くのメイカースペース運営者や利用者の声を聞いてきた。
また、メイカースペースに関心を持つ事業者から相談を受ける機会もあり、場合によってはレクチャーに赴いたり、利活用の在り方について意見を述べたりすることも少なくない。
そうした経緯もあり、2017年からは日本で最も大きなメイカースペースと言っても過言ではないDMM.make AKIBAの運営にも関わっている。

この連載では関心が高まる一方で、あまりよく知られていない(と、私は認識している)メイカースペースについて、fabなびとは違う形で紹介することで、こうした施設に関心を持つ人たちに少しでも役立つ情報を届けたい。

メイカースペースとは何か

メイカースペースでは自由に工作機械が利用できる。どんな機材を置くかはメイカースペースを立ち上げるにあたって重要だ。 メイカースペースでは自由に工作機械が利用できる。どんな機材を置くかはメイカースペースを立ち上げるにあたって重要だ。

メイカースペース、ファブ施設、ファブスペース、ハッカースペースなど、さまざまな言い方があり、それぞれにニュアンスも異なるが、本連載ではメイカースペースに表記を統一する。

オープンイノベーションやベンチャー育成に地方創生、STEM教育など、さまざまな文脈のメイカースペースが存在する。
また、前述のような目的以外にもMakerたちの溜まり場として運営している場所や後述するファブラボのような営利を第一の目的としない施設もある。

DMM.make AKIBAではハードウェアスタートアップのプロトタイプを披露するデモイベントが定期的に開催されている。 DMM.make AKIBAではハードウェアスタートアップのプロトタイプを披露するデモイベントが定期的に開催されている。

工房機能以外のイベントがあることもメイカースペースの大きな特徴だ。単純な工房と違うのは、イベントやさまざまなサービスを通じて、運営者がコミュニティを形成している点にある。

個人向けの施設では機材の使い方や加工テクニックを向上させるための講習会があり、法人やスタートアップ向けの施設であれば投資家や大手企業とのマッチングイベントや試作/量産や知財などの相談会が開かれる。
また、ワークショップを開き、固定会員ではない利用者を募ってマネタイズする施設もあれば、会員の制作物をオンラインで販売したり、会員に販売方法そのものをレクチャーしたりする施設もある。一般的なコワーキングスペースでも、税務や起業に関する勉強会やセミナーを開催しているケースは少なくないが、メイカースペースは製造業にフォーカスしたものが多い。

2011年に当時のWiredの編集長で3D Robotics CEOのクリス・アンダーソンが出版した「MAKERS」が日本でも翻訳されたあたりから、Makersムーブメントに乗ってメイカースペースが増えはじめ、今日に至るまで急激な勢いで増えている。
この傾向は日本だけの状況ではなく、MITからスタートした市民工房ファブラボ(FabLab)は2016年に全世界で1000カ所まで増え、アメリカでは前オバマ政権時代に全米の学校にメイカースペースを導入することを政策として発表している。世界の工場とも呼ばれる中国・深センには400カ所ものメイカースペースがあるという説もある。

その一方でメイカースペースの「老舗」であり、象徴的な存在とも謳われたアメリカのTechShopが破産し全米の店舗が全て閉鎖されるなど、運営の厳しさを象徴する出来事も起きている。
実際に私が取材した先でも、持続可能な運営モデルやマネタイズに関する話に及んだケースも少なくないし、既にあるメイカースペースを参考にして、採算性が厳しいことを見越して、独自の運営モデルを作る事業者もいる。

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