いざ自己破産をやろうと思っても、
- まず自分が取るべき行動は何なのか?
- どのような書類が必要になるのか?
- 手続きはどのように進行していくのか?
など、自己破産の流れがわからないとどうしても不安が膨らんでしまします。
この記事では、自己破産を行う場合に取るべき行動や手続きに必要になる書類の詳細を踏まえ、破産手続の開始から解決(免責)までの流れについて解説します。
弁護士に相談する
自己破産申立を行う場合は、まず弁護士に相談することから始まりますが、費用面からしても無料相談を受け付けている弁護士に相談することをお勧めします。
自分で自己破産することも制度上は可能ですが、手続きが複雑すぎるので弁護士に依頼するのが基本です(裁判所のHPで自己破産の流れを説明していますが難しめです・・・)。
相談無料の弁護士は全国に数多く存在します。
しかし、自己破産は住民票上の住所を管轄する地方裁判所に申立てる必要がありますので、申立手を行う裁判所に近い弁護士に相談することが大切です。
また、弁護士は料金が高ければいい仕事をしてくれるというわけではなく、安くてもいい仕事をしてくれる弁護士も多く存在しますので、弁護士を選ぶ際は自己破産を解決した実績が多いということを重視してください。
弁護士に相談してすぐに依頼ということも可能ですので、早ければその日のうちに代理人弁護士を選任できます。
ここからいよいよ自己破産手続き(借金の免責手続)がはじまります。
まず、あなたが選任した弁護士が、各債権者に対して受任通知を郵送することになります。
これにより、受任通知が債権者に到着した時点で貸金業法により取立て行為が一時的に制限されることになります。
弁護士の選任から受任通知の送付までは通常2、3日程度ですが、悪質な業者の場合は催促が止まらないこともありますので注意が必要です。
その後、弁護士は依頼者の債権調査(あなたの借金がいくらあるか把握するための調査)を行います。
そのため、債権者に対して受任通知の郵送と同時に全ての取引履歴の開示を求めます。
開示された取引履歴から利息制限法の法定利息に従って引き戻し計算し、実際の債務額がどれくらいになるのかを確認します。
多くの債権者は1ヵ月程度で開示してきますが、消費者金融やクレジット会社等の中には開示までに3ヵ月程度必要となることもあります。
この場合、過払いが起こっている可能性が高く、払い過ぎた利息により借金が大幅に減額されることもありますし、過払い金が発生している場合は過払い金の返還請求を行うことになります。
必要書類の準備
自己破産を申し立てるには、裁判所で入手する書類や自分で用意する書類など、多くの必要書類を準備する必要があります。
・破産手続き開始及び免責許可申立書
・陳述書
・債権者一覧表
・財産目録
・家計簿
・住民票
・戸籍謄本
・給与明細書の写し
・市民税・県民税課税証明書
・全ての預金通帳の写し(直近2年分)
・賃貸契約書の写し
・不動産登記簿謄本
・退職金を証明する書面(見込み額)
・車検証の写し
・自動車や自動二輪車の査定書
・保険証券の写し
・保険解約返戻金証明書
・年金等の受給証明書の写し
・財産分与明細書
・財産相続明細書
・公的助成金の写し
・年金等の受給証明書の写し
・全てのクレジットカード
もちろん、裁判所で入手する書類は弁護士が用意することになりますし、記入が必要な書類に関しては自己破産を有利に進める為に弁護士主導のもと作成することになります。
これら必要書類は地方裁判所によって異なる場合もありますので注意が必要です。
また、基本的に必要書類は弁護士から指示がありますので、もしわからないことがあれば弁護士に相談することで解決できます。
弁護士の依頼から必要書類を揃えるまでにかかる時間は約1ヵ月程度になります。
破産の審尋
必要書類が揃えば弁護士はあなた(依頼人)と打ち合わせを行い、それに合わせて裁判所に自己破産の申立てを行います。
申立てから2週間から1ヵ月程度で裁判官と面接して事情を説明する破産の審尋又は審問が行われることになります。
破産の審尋では、用意した必要書類をもとに借金を作った理由や自己破産に至る経緯、借金の債権者一覧、他に借り入れが無いかの確認などを聞き取り、本当にこの申立人には自己破産が適切であるのかを判断し決定します。
また、破産の審尋(裁判所での自己破産の手続き)では破産開始の決定の前に「同時廃止」にするか「管財事件」にするかが決定されることになります。
同時廃止は破産手続きの開始と同時に手続きが終了することになりますが、同時廃止を選択するには目ぼしい財産がほとんどなく、破産手続費用を支払えないと認められることが条件です。ある程度の財産を持っている場合は管財事件となります。
一般的に個人の場合は同時廃止、法人や会社の場合は管財事件になることが多くを占めています。
破産の審尋は裁判官と弁護士、債務者の3人で面談することが多いですが、地方裁判所によっては、裁判官と弁護士の2人だけで面談し、同時廃止と管財事件のどちらが適切なのかをその日のうちに決定する「即日面接」という制度を利用することもあります。
この場合、申立から手続きの選択、破産の審尋までにかかる時間は即日又は3日以内です。もちろん、この場合は破産の審尋に申立人が裁判所へ出頭する必要もありません。
また、破産の審尋に関しては申し立て後すみやかに行うことが裁判所により定められていますが、必要ないと判断されれば「破産の審尋が行われないこともあります。」破産の審尋がある場合は事前に代理人弁護士に連絡があります。
破産手続き開始の決定
破産の尋問を経て、裁判所から正式に支払い不能と認められれば「破産手続き開始の決定」が下ります。
破産手続き開始の決定後、管財事件の場合は裁判所によって破産管財人が選定されます。
破産管財人は、申立人の財産の調査や管理、評価、換価から債権者への配当までを行います。
注意が必要なのは、同時廃止事件の場合は破産管財人が選定されず、財産もそのままで転居の制限や郵便物の検査等の不利益はないものの、免責許可決定(同時廃止決定)が確定するまでは債務の支払責任はなくなりません。
破産管財人による債権者への配当に関しては、全ての債権者を対象とした債権者集会が開かれ、裁判所は、債権者集会を介し債権者の確定と配分を決定し、配当という形で債権額に応じて平等に配分されます。
これで破産管財人の役割は終了になります。
申立てから債権者への配当までにかかる時間は管財事件の場合で約2ヵ月、同時廃止の場合は少し異なり、破産管財人は選定されず「破産手続き開始の決定後約2ヵ月程度で免責審尋期日」が指定されることになります。
免責審尋
同時廃止と管財事件のどちらにしても免責審尋期日までに各債権者が申立人の債務の支払い義務を免責するか否かを審理することになります。
また、裁判所はこの際に免責不許可事由(免責を許可することが正義に反する)に該当しないかも審理することになりますが、地方裁判所によっては問題がなければ書面審査のみで免責審尋を通過できることもあります。
基本的に免責審尋は借金の原因である本人が出頭する必要がありますが、正当な理由がある場合に限り、弁護士だけが出頭が許可されることもあります。
しかし、免責審尋は免責許可決定を得られるか否かのとても重要なポイントですので、やむを得ない事情がある場合以外は出頭するようにしてください。
免責許可決定
免責許可決定は免責尋問にもとづいて裁判所が判断することになります。
通常、免責許可決定は書面で通知されることになりますが、自分ではなく代理人である弁護士宛てに郵送されることになります。
また、この時点で官報に公告(自己破産の情報が記載される)ことになり、登録期間中の5年から10年は新たな借り入れが制限されることになります。
自己破産を弁護士に依頼した場合で、破産手続き開始の決定が下りれば、かなり高い確率で免責許可決定が下りています。
ギャンブルの借金だと不安はありますが、裁量免責という制度で実質上はかなりの確率で自己破産が認められますよ。
自己破産手続きにおいて必要書面の記入方法や裁判所、各債権者のとやり取りが重要なポイントであることは間違いありません。
そして、免責尋問から免責許可決定までにかかる時間は約1週間程度です。
関連記事:自己破産からの復権。普通は破産者1年以内に復帰できる
免責許可決定の確定
免責許可決定が下りたとしても、免責許可決定の効力が生まれるのは免責許可決定が確定してからです。
免責許可決定が確定するのは官報への公告がされてから2週間と定められています。この2週間という期間は債権者への異議申し立て期限として設けられたものです。
2週間のうちに異議申し立てされなかった場合、免責許可決定が確定することになり、全ての債務の支払い義務がなくなり免責ということになります。
ただし、その後も支払い義務が残るものも明確に定められています。
・税金
・罰金
・損害賠償金
・養育費
・離婚慰謝料
・(法人の場合)従業員の給料
関連記事:不法行為と自己破産の関係
これらは、自己破産で免責許可決定が確定しても免責されませんので、破産後も支払い続ける必要があります。
とは言え、悩みの種である借金に関しては全て免責されることになりますので、今までに抱えていた重荷はすべて消えてなくなると考えて間違いありません。
破産手続き開始の決定から免責許可決定が確定するまでにかかる時間は、手続きが順調に進行し、内容的にも問題がないケースで4ヵ月から5ヵ月が目安です。
いち早く借金生活からオサラバするためにも、自己破産を利用して人生の新たなスタートを切ってください。