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米オラクル(Oracle)は2018年3月27日(米国時間)、「全自動」をうたうデータベース(DB)のクラウドサービス「Oracle Autonomous Database Cloud」が利用可能になったと発表した。最新版の「Oracle Database 18c」をベースにし、機械学習によって開発した自動運用機能を備える。
オラクルのラリー・エリソン(Larry Ellison)会長兼CTO(最高技術責任者)は同サービスが、「人間の労働力(Human Labor)をDB運用の現場から完全に除去(Eliminate)できる」と力説した。DBアクセスの異常検知といったセキュリティ運用や、パッチ適用やソフトウエアアップグレード、システム負荷に応じたサーバーやストレージの追加・削除、クエリーのパターン分析に基づくデータベースのパフォーマンスチューニングなどを自動化したという。
エリソン会長は「人間の労働力の除去は非常に重要だ」とも語る。「なぜなら人間は必ず誤りを犯すからだ。人間の関与を排除し、システム運用を自動化することによって、ヒューマンエラーも消滅させられる」(エリソン会長)。
システムログを教師データに利用
DBの自動運用機能は、サーバーやDB、アプリケーションソフトウエアなどが生成するログを教師データとして機械学習することで開発した。「機械学習はインターネットの登場に匹敵する『ビッグディール』だ。自動運転が実現すれば、交通はより安全になり、コストも安くなる。それと同じことがDBの世界でも起きる」。エリソン会長はDB運用に機械学習を適用する意義をそう主張する。
エリソン会長は今回発表したOracle Autonomous Database Cloudが「『Amazon Web Services(AWS)』に対抗するための我々の答えだ」とも述べる。Oracle Autonomous Database Cloudは、オラクルのクラウドサービスである「Oracle Cloud」で稼働するが、「Oracle DBをAWS上で稼働するのに比べて、ITインフラストラクチャーの利用コストが半分以下になる」(エリソン会長)という。
稼働率のSLAは「99.995%」
稼働率に関するSLA(サービス・レベル・アグリーメント)でもAWSに対抗する。Oracle Autonomous Database Cloudの稼働率に関するSLAは「99.995%」で、AWSのDBクラウドである「Amazon RDS」の稼働率に関するSLAである「99.95%」よりも高い水準を設定した。99.995%の稼働率は「月間のシステム停止時間が2分半以下」を意味する。
今回サービスを開始したのはデータウエアハウス(DWH)用のクラウドサービスで、オンライントランザクション処理(OLTP)用のクラウドサービスは2018年6月に開始する予定。データ分析に特化したクラウドサービスも2018年夏に開始するとしている。