その後、会おうよーなど連絡がくるも、「じゃあどこでします?」「待ち合わせは」など具体的に聞くと「今日は疲れた」とか「家に着いてしまったから」などはぐらかされて、結局1回目以降会ってない。
そのくせ、「会いたいなー」とか「××してほしいな」とか気まぐれにメッセージが来て、完全にいいように弄ばれてる。今日も会う予定だったけど、「たたなそう」と来て結局会わず。身体もメンテナンスしたのに。どこ待ち合わせでもいいように乗り換えに都合の良い街にいたのに。
バカ女だな、と思いながら終電を逃して、マックで時間を潰していたけど、そんなに若くもないし、始発まで白光りした空間にいるのは身体がきつい。
あたたかい空間で横になって寝たい。と思って試しにナンパスポットと呼ばれる通りを歩いたら1人の男の子に声をかけられる。腕を引っ張られる。「ホテル行こうや」というシンプルで情緒もクソもない誘い。でも私の目的だって大概だしお互い様だ、と最低限「えー、でもお」とか躊躇うふりをして、着いていった。向こうも比較的すぐ応じた私に「よく、よう知らん男についていこう思うな」と驚きと共にちょっと引いていた。私も、こんなにたやすく寝る相手って見つかるんだ、とびっくりした。都会すごい。人口の多さ=選択肢の多さ、である。
体温が異様に高い人で、カイロみたいだった。セックスは普通。一通り終わったいまは首を無防備にさらし、眠っている。喉を掻っ切って、殺そうと思えば殺せるな、と思う。それはもちろん私も同様に殺される可能性があるということでもある。
すやすやと眠る彼の様子は、とてもかわいい。きっともう会わないだろうけど。ホテルの清潔なベッドで眠れて、あたたかくて、幸せ。お互い欲に突き動かされて、誰でもよくて、きっと私が朝違う人になっていても彼は恐らく気づかないだろう。偶然タイミングが合って、性器を接合させ、朝まで一緒に眠る。この日だけのための利害が一致した関係。