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【社会】

中学道徳、初の教科書検定 「国を愛する態度」評価へ

 文部科学省は二十七日、二〇一九年度から使用される中学校の道徳と、高校高学年用の教科書の検定結果を公表した。新たに正式教科となる道徳の教科書検定は、昨年度に小学校で行われ、中学校では初。教科書を使って「国を愛する態度」や「思いやり、感謝」などを生徒に教え、一人一人を評価する授業が始まる。

 中学校道徳の教科書は、八社が申請した分冊も含め全三十冊が合格し、すべてがいじめを取り上げた。

 教科書は、学習指導要領に教えるべき価値(内容項目)として規定されている二十二項目を網羅する必要があり、検定意見は計百八十四件。不備や項目違いの指摘が目立った。「友情、信頼」を学ぶ項目で「さまざまな『友情』」との記述に、異性への言及を満たしていないと意見が付き、「同性どうしの友情や異性との友情など」と加えて合格した例もあった。

 〇七年に学校教育法で義務教育の目標に愛国心教育が盛り込まれるなど道徳の教科化への動きが徐々に進んだ。一一年に大津市の中学二年男子のいじめ自殺事件が社会問題となり、政府の教育再生実行会議は教科化を提言、小学校は一八年度、中学校は一九年度からの導入が決まった。

 道徳は、今も小中で週一回程度、年間三十五時間の授業が行われているが、特別活動や学校行事と並ぶ扱い。中学校で「特別の教科」として正式教科となる一九年度からは評価対象になるが、教員は記述のみで点数は付けず、高校入試に使う内申書にも書かない。ただ、今回合格したうち五社の教科書には、生徒が自分の理解度を段階評価するページがある。

 高校教科書は、主に三年生が使う国語、数学、外国語、芸術、専門教科の計六十冊の申請があり、すべて合格した。

<教科書検定> 教科書会社が編集した出版前の教科書を文部科学省が審査する制度。教える内容を定めた「学習指導要領」を満たすことを基準に審査され、合格しないと教科書とは認められない。対象の学校種や学年は毎年異なり、各教科書の検定はおおむね4年ごとに行われる。

 

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