憲法学者で本紙に「憲法の新手」を連載中の木村草太氏(首都大学東京教授)の講演会「沖縄で考える憲法の未来」(主催・沖縄タイムス社、特別協力・連合沖縄)が27日、那覇市久茂地のタイムスホールで開かれた。改憲議論を巡り自民党が提案する「自衛隊の明記」は国民投票で任務を示さず、可決後に集団的自衛権が認められたとされる可能性があると警鐘を鳴らした。

憲法から沖縄、森友問題まで幅広く語った木村草太教授=27日、那覇市・タイムスホール

 木村氏は「自衛隊を明記するだけでは合憲かは定まらず、どこまで武力行使、任務を許すのかを書かなければならない」と訴え。一方で、国民投票で従来型の専守防衛である個別的自衛権だけを任務とするかを問う場合、可決されれば集団的自衛権を限定的に容認する安保法制の違憲が明らかになるなど、自民にとって任務を明確にした投票は難題だと解説した。

 自民が「自衛隊の明記」を掲げるのは国民投票で任務を曖昧にし、可決後に集団的自衛権が認められたとするための「任務曖昧化作戦」に見えると指摘。「国民投票は権力と国民の対話の機会。何を問うのかを明確にするべきで、空虚な国民投票は避けなければいけない」と強調した。

 また、基地問題や教育費無償化などについても憲法の視点から語った。