優性遺伝-イメージ

「ワキガは遺伝するって聞いたけど、本当なの?」

「自分がワキガで苦労したので、子供に遺伝すると思うと心配」

「親がワキガなので、自分にも遺伝しているのか不安」

という疑問や悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、ワキガが優性遺伝するメカニズムや両親がワキガの場合の遺伝確率について、まとめてみました。

ワキガは遺伝するって本当?

自分がワキガで悩んでいた方や両親のどちらかがワキガの方は、「ワキガは遺伝する」という説は信じたくないですよね。

ですが、「ワキガは遺伝する」というのは、残念ながら本当のことなんです。

ワキガの原因となるアポクリン汗腺の数や大きさは、遺伝によって決まるからです。

アポクリン汗腺が活性化するのは、子供から大人の体に成長する第二次性徴の頃と言われています。

つまり、ワキガが発生するのは、個人差はありますが、9〜14歳頃になります。

父親・母親がワキガの場合の遺伝確率は?

両親がワキガの場合、どのくらいの確率で子供に遺伝するのでしょうか?

父親と母親のどちらかがワキガの場合、その子供がワキガになる確率は50%~70%と言われています。

両親がどちらもワキガの場合は、約80%だそうです。

かなり高い確率ですね。

両親がワキガではなくても、祖父母がワキガの場合に隔世遺伝するというケースもあります。

ワキガが優先遺伝するメカニズム

ワキガの遺伝確率が高い理由「常染色体優性遺伝」とは?

ワキガが高い確率で遺伝するのは、「常染色体優性遺伝」という遺伝形式と関係しています

ワキガの原因となるアポクリン汗腺の数や大きさは、「常染色体優性遺伝」で遺伝します。

「常染色体優性遺伝」は常染色体上に存在する1対の遺伝子の片方に存在すれば遺伝するという高い確率の遺伝形式なんです。

二重まぶたや富士額なども「常染色体優性遺伝」で遺伝することが知られています。

ワキガの原因となるアポクリン汗腺とは

汗を分泌する汗腺には「アポクリン腺」と「エクリン腺」の2種類があります。

ワキガの原因となる「アポクリン腺」は、わきの下・陰部・耳の中(耳の後ろ)・肛門・乳輪など、限られた部位にのみ存在する汗腺です。

「アポクリン腺」から出る汗は、アンモニアや脂質やタンパク質など、匂いの素になる成分を多く含んでおり、この成分が皮膚の常在菌に分解されると、ワキガの匂いが発生します。

「アポクリン腺」は誰にでも存在しますが、ワキガの人の場合は、「アポクリン腺」の数が多く、大きいため、匂いも強くなりがちだというわけです。

ワキガの判断基準は?

ワキガと耳垢の関係

ワキガかどうか自分で判断する基準はあるのでしょうか?

実は、ワキガかどうかを自分でチェックできる簡単な方法があります。

それは耳垢が湿っているかどうかです。

「アポクリン腺」は耳の中にも存在しますが、耳の中の「アポクリン腺」から出る汗の量が多いと、耳垢は湿ったものとなります。

耳の中の「アポクリン腺」と脇の下の「アポクリン腺」の数はほぼ比例しているので、耳垢が湿っている人はワキガ体質である可能性が高いのです。

耳垢のタイプを決めるのは「ABCC11遺伝子」

耳垢が湿っている人にワキガが多いことは医学的な研究でも明らかになっています。

ある疾患に関する研究の中で、耳垢型を決定する遺伝子が染色体16番に存在することが偶然発見されました。

その後、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の新川詔夫教授らの研究グループが研究を進め、耳垢型を決定する遺伝子が「ABCC11遺伝子」という薬剤耐性に関連する遺伝子であることを突き止めました。

この「ABCC11遺伝子」の特定の場所の塩基の組み合わせが「GとG」か「GとA」だと湿型の耳垢になり、「AとA」だと乾型になるそうです。

湿型の耳垢ということはワキガ体質である可能性も高いということでしたね。

つまり、「ABCC11遺伝子」のわずか1か所だけの違いで、ワキガ体質かどうかが決まってしまうんですね。

「ABCC11遺伝子」は間接的ではありますが、ワキガとの関連性があることから、「ワキガ遺伝子」とも呼ばれているとか。

ちなみに「ABCC11遺伝子」は、細胞の中に入ってきた薬物や物質を細胞の外に排出する機能を持つ遺伝子で、耳垢のタイプによって、薬の効き方も違ってくるそうです。

ワキガはフェロモンの役割を果たしていた?

「ワキガの人はモテる」という話を聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

一般的には敬遠されることが多いワキガですが、実は元々は異性を惹きつけるフェロモンの役割を果たすものだったそうです。

アポクリン腺のある部位が性的な部位(わきの下・陰部・耳・肛門・乳輪)に集中しているのもそのためです。

人間の嗅覚が退化するに伴って、アポクリン腺は減少していきましたが、現代でも

「男性のワキの匂いが好き」

という女性も存在するようです。

ワキガの遺伝まとめ

ワキガが優性遺伝するメカニズムや両親がワキガの場合の遺伝確率について、ご紹介しました。

【この記事のまとめ】

  • 父親・母親がワキガの場合の遺伝確率は50%~70%で、両親ともワキガの場合は、約80%
  • ワキガが高い確率で遺伝するのは、「常染色体優性遺伝」という遺伝形式のため
  • ワキガかどうか自分で判断する基準は、耳垢が湿っているかどうか
  • 耳垢のタイプを決めるのは「ABCC11遺伝子」
  • ワキガは元々は異性を惹きつけるフェロモンの役割を果たしていた

遺伝によって決まってしまうワキガですが、消臭剤や消臭クリームなどを使って、匂いを消すことは十分可能です。

自分でワキガの匂いが気になってしまうと、毎日の生活を積極的に楽しめなくなってしまいますよね。

現在はワキガ対策用の消臭剤など、良い製品がたくさん販売されているので、気になる方は上手に利用して、匂いを気にすることなく、積極的に毎日を楽しみましょう!