米FTC、個人情報取り扱いでフェイスブックへの調査を発表
米連邦取引委員会(FTC)は26日、フェイスブックのユーザー5000万人の個人データがどのようにして英ケンブリッジ・アナリティカ社の手に渡ったのか、フェイスブックを調査すると発表した。
データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカが入手した情報は、ドナルド・トランプ氏が米大統領に当選した2016年の選挙で同氏陣営を支援するのに使われたとみられている。
FTCは同委員会の調査が、フェイスブックがユーザーのプライバシーを守ることに「失敗した」のかを究明するだろうと述べた。
何兆ドルもの罰金が課されるきっかけになるかもしれないと元FTC幹部が指摘する、FTCによる調査開始のニュースを受けて、フェイスブックの株価はニューヨーク市場の午後の取引で6.5%下落。その後わずかに値を戻した。
FTC消費者保護局のトム・パール局長代行は、ユーザーデータ漏洩(ろうえい)の報道を「非常に深刻に」受け止めていると語った。
パール氏によるとFTCは、個人情報を安全に保つことを求める法に違反して消費者に相当な損害を引き起こした会社に対し、定期的に「法執行の行動」を取っているという。
フェイスブックは、ソーシャルメディアにおけるプライバシー保護を定めた2011年のFTCの同意審決に従う義務がある。
FTC消費者保護局のデイビッド・ブラデック元局長は、同意審決の違反は1件につき4万ドルの罰金だと語った。
もし5000万人分のデータが実際に漏洩していた場合、フェイスブックの罰金による財務リスクは数兆ドルに上るだろうと、ブラデック氏は米ワシントン・ポスト紙に述べた。
フェイスブックのプライバシー副責任者ロブ・シャーマン氏は米CNBCに、「FTCが持っているだろう疑問に答える機会をうれしく思う」と話した。
漏洩したとされるデータは、ユーザーに性格診断クイズに回答するよう促すアプリを経由して収集された。クイズに回答したのは27万人だけだったが、アプリはさらに数千万人分以上の情報を、フェイスブックが所有するデータを利用する形で得ることが可能だった。
フェイスブックは、同じ方法でデータを収集する他の第三者を止められるよう、ユーザーの同意を得る規約を変更したとしている。
米37州の州司法長官が合同で結成した超党派グループも26日、フェイスブックに対し、データ漏洩は何が原因として起こったのか、同社はどのようにしてそれが起こるのを許したのかについての質問状を出した。
「それぞれの州において法を執行する責任者として、企業の失敗により適切な保護が確保されてこなかったことで何度もリスクに晒されてきたユーザープライバシーの保護を、我々は重要視している」と同グループは書簡で発表した。
フェイスブックは、イギリスのデータ保護当局や、欧州委員会による調査にも直面している。
FTCが調査するとの発表は、フェイスブックが米国や英国の新聞に、データの管理ができなかったことを謝罪する広告を掲出した後にあった。
広告でフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、数千万ユーザーのデータが不適切に用いられることを止めるために、同社にはもっとできることがあったとした。
ザッカーバーグ氏はページ全面広告の中で「これは背信行為だった。申し訳なく思っている」と述べた。
同社は、同じようなデータ流出が二度と起こらないよう、対策を施しているとした。
一方、ある有力な上院委員会の議長を務める共和党上院議員は、「消費者データの保護と監視について」証言させるため、ザッカーバーグ氏を来月の公聴会に招いたと語った。
上院司法委員会の議長を務めるチャック・グラスリー上院議員は、「このようなデータがいかにして不正利用されたり不適切に移動されたりするのか、そしてフェイスブックのような企業がユーザーの個人情報をより適切に保護したり、その過程における透明性を更に確保するために、どのような対策がとり得るのか」議論するため、ツイッターやグーグルの代表者も招待したと述べた。
グラスリー氏の委員会は、ケンブリッジ・アナリティカ社のスキャンダルが発覚して以降、ザッカーバーグ氏に証言を求めた3つ目の米議会委員会となると、AP通信は伝えている。
(英語記事 Facebook faces Federal Trade Commission privacy inquiry)