●James Hamilton, “English for fun and profit”(Econbrowser, July 10, 2007)
東京滞在記の続きになるが、東京の街中を歩いていて目を引かれることは他にもある。日本では英語がビジネスの世界にロマンティックなかたちで取り込まれているようなのだ。英語がメタファーとして自由闊達に援用されており、日本人の間では一つひとつの英語の表現がアメリカ人が受け取るのとは違った意味で通用しているらしい。いくつか例を紹介するとしよう。
まずは「フレッシュネスバーガー」。日本で人気のハンバーガーチェーンの社名らしい。
散髪に行くならどこがお薦めだろうか? 「エンジェルゲート」(「天使の扉」)1じゃなかったら一体他にどこに行けばいいだろうか?
「エンジェルゲート」の隣には黄色の文字で「ボーディングハウス」(「下宿」)と紹介されている建物(マンション)があるが、その入り口には“smoky”(「煙たいです」)との売り文句が書かれた看板が掲げられている2。「エンジェルゲート」で散髪してから隣の“smoky”な建物に寄るよりはまずは“smoky”な建物に寄ってからその後に「エンジェルゲート」で散髪した方が得策だろう3。
以下の店を訪れるお客は一体何を買うつもりなのだろうか? 私には見当がつかない。
ところで、英語よりも日本語を得意とする面々に朗報だ。横浜国立大学の教授である沖本竜義氏と成蹊大学の教授である井上智夫氏の両名(日本滞在中に親切なホスト役を務めてくれた二人)が拙著の『Time Series Analysis』を日本語に訳してくれたのだ。上下二巻本として出版されたばかりで売れ行きは順調らしい。
邦訳版でもきらりと光る記述は元のまま(英語表記のまま)のようだ。
コメントを残す