Photographer: Jin Lee

急反発したS&P500種、あらゆるところから突然の買いサイン

  • 強気要因はチャート、バリュエーション、ファンドのポジション
  • S&P500種は週明けに2.7%高-先週は週間ベースで2年ぶり大幅安

ほんの数日前には絶望的に見えていた米株式相場が突然、買いサインを発している。

  26日の米株式市場でS&P500種株価指数は前週末比2.7%高と、2015年8月以来の大幅な上げで終了。先週には週間ベースで2年ぶりの大幅安となっていたが、力強い回復を遂げた。表面的にはムニューシン米財務長官が市場を安心させる発言を行い、先週の貿易戦争懸念を打ち消したことで、アニマルスピリットが再燃した。

  ただ、ウォール街のストラテジストを対象とした調査では、S&P500種の急伸の背景には複数の要因が重なっていることが示された。バリュエーション(株価評価)からチャートのパターン、ファンドのポジションに至るまで多くの要因が、投資家が無視するわけにはいかない強気サインを示している。

ニュートン・アドバイザーズの社長で創業者のマーク・ニュートン氏がS&P500種への慎重かつ楽観的な姿勢を説明

(出所:Bloomberg)

テクニカル分析

  S&P500種は23日に200日移動平均近辺で引けた。200日移動平均は過去2年間にわたり同指数の下値支持線だった。2月の急落時も、この支持線は持ちこたえた。

  S&P500種は先週の下落で、多くのチャートウオッチャーが見守ってきた持続的上昇の実現へのハードルを乗り越えた可能性がある。エバコアISIのテクニカルアナリスト、リッチ・ロス氏は顧客向けリポートで「ダブルボトムを再び試す準備が整った」と指摘。先週の下落は「再びV字回復を開始する」ための理想的な短期的背景になっていると分析した。

バリュエーション

  S&P500種の株価収益率(PER、予想収益ベース)は、23日の終値ベースで16倍となり、2月前半に付けた低いバリュエーション水準を下回ったほか、16年6月の欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票や同年11月の米大統領選という2つの主要イベントの際に付けた低水準にも近づいた。

  来月始まる米決算シーズンで、企業利益は投資家に自信を与える公算が大きい。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によると、S&P500種構成企業の1-3月(第1四半期)利益は17%増加すると見込まれている。

ファンドのリバランス

  株式を買うべきもう一つの理由は、ファンド運用者が売りを終了した可能性があることだ。プロの運用者は2月以降に株式へのエクスポージャーをほぼ縮小し終えた。「リバランスの買いが今後1週間にかけて支援材料になると予想している」とUBSの米株戦略責任者キース・パーカー氏が指摘した。

原題:Suddenly Everything’s a Buy in S&P 500 Roaring Back From Brink(抜粋)

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