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もう英文メールに困らない!? 便利な修正サービス“Grammarly”

  • ライター 堀 E. 正岳
  • 2018年3月27日

翻訳サービスを使っていても、英文メールのやりとりは苦労が多い [gettyimages]

 英語でメールを書かなければいけないビジネスシーンは増える一方だが、翻訳サービスを使っていても、英文メールの作成はなかなか大変なのが現状だ。

 Google翻訳を代表とするサービスはざっとした訳文はつくってくれるが、ほとんどの場合、どこか文章の流れが不自然で、送りたい内容にふさわしくなかったり、表現が堅苦しかったりする。結局、満足のゆく状態になるまでかなりの手間をかけて修正しなければならない。

 アニメの秘密道具のように、サッと英語を上手にしてくれるツールはないものか……と悩んでいる方も多いのではないだろうか。

 そんな夢の道具をほんの少しだけ実現し始めているのが、最近英語圏で「自分らしい上手な文章が書ける」と注目されている文章修正サービス「Grammarly」だ。簡単なスペルチェックや文法のチェック機能なら、すでにワープロソフトに機能として組み込まれているが、Grammarlyはそれをさらに一歩進めた「より良い文章を書くためのサポート」をしてくれると話題のサービスだ。

ただの修正ではない、上手な文章をサポートしてくれるサービス

 GrammarlyはWindows版のWordやOutlook、ブラウザ版のエディタを通して利用することができるツール。初回登録をおこなうと、仕事用なのか友人とのやりとりなのかといった利用目的と、英語の習熟度についての質問が表示される。順番に設定すれば、使い手に合わせてパーソナライズされた修正をしてくれるようになる。

 準備できたら、あとは文章を書くだけ。文字を打ち込んでいくと、Grammarlyの自動アシスタントがリアルタイムで文章を修正してくれるという仕組みだ。スペリングの間違いや、単数・複数、過去形などといった基本的な間違いはもちろん、コンテキストを判断して文章の修正案も提案してくれる点が、何よりも優れた点と言えるだろう。

 例えば「渋滞に遭遇していた」というつもりで ”stuck at a traffic jam” という文章を書いたとしよう。するとGrammarlyは即座に “at” の単語に赤い下線を表示して注意を促してくれる。アシスタント欄に目をやると「このコンテキストではatではなく、inを使うのが自然でしょう」という忠告が表示されており、「渋滞に」といいたいなら自然な表現はこちらだということが理解できる。

 修正をその場で受け入れてもよいし、もし納得がいかないならば、膨大な数の例文を表示して、なぜGrammarlyが修正案を提示しているのかを確認することができる。そして、この例文をもとに、効率的に使いたい表現を探すことができるのだ。

 日本人としてGrammarlyを使っていて特に助けられるのが、ネイティブでも間違えやすいコンマやアポストロフィーの使い所だ。場違いなコンマはもちろん、「ここにコンマを入れるべきだ」というコンマの不在もGrammarlyはハイライトして教えてくれる。

 なにもかもがWordの文法チェックよりもすこしだけ世話焼きで、英語に自信がないユーザーにとってはかえって心強い。

実際の使用画面。表現が適切になるよう強調表示で修正案を教えてくれる

有料のプレミアムサービスも充実

 さらに有料のプレミアムサービスとして、上手な文章を書くための助言も与えてくれる。ふさわしくない用語やフレーズ、不適切な語彙(ごい)の選び方、長過ぎる文章についても指摘して、修正案を提示してくれるのだ。

 論文などの専門的な文章を書く人ならば、同じくプレミアムサービスに含まれている剽窃(ひょうせつ)に対する警告機能も重宝するだろう。この機能は、80億件にのぼる学術データベースやウェブサイトの文章をもとにして、他の人の著作に酷似している場合には警告を表示してくれる。意図していないのに剽窃を疑われるような文章を発表してしまう前に、それをチェックしてより個性的な文章を書くことができるのだ。

自分らしい英語を使いこなす

単なるチェックだけではなく、そのまま英語学習の機会にもなる一石二鳥のツールだ[gettyimages]

 Grammarlyの魅力は、文法的には正しいが一本調子でロボットのような英文を強制するのではなく、自分らしい文章の個性を保ったまま、英語のクオリティーをレベルアップできる点だ。時間と予算に余裕があれば、じっくり英語を学ぶのもいいだろう。

 しかし、Grammarlyを使えば、英語教室に通ったり通信教育を受けたりするよりも安いコストで、いま書いている文章の質をすぐに向上させることができるし、提示される修正案を検討する過程は、そのまま英語学習の機会にもなる。つまり、利用するだけですぐに英語の執筆能力を底上げできる、一石二鳥のツールなのだ。

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 スペルと簡易文法チェックを試してみたいという人には、スマートフォンの追加キーボードとしてインストールできる、アプリ版のGrammarlyがおすすめだ。AndroidとiOS両方のツールが用意されている。

 英数キーボードをこの追加キーボードに切り替えるだけで、どのアプリで文字を入力していてもリアルタイムにGrammarlyのチェックがおこなわれ、その威力を体験できるだろう。

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