米老舗銃器大手レミントンが破綻 銃規制議論高まるなか
米国で最も古い銃器メーカー、レミントン・アウトドアは26日、米破産裁判所に対し連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。販売低迷で業績が悪化していた。
レミントンのスティーブン・ジャクソン最高財務責任者(CFO)は東部デラウェア州の破産裁判所に提出された文書で、過去1年間で販売が急減し、債務返済に支障が生じていたと述べた。
南部フロリダ州の高校で17人が死亡した銃乱射事件を受けて、銃規制強化を求める声が再び高まっており、今月24日には、米各地で銃規制を求めるデモが行われた。
米国の一部の小売業者は、銃購入の年齢制限を21歳に引き上げたり、半自動小銃の在庫を置くのをやめたりする対応を取っている。
米連邦捜査局(FBI)では、大統領選があった2016年に銃購入希望者の身元確認件数が過去最高に達したが、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任した翌年には、件数が大幅に減少した。
アナリストらは、トランプ氏の対立候補だったヒラリー・クリントン元国務長官が当選すれば、銃規制を強化する政策を取るのではないかとの懸念から、大統領選前に人々が銃購入を急いだと指摘した。
トランプ大統領の就任後、銃販売が急減したのは、合衆国憲法修正第2条がうたう武器を所有し携帯する権利を、共和党の大統領は守るだろうと考える銃愛好家たちが、銃の購入を急がなくなったのが背景にあるとみられている。
ライフル銃やショットガンの製造・販売で知られるレミントンは、1816年に創業。
2012年に東部コネティカット州のサンディフック小学校で児童ら26人が死亡した銃乱射事件で、犯人がレミントン社製のライフル銃を使っていたことが明らかになると、犠牲者の遺族は同社に対する訴訟を起こした。
連邦破産法11条の下では多くの場合、債務者は一定期間の債権者への返済や事業再編の案を提出する。レミントンもその間、事業を継続する方針。
<解説>レミントンは破綻を自ら招いた――ナタリー・シャーマン BBCニュース(ニューヨーク)
銃規制強化を求める抗議デモが相次ぎ、競合するコルト社も2015年に破綻したなかで、レミントンの破綻を見ると、絶対変わらないと思われた米国の銃社会が変化する兆しなのだと、とらえる誘惑に駆られる。
しかし、慎重に考えるべきだろう。
まず、レミントンは自らが原因の多くの問題を抱えていた。財務報告書の間違いや製品の不具合などだ。
同社は、販路としてウォルマートやディックス・スポーティング・グッズに依存するが、これらのチェーンは、消費者がネットでの購入にシフトするなか、あらゆる商品分野で顧客離れに苦しんでいる。
レミントンはその上、米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントの傘下で10年間にわたって買収を続けてきた結果、頻繁に赤字を計上し、負債は10億ドル(約1055億円)超に上っている。
昨年のレミントンの売上高は6億300万ドルと、2013年の約半分になり、大幅に減少したが、アナリストの大方は、トランプ大統領の就任で新たな銃規制への懸念が後退したためだと指摘した。
レミントンが発表した事業再編計画では、債務の大半がなくなる見通しで、新たな所有者の下で、同社は事業を継続する。連邦破産法11条の適用申請後もさらなる動きが予想される。