image credit:Fiona Presly
犬や猫と人間の友情物語というのはよく耳にするが、イギリス・スコットランドに住むフィオナ・プレリーさんはハチと友情を育んだようだ。
昨春のこと、フィオナさんが自宅でガーデニングに勤しんでいると、土の上にハチがいるのが目に入った。マルハナバチの女王のようだがよく見ると羽がない。
どうやって助ければいいのかしら?とフィオナさんは考えた。そしてそこから、二人(?)の友情物語がスタートすることとなる。
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飛べないハチを保護して見守ることに
フィオナさんは羽のないハチに砂糖水を与え、ヘザーフラワー(ぎょうりゅうもどき)の上にそっと置いた。自分で好きなところに移動できるようにとの配慮からだ。
しかし数時間後、ハチはヘザーフワラーの上から動いておらず、タイミングの悪いことに嵐がやってきそうな雲行きだった。
フィオナさんはハチを家の中に連れて行き、暖かい場所で砂糖水を与えた。翌日も天候が悪かったため、そのまま家の中で見守ることにした。
image credit:Fiona Presly
image credit:Fiona Presly
快適に暮らせるように専用の庭を制作
それにしてもどうして羽がないのかしら?フィオナさんは不思議に思った。そこでマルハナバチの保護活動を行う団体「Bumblebee Conservation Trust」に連絡して助けを求めた。
するとハチは羽の成長に問題を引き起こすことで知られるウィルスをもともと持っていること、飛ぶことのできないマルハナバチの女王が野生で生き残れるチャンスはわずかだということが分かった。
フィオナさんが保護したハチは羽がないこと以外は健康そうだ。
image credit:Fiona Presly
そこでなんとか生き残れるように、フィオナさんはそのハチをビー(Bee)と名付けて専用の小さな庭を作ってあげることにした。
ビーが渡り歩けるように発泡スチロールの中に花々を植え、外敵が侵入しないようにネットをかけた。
image credit:Fiona Presly
毎日、ビーの様子を気にかけて、天気が悪い日は屋内へ庭を移動させた。
image credit:Fiona Presly
ハチと人間の間に芽生えた友情
そうこうするうちに、予期せぬことが起こった。フィオナさんが庭を訪れるとビーが出迎えてくれるようになったのだ。
それどころかフィオナさんの手に乗ったり、顔にくっついたりとコミュニケーションを楽しむようになった。
そしてビーは快適な小さな庭で約5ヵ月間暮らした後、フィオナさんの手の中でその生涯を閉じた。
フィオナさんはビーとの友情について
ビーが死んだときは悲しかった。でもビーのように小さな生き物と友情を育めるなんてとても特別なことだわ。ビーが私の作った庭で約5ヵ月も暮らしてくれたという事実に驚いているのと語っている。
マルハナバチの本種は穏やかな性質で刺されたとしても毒性は弱いみたいなんだけども、それでも刺されるとかなり痛いみたいなんだ。
フィオナさんとビーの場合にはそういったことはなく円満に友情を育んじゃったりしたんだろうか?
ビーが「フィオナは友だちだから!」って認識して刺さなかったんだとしたら、それってハチにも意識があり、感情があるということになる。
事実2016年に、マルハナバチには感情があるという研究結果が発表された。
・昆虫にも感情がある?マルハナバチが喜びの感情を持っていることが明らかに(英研究) : カラパイア
さらに昨年発表された研究によると、マルハナバチの知能は高く、道具を使いこなし学習能力に優れ、認知能力も高いという。
・昆虫とあなどることなかれ!感情があり、道具をも使いこなす高度な知能を持つマルハナバチ(英研究) : カラパイア
だとすると、フィオナさんのビーが彼女になつくのも不思議ではないってことか。マルハナバチすごいわ。
References:The dodo / Bumblebee Conservation Trustなど / written by usagi / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
フィオナさんみたいな優しい人に本当に出会えてよかったね
2. 匿名処理班
人間が出す「もふもふ可愛い好き」っていう空気を感じて安心してるんじゃなかろか
虫は空気にとても敏感だし
クロマルハナバチは2回くらい救出した事あるが
手が暖かいのかほっとくといつまでも手の平にいるんだよね
日差しが当ってる葉っぱの上に置こうとしても手に戻って来て可愛かった
3. 匿名処理班
一寸の虫にも五分の魂(感情含む)、だよな
4. 匿名処理班
マルハナバチは社会性がないので女王もクソもないよ
握りつぶさない限り刺さない
5. 匿名処理班
危険のない相手と判断してるだけで昆虫がなつくことはない
6. 匿名処理班
毎年、羽化不全のチョウを家で面倒見るからわかるわ。
虫も懐くよ。
7. 匿名処理班
多分人間が理解できないだけで、どんな生物も感情を持ってるんじゃないのかな
フィオナさんとビーの交流はとても素晴らしいものだと思う
8. 匿名処理班
蜂の針は卵管が変化したものだから女王蜂に針は無いよ
9. 匿名処理班
名前はもうちょっと
どうにかならなかったのだろうかw
10. 匿名処理班
カブトムシを何代か飼育し続けましたが幼虫にさえ豊かな感情が有るのを何編か目撃しました。成虫に至ると人間と変わらない程です。
11. 匿名処理班
「虫は有機体の機械みたいな物」って認識が崩されそう
12. 匿名処理班
そのハチをビーと名付けたw
13. 匿名処理班
※5そんなこと言うなよw
14. 匿名処理班
世の中のすべての動植物には感情があるのは明らか
植物ですら感情を持つ
人間が認知できないか恣意的に理解しないだけ
>それってハチにも意識があり、感情があるということになる。
何を今さら言っているのだろう?
人間目線で上から見ていて恣意的に理解しないのなら
動植物について語る資格なし
15. 匿名処理班
※4
ウィキによると「ミツバチと同じように女王バチのみが産卵を行う社会生活を行い、交尾を済ませた女王バチのみが越冬し、翌春単独でコロニーを創始する。」だそうですよ
16. 匿名処理班
わかる!
このはちふわもこまんまるでかわいいんだよ。
ミツバチもかわいい。
かわゆくないハチは毛がないんだ(スズメバチとか)
17. 匿名処理班
いい話だ・・・
いい話なんだけども・・・
名前はもうちょっと何とかならなかったのか(´・ω・`)
18. 匿名処理班
※4
マルハナバチは真社会性の昆虫ですよ。
女王バチがいて働きバチ、雄バチがいます。
他のマルハナバチの巣に潜り込んで餌を盗む
寄生種ヤドリマルハナバチと混同しているのでは。
19.
20. 匿名処理班
※7
「観測できない(データとして採取できない)モノは無いのと同じ」
という一部科学者の科学論に現代人は毒されすぎなんだよね……
21. 匿名処理班
蜘蛛にしか見えない
22. 匿名処理班
ハチ(bee)にハチ(Bee)って名付けるのか
23. 匿名処理班
犬猫鳥類みたいな懐くとは違う感情だろうけど、社会性の高い虫だから環境に慣れるということはあるだろうね。
24. 匿名処理班
虫は懐いてるように見えるだけで懐いてないんだよね
捕まえたばかりのカマキリやカブトムシも持ち方によっては手のひらでくつろいでるように大人しくしてる個体もあるけど、別に懐いてるわけじゃないし
25. 匿名処理班
儚い
されど、愛らしくも素晴らしい友情ですね
26. 匿名処理班
もふもふで可愛い!
27. 匿名処理班
※8
針はあるよ
産卵管として使用しないだけ
28. 匿名処理班
心と心が通じ合ったんだね
ソウルメイトは人間と虫の間にも存在した
29. 匿名処理班
これはお互いにツイてたな。
30. 匿名処理班
女王蜂なら針はないよね
31. 匿名処理班(T_T)
正直この記事の写真も見れない位に虫は苦手だけど、人と同じように虫にも心がある事を見つめ直されるような話でした。
見た目や言葉、思考が違っても、相手は世界で1つだけの存在だということを忘れてはならないと、虫だけに限らず全てのものに考えて行動したいな。がんばりたい。
32. 匿名処理班
>マルハナバチの保護活動を行う団体「Bumblebee Conservation Trust」
色んな団体があるんやな……
33. 匿名処理班
脳細胞が2個だったか50個だったか忘れたが脳細胞が数えれるほどしかないナメクジでも複雑な行動できるし、意識とはなんだろうかと考えさせられる。
34. 匿名処理班
優しさにほっこりした。
35. 匿名処理班
『ハチ、約束の蜂』
36. 匿名処理班
長年「どんな巣に住んでるのかしら」と
ナゾだったけど、
TVで木の小さなウロに住んでるのを見たよー。
独り暮らしか家族住まいか、分からないけど。
37. 匿名処理班
マルハナバチ可愛いよな~、存在感あるフォルムだからいきなり目の前に飛び出されると、一瞬ビビる時もあるがw
『虫なんかなつかない』とか言ってるヤツもいるけど、種類と個体差にもよるぞ。
昔家に住み着いたハエトリグモは結構賢かったし、可愛いヤツだった。
『そこいると踏まえるぞ~』とか注意すると、ちょと考えて(?)から別ルートに移動したり、遭遇する度挨拶してたら、そのうち向こうからヒョコッと出てきて、俺の顔見て(?)からいそいそ偵察に行ってた。
人の言葉を理解してたとは思わんが、ニュアンスっつーか雰囲気は伝わってたんだろうな。
因みに餌とかやったこと無いし、威嚇もされたこと無かったなー…。
そいつ以外はダメだったがw
38. 匿名処理班
以前にどこかのサイトの記事で、ミツバチの巣の近くにスズメバチの頭の部分だけを放置してミツバチの反応を観察する…というのを見た記憶が有るけれど、ミツバチが『アワワ…!腰が抜けた!』って感じの反応をしているのを見て、ああこいつら、案外と頭が良いわ!と思った。(ここのサイトの記事だっけ?3~4年くらい前だと思うが?)昆虫は、ちゃんと自分の周りの状況を見て判断できるんだよ。
39. 護国防人
コガタスズメバチの働き蜂だって、巣への攻撃しなければ刺してはこない。
マルハナバチは元々、おとなしいし危害を加えなければ攻撃なんかしない。
そもそも女王蜂であれば針は無い(元々は卵管が変化したモノ)牙も小さい。
女王蜂単独で居たと云う事は、巣から追放されたとからです。
昆虫に愛情を注ぐ人達は「虫にも感情がある!」と断言しますが、私は懐疑的です。
只でさえ環境破壊の根源である人間が、これ以上は自然体系に関与しない方が良いと思っています。
弱った女王蜂を糧として生き長らえる鳥や昆虫も居るのですから・・・・・・
40. 匿名処理班
もふもふシマシマで可愛いんだよねえマルハナバチ。大好きだ。
41. 匿名処理班
蜂で針がないのはオスね。針は産卵菅が変化したものだからオスには無い。
虫も相手が害を及ぼさないって認識すると懐くというか警戒しなくなるんだよね。観察しててもその瞬間はわかって、なんか一体感を覚えたりする。