トヨタ高岡工場の生産職従業員は、天井からつるされた「一体化作業台」を押しながら歩く。部品と工具が載っている作業台で、部品や工具をひっきりなしに入れ替えて使うことに不便を感じた現場の従業員がアイデアを出し、設置した設備だ。トヨタの一部工場には蛍光灯が床に設置されている。車体の下部をしっかり見るために現場の作業員が出したアイデアが反映されたものだ。
自動化された設備で不良品を検出する現代自とは異なり、トヨタは工程別に従業員が直接品質管理を行う。トヨタ本社関係者は「トヨタで自動化とは、にんべんが付いた『自働化』だ。従業員自らが品質に責任を持つという意味だ」と述べた。産業研究院のチョ・チョル上級研究委員は「韓国の自動車メーカーは勤労者の生産性改善を放棄し、自動化と標準化を進めたが、トヨタは高い賃金を熟練した組合員の高い生産性でカバーしている」と分析した。
■国内生産台数を維持するトヨタ
日本は国内工場を増やしている。2007年に日産は九州に車体工場を新設し、トヨタは12年に宮城県に工場を建てた。ホンダは13年、埼玉県寄居工場を新設した。トヨタ関係者は「国内雇用を維持し、自動車の熟練技術者を育成するため、国内生産量300万台を維持している。これは会社と労組、下請け業者による信頼と協力に基づいている」と説明した。
韓国の自動車業界は強硬な労組を避け、海外に脱出している。1997年に完成した韓国GM群山工場が国内に建てられた最後の自動車工場だ。その後21年、韓国には自動車工場が全く新設されていない。その間、現代自だけで海外に11カ所も工場を設置した。数万人分の雇用が海外に流出した。
専門家は高コスト、低生産性に悩む韓国の自動車産業が競争力を取り戻すには、共生協力を基礎とした先進的な労使関係の構築が必須だと指摘する。大林大の金必洙(キム・ピルス)教授は「生産性に比べ高い賃金を受け取ろうとする労組の態度は韓国の自動車メーカーによる海外工場設置を加速させる」と指摘した。