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 パナソニックは2018年3月26日、横浜市で「Tsunashima(綱島) サスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)」の街開き記念式典を開催した。SSTはパナソニックが展開する社会課題解決を図る次世代都市拠点の名称で、Tsunashima SSTは神奈川県藤沢市に次ぐ2カ所目に当たる。

横浜市綱島にあるTsunashima SST(サスティナブル・スマートタウン)の外観。右の建物が慶応義塾大学の国際学生寮、左に水素ステーションが見える
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 津賀一宏社長は「この地は旧松下通信工業の工場があった場所。私も新入社員のころ勤務したことがあり、個人としてもパナソニックとしても思い入れのある場所で、今日、新たなスタートを切れることをうれしく思う。関係する各社と共創を深めつつ、未来の街づくりを進めていく」とあいさつした。

鏡割りで街開きを祝うパナソニックの津賀一宏社長(中央)
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 Tsunashima SSTの敷地面積は約3万7900平方メートル。慶応義塾大学の「綱島SST国際学生寮」や、野村不動産などが開発したマンション「プラウド綱島SST」、ユニーの商業施設「アピタテラス横浜綱島」、米アップルの技術開発施設「YTC」などが立地する。これらの参画大学・企業が「Tsunashima SST協議会」を結成し、スマートシティーや環境問題に関する実証実験を実施する。

 例えば、敷地内には約100台の防犯カメラが設置されている。パナソニックはカメラ映像の解析・応用に注力。住民のセキュリティに生かすだけではなく、プライバシーに配慮した形で来街者の属性を分析し、商業施設の品ぞろえ改善に生かす取り組みなどを進める。

 米アップルがTsunashima SSTにアジア初の技術開発拠点を開設したことも注目を集めている。

Tsunashima SST内にある米アップルの技術開発拠点
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 記念式典にアップル関係者の姿はなかったが、パナソニックの井戸正弘執行役員は「アップルはTsunashima SST協議会の幹事会員だ。以前から事業上の付き合いがあり、今回の拠点開設に当たっても、太陽光発電関連などでさまざまなパナソニック製品を採用していただいている。これからもアップルと共同での取り組みをさらに進めていきたい」と説明した。

 Tsunashima SSTは東急東横線綱島駅の近隣に立地する。2022年度の開業に向けて「相鉄・東急直通線」と「新綱島駅(仮称)」の建設が進んでいる。横浜市の平原敏英副市長は「綱島・日吉エリアは横浜市内でも成長著しいエリア。環境施策を重視するゾーンと位置づけて、活性化を図っていく」と述べた。