桜いろいろ
数年前ごろから、あちこち桜の巨木が枯れ始めた。ソメイヨシノ(染井吉野)である。よく樹齢60年と言われるが、さもありなという感じがしていた。詳しくは、そういう寿命はないらしい。それでも、経験的にそういう印象が濃くなる事例は多い。
自分の大学にも見事な巨木の桜並木がある。40年も前になるが、初めて見たときには、あまりの見事さに現実感がなかった。その後、沖縄転居や育児なので、久しく見ることがなかったが、一昨年見に行き、今年も見に行った。今なお見事ではあるが、巨木の多くは朽ちたのだろう、なくなり、新しいソメイヨシノが植樹されていた。それでいいと思う。そういえば、バス停には見事な山桜が一本あったが、あれは朽ちたのではなく、整備で切られたのかもしれないなとも思った。
懐かしい場所の桜がどんどんと朽ちていく。これらはみな戦後直後に植樹されたものだろうし、よくもまあ、これだけ植樹したものだとも思う。それが朽ちていく様子は、戦後日本というものが朽ちていくことの比喩にも思える。
だが、今年はそうでもなかった。意図的に、各所桜を見に回ってみると、ソメイヨシノ以外の桜がいろいろあることに気がつく。オオヤマザクラというのも美しかった。
楊貴妃という桜も意識して見たのは初めてではなかったか。
陽光というのも初めて見た。沖縄ではカンヒザクラ(寒緋桜)をよく見たものだが、陽光はその掛け合わせであるらしい。ついでにその新桜誕生の物語で『陽光桜』という映画があるのも知った。まだ見てはいない。
カンヒザクラも東京で見かけた。東京で咲くものなのかと不思議に思えた。陽光以外にも、この掛け合わせは増えているらしい。
カワヅザクラは人工的な交配ではないようだが、カンヒザクラの自然交雑種らしい。うくつしかった。
いろいろな桜があるものだと思う。一時期よりはソメイヨシノも美しいものだと思うようにはなったが、それでも、戦後のある種、呪いのようなものも感じする。多様な桜で彩られていく日本の春の風景のほうが、私は好きだな。
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