不動産屋が扱わない「空き家」が売れるワケ

空き家マッチングサイトの知られざる実情

その空き家は、自分には不要でも、他の人には魅力的な条件がそろっている物件かもしれない(写真:佐藤正樹)
空き家の売り手と買い手をつなぐマッチングサイト、「家いちば」が話題を集めている。なぜなら、不動産会社が「売れる見込みがない」と取り扱いを渋るような、古い空き家が売れるというからだ。どうしてここでは売れるのか? 「家いちば」を運営する藤木哲也(ふじき・てつや)さんに話を聞いた。

掲載物件は住宅や飲食店、ホテル、郵便局までと幅広く

新聞やテレビで次々と取り上げられ、注目を集めている空き家のマッチングサイト、「家いちば」。2015年の立ち上げ以来、成約件数は徐々に伸び、17年10月からは月平均5、6件ペースだという。18年2月は9件だった。

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

一般的な不動産売買のポータルサイトのように、“中古だけど、それ以外の条件は◎”というたぐいの物件ばかりではない。それどころか、相当の築年数がたっていたり、長年放置され荒れていたり、周囲には交通機関らしきものが見当たらない不便な地域にたっていたりするものもある。

住宅が大半だが、ホテルなどの宿泊施設や郵便局などの施設、敷地や山林まで混じっているのも印象的だ。販売価格は、「タダでもいいからもらってほしい」といった0円のものから、1億円までと幅がある。

「空き家は売れないと言われますが、ニーズはあるんです。これまで成立した契約には、『自分には不要でも、他の人には魅力的な条件がそろっていた』というケースが多い。そんな幸福なマッチングがあって、空き家は売れていきます」と、サイトの運営者で不動産コンサルタントの藤木さんは話す。

掲載物件の一例、郵便局。約80組の購入希望者から問い合わせがあり、売却が決まった(写真:家いちば)
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  • NO NAMEb1e4c9635d29
    『家いちば』はタダでもいいからあげます、という物件もあつかう。他は扱わない。この違いは大きい。
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    2018/3/26 18:57
  • NO NAME6cdccfe91352
    不動産には相続や登記や税金や仲介手数料など流動性を阻む仕組みが多いです。その上記事にあるような情報アクセスも、一般的には簡単ではありません。人口減少の時代では何でもかんでも残す訳には行きませんが、行政代執行で空き家を自治体が解体処分するよりも、もっと安くもっと有効利用できる仕組み作りはできそうですけどね。
    up2
    down0
    2018/3/26 20:32
  • NO NAMEaace867c6e90
     亡き父親(一級建築士)が自宅の設計や部材等に込めた想いがわかるので、(先月から)だれも住まなくなったといっても簡単に処分できないが、そのまま次の世代に渡すと「先祖の土地建物」の維持で困るのだろう。
     有料老人ホームに入った母親が存命のうちは維持したいが・・・。
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    2018/3/26 17:59
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