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中国、「プーさん」とアルファベットの「N」を禁止 習近平批判を抑圧

photocosmos1 / Shutterstock.com

 元来インターネットにおいて検閲がかかってきた中国ではあるが、近頃はその厳しさの次元が変わった。言葉であれ、画像であれ、習氏を侮辱し得るものは禁止されているのが現在の習政権だ。ワードは禁止され、会話は検閲されている。

◆現代の焚書坑儒
共産党は、国家主席の任期制限である2期10年が撤廃され、習近平の指導哲学が憲法に書き込まれることを発表した。そして、ただちに検閲が開始された。「皇帝」「2期制限」「支配」といった多くの単語がSNSの「微博」やサーチエンジン「百度」でブロックされた。電子書籍を焚書することはできないものの、用語の禁止で事は足りる。「動物農場(Animal Farm)」「1984年」「すばらしい新世界(Brave New World)」といった権威主義的リーダーシップの下の暗黒郷を描く小説や作家の名前を言及することはもはや許されない。

 さらに、ただひとつの基本用語の禁止から、習国家主席の辞書を書き換えたいという望みがみてとれる。「同意しない」を検索すると表示されるのは、「申し訳ありませんが、このコンテンツは微博の利用規約の法規に違反しています」という文章だ。

◆Nが消えた理由
 任期撤廃の発表に衝撃を受けた微博のユーザーが、発言を監視されていることを知りつつも、その人生の恐怖を「嗚呼、我々は北朝鮮になるのだろう」と表現しようとした。しかし、習政権は既に手を回していた。数時間以内にそういった投稿はすべて削除されたという(豪ニュースサイト『new.com.au』)。

 いくつかの掲示板において、ネットユーザーたちは他のユーザーたちに検閲の隙間を縫っての書き込みを、「綱渡りだ」と警告した。 1人のマイクロブロガーは次のように書いている。「1回投稿したけれど、13分以内に検閲で消えていたからもう一度投稿する」「私は、憲法第79条の第3節にある『2期以上の連続した任期は認めない』という条項の改正に反対する」。その後「2期限」や「継続規則」などの改正案に関連する様々な用語は微博では検索できなくなった(ニュースサイトWhat’s on微博)。

 破壊分子とみなされる内容の中に、英字「N」があった。ニューヨーク・タイムズ紙は、「社会科学者が数学的に異議を表明することを阻止するつもり」だったのだろうと説明している.「N>2」で、Nは習氏の任期数を表現し得るからだろうと(フォーチュン誌)。

◆プーさんは政治的ミームに
 プーさんの画像も禁止された。この中国の統治者は、くまのプーさんに例えられたことがある。似たような体型だという嘲笑と共に(フォーチューン誌)。最初にプーさんが、中国のウェブサイトやソーシャルメディアネットワークから削除されたのは2013年のこと。訪米した習氏とオバマ氏が連れ添って歩く写真が、プーさんと虎のキャラクターのティガーが一緒に歩く写真とセットで画像が出回った時である。

 今回の任期制限の撤廃が発表された後、微博のユーザーたちは、ディズニーの公式アカウントに投稿をした。プーさんが大きなはちみつの壺を抱きしめている画像に対し、「大好きなものをみつけてそれに傾倒すること」というキャプションがあった。それも検閲で瞬く間に削除された(『new.com.au』)。

「それも深刻な事態でなければ面白いのだけれど。絞首台の背後ではユーモアも消える」とオーストラリア戦略政策研究所のアナリストであるファーガス・ライアン氏はコメントしている。

Text by 鳴海汐