米ウーバー、東南アジア事業を同業グラブに売却へ

グラブはカンボジアの首都プノンペンを含む東南アジア190都市で事業を展開している Image copyright Getty Images
Image caption グラブはカンボジアの首都プノンペンを含む東南アジア190都市で事業を展開している

米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズが、東南アジアにおけるライドシェア事業と食品宅配事業を、同地域で事業を展開する同業他社のグラブに売却する見通しとなった。

ウーバーは2016年に中国事業を地元の同業他社である滴滴出行に売却しており、今回の動きも、国際事業のさらなる縮小を表している。

ウーバーとグラブは両社とも、この取引が自社と顧客の双方に利益をもたらすとしている。

グラブは東南アジア8カ国に数百万のユーザーを持つ、同地域のライドシェアリング最大手。ウーバーはグラブの株式27.5%を保持する予定だ。

同業との競争は、顧客にとってはコスト削減となったが、企業利益を著しく減少させる結果となった Image copyright Getty Images
Image caption 同業との競争は、顧客にとってはコスト削減となったが、企業利益を著しく減少させる結果となった

売却金額は公開されていない。ただ、売却には食品宅配サービス「ウーバー・イーツ」を含む、東南アジア地域におけるウーバーの全事業が含まれる。

ウーバーのダラ・コスロシャヒCEOは今回の事業売却について「ウーバーの直近5年間における東南アジア地域での並外れた成長の証だ」とした。

「この売却は、地球上で最高の顧客体験を生み出すために、製品と技術に大きく投資するという我々の成長戦略に賭ける大きな助けとなる」

グラブのアンソニー・タンCEOは、この買収が「新しい時代の始まりを象徴する」と語った。

「統合された事業は、東南アジア地域において事業基盤とコスト効率の点で先頭を走るる。我々は今、ウーバーと共に、顧客により良いサービスを提供するという約束を守るため、さらに適切な位置を取っている」

競争により収益に打撃

ライドシェア事業における競争は激しくなっており、値引きをはじめ利用者や運転手向けのインセンティブなどが利益の幅を狭める結果を呼んでいる。

だが、今年に入って日本のソフトバンクグループによるウーバーへの大規模な投資があって以降、同業界における企業統合は広く予想されていた。

グラブはアジア8カ国で事業を展開している Image copyright Grab
Image caption グラブはアジア8カ国で事業を展開している

ソフトバンクはグラブ、中国の滴滴出行やインドのオラを含む、ウーバーの競合に対する主要な投資家だ。

ソフトバンクは、売り上げを伸ばすための企業統合を促したと考えられている。

グラブはシンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナムなど8カ国で事業を展開している。

グラブのタンCEOは先月行われたBBCのインタビューで、同社はユーザーの生活とより関係を深めたいと望んでおり、食品宅配サービスの拡大を計画していると語った。

「私たちは自社のアプリを、ユーザーがコーヒーを買ったり、報酬を受け取ったりするものにしたいし、後々にはランチを買いたいと思ったら注文でき、自分で渋滞の中を進まなくても食品の宅配を受け取れるアプリにしたい」とタン氏は話した。

「このような関係性を、6億人の顧客全員に実現できれば、大きな価値を生み出せる」

グラブは発表文で、合併の結果、食品宅配サービス「グラブフード」は次の四半期までに、現在東南アジア2カ国のサービス展開国を4カ国までに広げられると指摘した。

同社は「このことは電子決済サービス『グラブペイ』の携帯ウォレットをユーザーが選択する一連の動きを加速させ、グラブの成長し続けている金融サービスプラットフォームを支援する、素晴らしい新規事例となる」とした。

グラブはまた、買収が黒字化への道を加速するだろうとも付け加えた。

ウーバーは昨年、性的ハラスメント問題を受けて社内体制の大幅な刷新を実施し、45億米ドル(約5085億円)の損失を計上したほか、CEOも交代した。

同社のダラ・コスロシャヒ氏は昨年11月、アジア事業は「すぐには収益が出せない」と指摘し、何らかの改革が必要だと語っていた。

同社はまた、ロシア事業も現地企業のヤンデックスに売却している。

(英語記事 Uber is selling its South East Asia operations to rival Grab

この話題についてさらに読む