品川のマイホーム購入でトータル900万円を得した話

家賃のことで頭を悩ませていたはじめさんは、不動産取引についての勉強を始めました。彼の必死の勉強は、やがて自分でも思いもよらないほどの好結果に結びつきます。

今回の話は、最初に言っておくと、少しこみいった話になることをお許しください。

ただ、住宅費を減らしたいとか、住宅購入を考えている人にとっては、間違いなく役にたつ話になると思うので、最後まで読んでみても損はしないと思います。

さて、みなさんが持ってる不動産業者に対するイメージはどんなものでしょうか? ちなみにぼくが抱いていた不動産業者に対するイメージはというと、「常にギラギラ獲物(物件)を探している」、「価格交渉のプロ」、「神経が図太くてがめつい」というものです。不動産業者の方には申し訳ないですが、成績がいい人ほどその傾向が強いのだと勝手に思っています。

その理由は、不動産取引を仕事にしようと思ったら、安く買って高く売るの一言に尽きると思うからです。全ての商売の本質が、安く買いたたき、できるだけ高く売りぬけることだとしたら、不動産の場合は価格が高い分、その差額も莫大なものになります。

不動産取引で利益を得るためには、誰よりもめざとく安い物件を見つけ、交渉してもっと安く手に入れ、少しでも高く売れるように工夫するといった肝力が必要になります。もしも、失敗したら莫大な損失を被ることになりますし、成功すれば莫大な利益を得ることになります。多少、図太い神経がなければ、そんな芸当は無理だと始めから諦めるでしょう。

しかし、上記のイメージに当てはまらない人でも、仕事として成立するということは、成功するメソッドがあるということでもあります。

今回は、ぼくが2015年7月に東京都品川区にマイホームを購入した時の話をしたいと思います。

もともと節約好きな僕が、家賃を払いたくないという理由から不動産投資の方法を必死で勉強して、知識を実践する機会をずっと待っていたのは、先週お伝えした通りです。

ぼくら夫婦が探していた物件は、

①・40㎡以上で駅から徒歩10分以内

②・1500万円以下

③・総戸数50戸以上のマンションの2階以上

④・数年後に2000万円以上で売却出来そうな物件

上記のような条件に当てはまりそうな物件を来る日も来る日も探し続け、そしてようやく条件に合致した物件とめぐり会えたのですが、その物件は以下のようなマンションでした。(物件を探していた地域は、妻の勤め先への便を考えて南東京周辺でした)

・ 築37年

・ 43平米南向き

・ 14階建ての4F

・ 東京都品川区

・ 最寄り駅まで徒歩5分の立地

・ 1380万円

・ 毎月約5万円のローン返済

さて、みなさんはこの物件チラシをみてどう思いますか?

高いのか安いのか、いい物件なのか悪い物件なのか、わからないですよね?

実は中古物件というのは面白いもので、相場はある程度決まっているのです。そのマンションの別の部屋が過去いくらで売買されているのかも調べることが出来るので比較することも可能です。だからこそ、④の条件(数年後に2000万円以上で売却出来そうな物件)をいれることも出来るのです。

この条件に合致する物件を見つけるには、様々な事情で出現する『破格』の売出し物件を見つける必要があります。その様々な事情とは、その物件での事件や事故もありますが、大きくは売主がその物件を売りたい事情にまとめられます。

・ 相続で譲り受けたけど手放したい

・ ローンの支払いが出来ないので、すぐに現金に変えたい

・ 買い替えや資産整理のために、早く売りたい  など

ぼくは毎日のように新着の物件チラシを見ていたので、この物件がお買い得であることがすぐにわかりました。(これは第3話でも紹介しましたが、チラシを見比べて、卵はAスーパー、お肉はBスーパーと見比べる行為となんら変わりありません)。相場的には2000万円弱で売りに出ていてもおかしくない物件だと思いました。

ぼくは売りに出されたその日にインターネット上でその新着物件を見つけ、不動産屋に電話して、妻と一緒に現地に足を運びました。

その時、不動産屋さんに聞いた、物件の詳細はこんな感じ。

・ 半年前までひとり暮らしの40代の男性が5年間賃貸で居住

・ 直近半年間は借り手がつかず、全体的にちょっと汚め

・ 新築時から37年間変わらない2DKの古い間取り

・ お風呂が旧式のバランス釜

・ 130戸のビックコミュニティ

・ 築37年で、マンション自体の外観も古さが目立つ

・ 4階南向きで日当たり良好

・ 管理はしっかりしていて、そろそろマンションの大規模修繕工事をする予定

・ 売主は資産整理をしたいおじいちゃん

『大規模修繕工事とは、10年から20年に一度、マンションの外壁を塗り直したり、定期交換すべき設備の交換・補修をするマンション全体の大規模工事のこと』です。

不動産投資の知識と周辺相場について、しっかり頭に叩き込んでいたぼくは、この物件と出会った時に震えがとまりませんでした。

いよいよ、時が来た、という感じです。ぼくはその場でこの物件の購入予約を入れました。不動産は基本的には早いもの勝ちで購入者が決まるので、判断の速さはとても重要になります。ぼくの判断の後押しをしたのが、この数ヶ月毎日飽きもせずに新着物件を見続けて来た自信と、不動産投資を学ぶ学校で身につけた知識でした。この2つがなかったら、ぼくも迷って「一度持ち帰って考えてみます」と答えて、この物件は、他の人にきっと買われていただろうと思います。

部屋の汚さは、リフォームをすれば、綺麗にすることは出来ます。つまり部屋の汚さや間取りはどうでもいいのです。自分ではどうすることも出来ない立地や、日当たりは申し分ありません。外観だって、少し我慢して大規模修繕工事を待てば、見栄えもずっとよくなります。

つまり!

この物件は、ぼくの目から見たらダイヤの原石のようなお宝物件で、いまは、外観も内装もボロボロだったとしても内装をリノベーションして、大規模修繕工事を待てば、数年後は外観も内装もキレイになるのです。2000万円以上で売れる可能性は大いにある物件だと踏んだのでした。

さて、読んでる方はここで疑問もいろいろと湧いてくると思います。

「内装をリノベーションするにしたって、数百万円はかかるでしょう? その費用がかかるんだから、もともと安い値段で売りに出されてるんじゃないの?」

ここで、ぼくの節約好きの本領が発揮されるわけです。

また、不動産投資を学んでいるときでも、いかにしてコストを抑えながらリノベーションをするかは、とても大事なことだったので、熱心に学んでいました。

ぼくがどうやってコストを抑えたかというと、① 自分で間取り図を書いて、② 徹底的に施主支給をして、③ それを実現してくれるリフォーム業者に依頼する、この3つを実践しました。

自分で間取り図を書く?

なんて経験のない人間にできるわけない、と思うかもしれませんが、ぼくの場合はPowerPointの図形をつなぎ合わせてこんな感じで作ってみました。

電気やコンセントの位置も指定して、自分たちが暮らしやすいように生活導線を意識しています。

設計図はプロに頼もうと自分が作ろうと基本的な部分は変わりません。ぼくが図面をひいたからといって、4mある壁は、4mある壁なのです。どれだけ心配りをして生活設計をできるか、その点において、プロに頼む場合は経験と知識に一般人は報酬を支払います。ぼくの場合は、経験はありませんでしたが知識を身につけていたので、何度もなんども考えて設計図をひきました。設計図といっても本当に渡したのはこの図面だけです。必要な要素さえ押さえておけば、特別なソフトがなくたって素人でも図面はひけるのです。

そして、次にコストカットできるのは、設備の手配費用です。通常、リフォームは一括でひとつの業者に依頼して、設備に関してはお任せにする場合がほとんどです。なので業者からは設備と取り付けを一括請求されるので当然、設備費用は割高になります。

ぼくは、この設備調達を自分でやることにしたのです。(業者は取り付けのみ)これを不動産用語では施主支給といいます。

実際にぼくが手配した設備一覧はコチラ

さらに、壁紙や床材なども、サンゲツのショールームで選んできたものを指定しました。

ちなみに、これがどのくらいの節約効果があるかというと……

ユニットバスやキッチンは新品でありながら、施主支給専門卸を通じると定価の50〜80%オフで購入することが出来ます。ユニットバスの施主支給のやり方は、思っていたよりも簡単でした。メーカーのショールームに行って、オーダーメイドで見積書をもらい、それを施主支給業者に提出すると、その見積書の50〜80%オフの見積書が出てくるので、そこから手配依頼をするだけ。とっても簡単なのです。

おかげで、本来600万円くらいするリフォームは400万円弱に抑まりました。

ただ知っているか、知らないかだけで、リフォームだけでも200万円の節約になるのです。詳しく知りたい人は『ユニットバス 施主支給』とか、『キッチン 施主支給』と検索すると出て来るので、マイホーム購入後のフルリフォームに限らず、自宅のリフォームを検討する人も、是非試してみて欲しいです。

リフォーム業者への依頼に関しては、ただひたすら条件に合う業者を探す作業でした。

ぼくは理想のリフォーム業者に出会うために合計7社から見積り手配をしました。リフォーム業者からすると、本来なら間取り提案や設備手配も全て含めて利益を乗せたいので、このようなリフォーム依頼はもちろん毛嫌いされる傾向にあります。特にリフォームのことをあまりわかっていない素人だと、話が伝わりにくいので施主支給はあまりして欲しくないみたいです。

ただ、ぼくの場合は事前にリフォームについても徹底的に学んでいたので、ちゃんと対等な感じで業者と話すことができました。

ちなみに、ぼくが行ったのはスケルトンリフォームといって、一旦全ての壁や設備を壊してコンクリートが剥き出しになった(スケルトン)状態から、枠組みを作り、自分の好きなところに壁を作るという1番お金のかかるリフォーム手法です。

お金をかけたくなければ、壁はそのまま残したり、一部分だけリフォームするという方法もあります。

なんでわざわざお金のかかる方法でリフォームしたの? と思う方もいるかもしれません。

本来節約だけを考えれば、汚いまま我慢して住んでも良いと思いますが、ぼくは、将来的には高値で売却することも目的だったので、物件価値そのものをあげるためにこのスケルトンリフォームという手法を使ったのです。

このマンションは2年後引っ越すことにしたのですが、その甲斐もあって、売却できた価格はなんと2490万円!

こちらも不動産取引の知識を使って、心細かく気配りをして高く売ることに成功しました。『築40年もする物件がこんなに高く売れるはずない』って思う人もいるかもしれません。でも、この部屋はたったひとつなのです。つまりたった1人、この価格でこの部屋を購入したいという人を見つけてこればいいだけなので、築年数以外の魅力をアピールすることで実際に築古の不動産でも高値売却は可能なのです。

さて、これ以上深く学びたい方は、ぼくと同じように不動産投資についてしっかり勉強をすることをおすすめします。実際に面白いですよ。不動産って、ケースバイケースで、本当に奥が深いなって思います。

住居費を節約したいという人は、前々回前回、今回とお伝えした方法をそのまま試すだけでも、それなりの節約は出来ると思いますが、マイホームの購入にはここでは紹介しきれないくらいたくさんの節約ポイントがありますし、大きな金額の購入なので、契約も含めて細かい注意点もたくさんあります。ぜひ、勢いで買うのではなく、事前に勉強した方が良いとぼくは考えています。

売却した物件に話を戻します。購入後のリフォーム代や購入時と売却時にはそれぞれ諸費用がかかっているので、差額がそのまま収入になったわけではありません。ですが、ぼくはこの取引で約600万円の利益を得ることが出来ました。しかも、やっぱり嬉しいのは、買った金額よりも高値で売れたから2年間このマンションに住んでいた住居費は実質負担0円だったこと! 当初の目的をまさに達成したことになります。

もし、ぼくが不動産投資を学ばずに、同じマンションを賃貸で借りていたら、相場的に13万円くらいの家賃だったので、2年間住んでいたら312万円の家賃を支払い、何も残らなかったでしょう。

売却できるまでまったく信じてくれなかった妻も、ぼくの努力をやっと認めてくれたのですが、妻はこの品川の家が非常に気に入っていたみたいで、

『引っ越したくない。売却益なんてどうでもいーよ。』

『コロコロ引っ越しし過ぎだよ。ゆっくり落ち着きたい……』

と言われてしまいました(笑)お互いの価値観が違うと、全てを受け入れてもらえるのはなかなか難しいものですが、これからもうまくやっていきたいと思います。。。

さて、来週は、生活コストの無駄を削るためにぼくが実践している【保険料】、【通信費】の節約方法についてお伝えしたいと思います。

<つづく>

この連載について

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33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由

井上はじめ

どちらかというとダメリーマンの筆者がどうやって1億円を貯めたのか? 意識高く自己研鑽に励み、収入アップをめざす方法ではないやり方で、老後も安心な資産形成をめざす! ユニークで誰にでもできる資産形成方法を次々と発見していく筆者は、マメに...もっと読む

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