仕事やプライベートの時間をやりくりするために、真っ先に削ってしまうのが「睡眠」ではないだろうか。また、年齢とともに、眠りが浅くなったり、目覚めが悪くなったりする人も多いに違いない。もう眠りで悩まないための、ぐっすり睡眠術をお届けしよう。
新生活が始まる春がやって来た。希望に胸をふくらませる新社会人の中には、朝寝坊など「睡眠」に関して不安を感じている人も少なくないだろう。人生の中で最も気ままな大学時代はどうしても生活サイクルが乱れるもの。講義のない日は昼近くまで寝ているし、すっかり昼夜逆転してしまうことも珍しくない。
「実際、極端に夜型の生活をしてきたため、毎朝きちんと出社できるか心配になって相談に来る学生は結構いますよ」と話すのは、日本睡眠学会理事長も務める日本大学医学部精神医学系主任教授の内山真さんだ。
20~30代は早起きが苦手
もちろん最初のうちはきついだろう。気ままな学生生活に加えて、若者の体はもともと中高年よりも夜型になりやすい傾向がある。まして仕事や趣味で就寝が遅くなれば睡眠時間も減り、ますます早起きがつらくなっていく。
2013年に花王「生活者研究センター」が首都圏に住む20~60代の男性3168人に調査したところ、「起床時によく眠った感じがしない日が週に2日以上ある」と答えた人は、50代が55%だったのに対し、20~30代は61%もいた。
ほとんどの人はやがて新しい生活に適応していく。最初はつらくても、否応なく早起きしているうちに体内時計が朝型になり、徐々に早起きに慣れていくものだ。
しかし、「中にはどうしても早起きできない、いわゆる夜型体質の人もいる」と内山さん。こういう人は早起きを続けても体内時計が夜型に固定されたままで、深夜になるまで眠くならないし、早起き習慣もつきにくい。その結果、睡眠不足になると、ますます起きるのが困難になる。「体質の問題なので、気合いや根性で乗り切ろうと無理をするのは危険」(内山さん)という。
中には「概日リズム睡眠障害」という病気で、体内時計が一般の人と大きくずれており、普通の社会生活を送ることが難しいケースもある。こうなると治療の対象だ。自力で早起きは無理なので、医療機関を受診しよう。メラトニン受容体作動薬を服用したり、朝の起床時に高照度の光を浴びる「光療法」で強制的に体内時計を早める治療が必要だ。
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