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 一方、IPoEのIPv6網は、東日本と西日本に1つずつある設備を通じてインターネットにつながる。一般名詞ではあるが、IPv4のNTEに対して「GWR(ゲートウエイルーター)」と呼ばれる。プロバイダーは、IPoEのGWRに自社設備を直接つなぐのではなく、「VNE」と呼ぶ接続事業者(2018年3月5日時点で8者)を通じてGWRを利用する。

 VNEは、東西2カ所のGWRに対して、100Gビット/秒単位で増速する(2018年3月23日時点、GWRは2018年度に増設予定、増速単位は小容量メニューの拡充を検討中)。大容量の回線をPPPoE接続より少ないユーザーでシェアするため、結果的に高速になる。VNEとプロバイダーを兼ねることも可能だが、VNEは電気通信事業法に基づくNTT東西の接続約款によってプロバイダーを公平に扱う義務を課せられている。

IPv6ネイティブが基本、IPv4接続はトンネリングで対処

 IPoEはIP over Ethernetの略。「イーサネット上でIPを扱う」という当たり前の方式を示す用語で、PPPoEによるNGN IPv6網のトンネリングをしない方式だ。IPv6のトラフィックはNGNを通り、IPv6対応のDNSやWebサーバーと通信する。

 しかしIPv6とIPv4は互換性がない。IPv6網ではIPv4を直接扱えないため、IPv4しか対応しないサーバーとは別のトンネリング技術で接続性を確保する。具体的には「MAP-E」や「DS-Lite」といったプロトコルでユーザーのIPv4パケットはIPv6パケットに変換してやり取りする。

IPoE方式の多くがIPv4のサーバーと通信する変換サービスを提供。IPv6対応のサーバーとはIPv6で通信し、IPv4のみ対応のサーバーとはIPv4とIPv6を変換するトンネリング技術で接続する。図はブロードバンドルーターで変換する「MAP-E」方式の場合
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