チャッピー

劇中で効果的に流れる鋭くてクセのあるラップミュージック、ヴィヴィットなファッション、唯一無二の圧倒的存在感。チャッピーの世界観を構築する上で欠かせない、音楽ユニットDie Antwoordのプロフィールと本作へのアプローチを紹介する。

劇中で効果的に流れる鋭くてクセのあるラップミュージック、ヴィヴィットなファッション、唯一無二の圧倒的存在感。チャッピーの世界観を構築する上で欠かせない、音楽ユニットDie Antwoordのプロフィールと本作へのアプローチを紹介する。

独自のポップカルチャーが魅力。
南アフリカ発のラップデュオ

チャッピーを育てるストリートギャング役として、本人と同じ役名で登場したNINJA(ニンジャ)と¥O-LANDI(ヨーランディ)。ラップデュオ「Die Antwoord」のメンバーである彼らは、2009年に南アフリカの奥深くから世界へと飛び出し、「Zefカルチャー」という新しいポップカルチャーを生み出した。

2010年にデビューアルバム “$O$”をリリースするとワールドツアーのチケットは完売状態となり、「Zef」という言葉は世界中に広まった。同年にハーモニー・コリン監督と組み、短編映画“UmshiniWam”に本人役で出演。2012年には再びワールドツアーを行い、数々の音楽フェスティバルに呼ばれ、さらにT by Alexander Wangの広告キャンペーンにも抜擢された。

インパクトの強い彼らのミュージックビデオは、すべてDie Antwoordが企画、NINJAが監督している。2012年にリリースした“I Fink U Freeky”のミュージックビデオは、有名カメラマンのロジャー・バレンが共同監督として参加したもので、彼らの素晴らしくフリーキーな世界と、その世界にはまった大勢のファンへのオマージュとなっており、現在YouTubeで6千万回以上再⽣されている。
その他 “Baby’s on Fire”や “Fatty Boom Boom”など、彼らのビデオの再⽣回数は合計1億3千万回以上におよぶ。

「銃弾もキャンディ色にしたい」彼ら⾃身を役柄に反映

Die Antwoord場面写真

本作では役名は本⼈たちの名前のままだが、役柄は本⼈たちと少し違う。
彼らが演じているのは、⽣き延びるために犯罪に⾛らざるを得なかった元ミュージシャン、ニンジャとヨーランディ。今の生活に満⾜しているわけじゃないし、ヨハネスブルグから出て行きたいと願っている。でも彼らには、他に選択肢があまりない。
NINJAと¥O-LANDI本⼈は自分たちの居場所を作り上げた知性的な⼈たちだが、本作のニンジャとヨーランディは⾃意識や⾃身の運命をコントロールする術をあまり持たない。

NINJA:「自分たちが演じているキャラクターは、ロボットたちに抑圧されているんだ。 『くそロボットめ。至るところにいやがる』と、思っている。ロボットたちに支配されて、俺たちは好き勝⼿できなくなっているんだ。」

そこで二人はロボット警官を拉致する。そのロボットがチャッピーになるのだ。

NINJA:「自分たちがこの映画に参加したいと思ったのは、ニール・ブロムカンプと仕事をするチャンスだったから。ニールは、俺らが世界中で一番好きな監督なんだ。その彼から『チャッピー』に出演してくれないか、と言われたときにはぶっ飛んだよ。しかも自分たち自身として出てくれ、ということだったから、ちょっとした夢が叶ったという感じだった。」

¥O-LANDI:「なぜ私たちが『第9地区』をこれほど気に入っているというと、今まで南アフリカからあんな作品が⽣まれたことがなかったからよ。大抵の南アフリカ映画は退屈でつまらないけど、『第9地区』は超新鮮で、きちんと作られた映画だったの。ハリウッド映画ではあるけど、完全に南アフリカ風味の映画だったわ。」

Die Antwoord場面写真 Die Antwoord場面写真

ブロムカンプは、彼ら自身を役柄に反映させることを奨励した。NINJAと¥O-LANDIにそれぞれが使いたい銃を選ばせただけでなく、その色合いにも彼らの意見を活かした。

NINJA:「『銃を蛍光ピンクと蛍光イエローに塗っていいかな。それからできれば銃弾もキャンディ色にしたい』ってお願いしたんだ。どんな⾞がいいかと聞かれたから、『自分の車を使ってもいいかな。でも改造して馬力をあげてほしいんだ』と言ったら、ニールがちゃんとそうしてくれたよ。」

これは、二人のために特別に作られた役柄だった。ラッパーとしてステージに上がっているときのNINJAと¥O-LANDIと、映画の中のニンジャとヨーランディはどう違うのだろうか。

¥O-LANDI:「ステージではもっとパンクで、もっと偉そうな態度をしているわ。この映画でニールが私に求めていたのは、私の優しい母性的な面だったの。パンクさは抑えて、チャッピーに対して穏やかに母親っぽく接する感じ。自分のそういう⾯を探求するのは、いつもと違ってクールだったわ。自分ではそんなこと思いつきもしなかった。今まで探求しきれていなかった¥O-LANDIの一面。ちょっと意外な面よ。」

彼女のそうした⼀面が、現実の世界でも顔を出すことがあるそうだ。

NINJA:「¥O-LANDIは、エンジェルという名前のピットブルを飼っていて、エンジェルに、『なんてかわいいの』って話しかけるとき、声のトーンが上がるんだ。だから俺が、チャッピーに対してもそんな風に話しかければいいじゃないか、って言ったんだ。それで彼⼥は、あのかわいらしい高い声でロボットに話しかけるようになったんだ。」

劇中には彼らの音楽も随所に使われている。NINJAと¥O-LANDIのことを知ってから本作を⾒ると、さらに作品の魅力が増すのではないだろうか。

公式サイトへ
© 2015 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.