米国株大暴落の過去を振り返る
まずここでは暴落というのは直近のピークに比べて50%以上の株価指数の値下がりである、と定義づけておきたいと思います。そのうえで、歴史上米国株が暴落したのは大きく3回あります。
1929年の米国株大暴落「ウォール街大暴落」
まず、世界大恐慌と関連付けられる1929年の暴落が有名です。3年間かけて直近の高値よりも最終的には89%も暴落しました。このダラダラ長く続く株価の下落というのは投資家の資金力を奪い、メンタルを弱くしていきます。
これをみると分かりますが、実におよそ20年かけて回復しています。米国株は右肩上がりであり、そういう意味ではいつ買っても良いのかもしれません。ただ、さすがにこれだけ長い間高値を更新できないと、投資効率はかなり落ちます。
そして、右肩上がりといえども1929年直前に大金を投入した場合は単なるボックス相場を経験したに過ぎない、つまり上昇の恩恵に浴するには長い時間を要したことが分かります。
ただ、すでにこの暴落から100年近く経過しており、当時よりも有効な金融政策が打て、リスクヘッジもより多くの手段で行えます。そういう意味では、やや楽観的すぎるかもしれませんが市場はよりコントロール可能な存在になっていると思います。
実際に1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショックもこのときの暴落ほど長い株価低迷にはなっていません。
米国株大暴落1987年「ブラックマンデー」
1987年にもやや大きめの「ブラックマンデー」がありました。回復は早く、1989年には株価を回復しています。バブルへひた走る日本市場はブラックマンデーを跳ね返す自立した元気さがありました。
それよりも、ついでに掲載しますが1966年から1982年にかけての長期の停滞のほうが気になるところですね。ニクソンショック、オイルショック、そしてベトナム戦争などがあった時代です。「株式の死」と言われた時代ですね。米国市場、実におよそ16年の停滞でした。
日本の高度成長期にあたり、米国株よりも日本株に投資をしていたほうが効率が良かった時代です。私の祖父が日本株でささやかな結果を残した時期でもあります。財務局勤務の固い人でしたが、赤鉛筆片手にいつも株価欄をチェックしていましたね。
このころの日本は人口増加国、成長国への投資が功を奏するという良い例になっています。
米国株大暴落2008年「リーマンショック」とそれ以後
2000年のITバブル崩壊も大きいのですが、やはり2008年のリーマンショックはインパクトがあります。およそ10年前の水準まで市場が暴落しています。しかし、これも5年かからずに回復しています。
そう考えると、2000年代の停滞期のほうが長期のインパクトは大きく、ITバブルによる成長の先食いがいかにダメージが大きかったかということです。シーゲル先生の生活必需品推しはこういった側面も大きいように思われます。
1998年頃から2012年ごろまでをボックスと捉えるならば、14年前後の停滞と考えることもできます。米国市場が右肩上がりなのはそうなのですが、その間には停滞期を挟んでいるということですね。
現在やや懸念するのは、リーマンショック以後の伸びがやや急激に過ぎることです。S&P500、ダウ、それぞれPERにして20倍以内ぐらいでジワジワ伸びると安心感がありますが、現在Trailing P/E、実績で25倍前後というところです。
Forward P/E、つまり予測のPERだと16倍程度になるのですが、この強気がいろいろと禍根を残すのはいつもの傾向ですね。関連してご質問を紹介します。
米国株の暴落、調整時にはどのように買い付けていくべきか
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たぱぞうさん
やはり暴落はフルインベストメントやレバ取引していれば明らかなピンチであるものの、暴落に備えてまとまったキャッシュ、資産の4割なり半分なりを用意していた人間にとっては大きなチャンス、となると思います。
そこで暴落が来たときの具体的な投資方法をご教授願えればと思います。どのぐらい下がったら、何をどのぐらい買えば良いのか、と言う所を具体的に知りたいです。
もし記事にして頂ければ幸いです。
楽天全米株式をナンピンするぐらいしか思いつかなくて、いざ暴落が来たときにうろたえてまともな行動が取れない可能性可能性あるので、今のうちにキチンと整理しておきたいのです。よろしくお願い致します。
米国株の暴落・調整時の対応
暴落あるいは調整が見込まれる相場に対応する行動はいくつかあります。
- 売りから入る
- 債券や金など他のアセットを取り入れる
- キャッシュポジションをもつ
このいずれかが有効です。下に行くほど対応が簡単になります。
売りから入る
相場観に自信があれば、売りから入るということになりますが、難易度は高いです。結局、うねり取りの取引になるからです。不特定多数の方が見るブログで推奨するのはちょっとどうかなと思います。そのため、あまりおすすめしていません。
当たれば往復で取れるよさがありますけどね。
債券や金など他のアセットを取り入れる
他のアセットを取り入れ、値動きをマイルドにするのも良く使われる手法です。ただし、日本を除いて世界的な利上げ局面になっており、債券価格の下落が見込まれます。これが債券投資を躊躇させます。金はリターンの小ささが気になるところですが、悪くはないですね。
キャッシュポジションをもつ
3番のキャッシュポジションをもつのは簡単です。自分の総資産の中からどの程度のポジションを持つか決めておき、それを超えるようなキャッシュになれば余剰で買い付ければよいだけだからです。誰でもできる良さがあります。
私の場合は2014年頃まではベア系ETFも含めて1もやっていましたが、この頃はやっていません。2・3のハイブリッドということになります。2に関しては資産の4割程度を使っていますから、大きめですね。
楽天全米株式、VTI・VTの買い増しというのは悪くないと思います。相場を楽しむならば、大きな調整時に買えば良いですし、相場から離れて過ごすということならばドルコスト平均法で自動売買をしてしまえばよいですね。
今後ETFならば私もVTI・VYM・VT・QQQあたりをちょこちょこ買っていくつもりです。もっとも手元資金があるならば、優良投資先を一括で買ったほうがよい、というお元気な意見も最近見ますね。
それもありなのでしょうが、私は最近気が弱いので(笑)そういうことはしていません。逆に言うと、だから市場に生き残り、だから驚くような資産を築いたわけでもないのです。
あんまり下げるようならドーンといきますけどね。それをするにはまだまだ下げが足りません。投資は千差万別、人との違いや同じを尊重して楽しめば良いと思います。
最後に。100年の米国市場の全景です。こちらからの画像です。
今の調整が序の口であることが分かりますね。最後の「ちょこん」がそうです。
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政治的な側面、企業スキャンダルなどが関係していますが、大事なのは「もともと市場参加者が懐疑的になってきている」という心理だと思います。株価に対する理屈はいつも後付けなのです。
2月上旬に引き続いて弱気な相場になってきていますね。
2018年1月の上げが急激でしたね。ろうそくの火が消えるとき、最後にパッと輝く。相場も似たところがあります。再び上昇気流に乗るのかどうか。私はやや悲観的にとらえています。