[県議会定数条例] 身を切る改革から遠い
( 3/25 付 )

 鹿児島県議会は議員定数に関する条例を改正し、来年4月の県議選を現行通りの定数や選挙区で実施することを決めた。
 行財政改革が必要とされ、国会や市町村議会で議員を減らす努力がなされる中、身を切る改革からは程遠いといえよう。
 民意が十分に反映された結果なのかも疑問である。
 定数見直しの議論は昨年5月、議会運営委員会内の検討委員会で始まった。主な検討課題は「総定数51の見直し」と「1人区の解消」だった。
 総定数は2005年国勢調査を踏まえた09年の条例改正で「50」と定められた。ただし、離島や過疎地への配慮から付則で「当分の間は51」とした。この特例による選挙はこれまで2度実施された。
 一方、直近の15年国勢調査によると、県内人口は05年調査に比べ10万5000人減少している。
 特例をこれ以上存続させる理由は見当たらない。次期選挙では特例をなくし、定数は51を下回るのが本来の姿ではないか。
 「1人区の解消」が実現しなかったことも理解しがたい。
 県内21選挙区のうち11が1人区だ。選挙戦で現職が有利に働きやすく、その結果無投票になるケースが多い。15年の前回選挙では5選挙区が無投票だった。
 合区して複数区にすることで、立候補のハードルが下がり投票権を行使できる可能性が高まるほか、複数の議員がいることによって多様な意見を反映できるなどメリットは大きい。
 自民以外の会派だけでなく、参考人招致でも1人区削減に賛同する意見は多かった。
 にもかかわらず、検討委メンバー8人のうち5人を占める自民議員に押し切られた。1人区は最大会派である自民が議席を独占している。1人区に疑問を持つ自民議員であっても「身内への配慮」が働いたに違いない。
 「1票の格差」が是正されなかったことも残念だ。格差は最大2.09倍となり、10年国勢調査時の2.08倍より広がった。
 議員定数などについて「議会人として自身の問題は自身で決めるべきだ」との意見はあろう。
 だが、議員の身分に関することを議員自らが決めることには限界があると言わざるを得ない。
 4年後の見直しでは、民意を反映して中立な判断をするため、第三者委員会を設置して検討してもらう手法を取るべきだ。
 そうでなければ、議員にとって不都合な改革は実現できず、県民の不信感が高まることは避けられない。

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