借りてみたらこうだった!
よく冷える最速クラスのNVMe SSD「Plextor M9Pe(Y)」の実力をテスト
RGB LEDを搭載したPCIeカード型モデルの特徴をチェック text by 坂本はじめ
2018年3月26日 00:00
Plextor製SSDの新モデル「M9Pe」が一月初旬に発表された。
M9Peシリーズは、東芝製の64層3D TLC NANDを採用したNVMe SSDで、同社の新フラグシップモデルになる。最大転送速度はリード3.2GB/s・ライト2.1GB/sで、最速クラスのNVMe SSDとして市場に投入される。
M9Peシリーズはヒートシンクの有無や形状の違いで3タイプがラインアップされており、今回のミニレビューでは、PCIeカード型である「M9Pe(Y)」の1TBモデルのパフォーマンスをお届けしよう。
PCIeカードとM.2で展開するM9Peシリーズラインナップと仕様をチェック
Plextor M9Peは、従来のPlextor製SSD最上位モデルである「M8Pe」の後継にあたる製品であり、NANDフラッシュに東芝製64層3D TLC NAND、コントローラに「Marvell 88SS1093」を採用した、PCI Express 3.0 x4接続のNVMe SSDだ。
M9Peシリーズでは、PCIeカード型の「M9Pe(Y)」、ヒートシンク搭載M.2 SSD「M9Pe(G)」、ヒートシンクなしM.2 SSD「M9Pe(GN)」の3種類が用意される。各モデルはヒートシンクなしM.2 SSDであるM9Pe(GN)をベースに、ヒートシンクや変換基板を追加しているため、SSDとしての基本スペックに違いはないが、PCIeカード型のみRGBイルミネーションLEDを搭載している。
容量のラインナップは256GB、512GB、1TB。各製品の主なスペックは以下の通り。
PCIeカード型はLEDライトも搭載、1TBモデル「PX-1TM9PeY」をチェック
今回テストするのは、PCIeカード型SSD「M9Pe(Y)」の最大容量モデルである「PX-1TM9Pe(Y)」だ。フォームファクターはPCIe HHHL (Half Height/Half Length)で、パッケージにはロープロファイル用ブラケットも同梱されている。
先述の通り、SSDとしての基本的なスペックはM.2版と変わらないが、最も大型で分厚く熱容量の大きなヒートシンクを使用しているほか、M9Pe(Y)のみの要素としてRGB LEDによるイルミネーション機能を備えている。
基板やヒートシンクはもちろん、ブラケット部までマットブラック塗装で綺麗に仕上げたファッショナブルなデザインもM9Pe(Y)シリーズの特徴だ。
リードの実測値は最大約3.2GB/sで最速クラスCrystalDiskMarkでパフォーマンスをチェック
PX-1TM9PeYのパフォーマンスをチェックすべく、CrystalDiskMark 6.0.0を実行してみた。
なお、今回のテストでは、投機的実行機能の脆弱性対策を適用したCore i7-8700Kベースのテスト機材を利用している。その他、機材の詳細については以下の表のとおり。
CrystalDiskMarkの標準設定であるテストファイルサイズ1GiBでの結果は、シーケンシャルアクセス性能を測定するSeq Q32T1において、公称値であるリード3,200MB/sec、ライト2,100MB/secに近い数値を記録している。
この結果はテストファイルサイズを8GiBにしても大きく変化しないが、32GiBではリード・ライトともに速度低下が見られる。M9PeシリーズはPlexNitroやスマートキャッシュテクノロジといった独自のキャッシュ機能により高速化されているが、書き込みデータサイズなどがキャッシュ容量を大幅に超える際などは速度が落ちるようだ。
●ランダムアクセスはベンチマークで測りにくい?本当の性能を見る方法
M9Peシリーズは、リード40万IOPS、ライト30万IOPSをうたっているが、CrystalDiskMarkの結果を見る限り、そこまで高速な結果とはなっていない。
これはSSDが遅いわけでは無く、ベンチマークの設定が合っていないことによるもので、CrystalDiskMarkのデフォルト値の場合、CPU側の性能がボトルネックになり、NVMe SSDのフルパフォーマンスを発揮できていない。
SSDの本来のポテンシャルを見るには、テスト設定をカスタマイズし、キュー数やスレッド数を増やすと本来の性能を見ることができる。
今回は「キュー数32、スレッド数8」という設定のテスト「4KiB Q32T8」(8GiB)を実行してみたが、リード約1,615MB/sec (394,385IOPS)、ライト約1,226MB/sec (299,292IOPS)を記録。スペック値通りのポテンシャルを持っていることが確認できた。
カード型のPlextor製NVMe SSD最大の魅力は冷却能力、負荷時も45℃以下に抑制
NVMe SSDは高性能な一方、M.2カードタイプの製品では放熱面積の限界から温度上昇を抑制できずにピーク性能を維持できない製品も少なくない。
今回テストしたPX-1TM9Pe(Y)もCrystalDiskMarkでテストファイルサイズを32GiBにした際、シーケンシャルライト性能の低下がみられていたが、これが温度要因によるものなのか、HWiNFO64で取得したベンチマーク実行中のモニタリングデータでチェックしてみよう。
上のグラフは室温25℃の環境下でCrystalDiskMark (テストファイルサイズ:32GiB)を実行した際のモニタリングデータだ。テスト実行中に到達した最大温度は45℃だった。0~70℃とされている動作温度の範囲に収まっており、高負荷時でも極端な温度上昇は見られない。
シーケンシャルライト中の転送レートに注目すると、Seq Q32T1と4KiB Q8T8中にレートが変動していることが見て取れるが、温度と連動した変化はみられない。従って、CrystalDiskMarkでの速度低下はサーマルスロットリングによるものではなく、キャッシュ容量の超過やTLC NANDのパフォーマンス特性によるものであると推測できる。
大きな熱容量を持つ大型ヒートシンクを備えたPCIeカード型のM9Pe(Y)なら、長時間読み書きが連続するような用途でも温度上昇を心配することなく利用できるだろう。
リスクはあるものの、Windows 10の拡張キャッシュ機能有効でパフォーマンスアップ
ベンチマークなど特定用途以外での使用はメーカーも非推奨としているが、Plextor M9Peは、Windows 10の拡張キャッシュ機能を有効化するとパフォーマンスが向上する場合がある。
デバイスマネージャーからPX-1TM9PeYのプロパティを開き、「ポリシー」タブにて「デバイスでWindowsによる書き込みキャッシュ バッファーのフラッシュをオフにする」にチェックを入れると、拡張キャッシュ機能が有効になる。
この拡張キャッシュ機能を有効にすると、ベンチマークのテストサイズを大きくしても、パフォーマンスの低下がかなり小さくなる。
ただし、拡張キャッシュ機能を有効化している場合、書き込み中に電源が遮断した際にデータが損なわれる危険性が高まる。
設定画面で警告も表示されるが、UPSやバッテリーなどで停電対策をとっていない環境では、拡張キャッシュ機能は有効にすべきでは無いので、どうしても速度が必要な際の奥の手として覚えておくと良いだろう。
優れた冷却性とRGBイルミネーションも魅力の高速SSD
Plextor M9Pe シリーズのPCIeカード型「M9Pe(Y)」は、サーマルスロットリングの発生を防ぐことのできる大型ヒートシンクによる冷却と、RGBイルミネーションLEDを備えたファッショナブルな外観が魅力のSSDだ。
NVMe SSDは自身が発する熱で性能ダウンするケースが多いが、そうした心配をせずに常に高速な状態で使用できる点は本製品が持つ大きなアドバンテージといえる。
リードは現行最速クラスの約3.2GB/sを実測値で発揮しており、システムディスクとしてはもちろん、動画編集用のソースファイル置き場やキャッシュ用ストレージなど、常に安定してパフォーマンスを得たいユーザーに適している。近年流行しているRGBイルミネーションとガラスパネルPCケースを組み合わせたゲーミングPCなどにも好適だろう。
[制作協力:Plextor]
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