米中西部イリノイ州の警察は14日、2010年にノーベル化学賞を受賞した米パデュー大特別教授の根岸英一さん(82)の妻すみれさん(80)が同州内で死亡したと明らかにした。地元テレビ局などが報じた。

 警察によると夫妻は、インディアナ州の自宅を車で出た後、行方が分からなくなり、12日に捜索願が出されていた。根岸さんは13日午前5時ごろ、イリノイ州のゴミの埋め立て地付近を歩いているところを発見され、脱水症状で病院で治療中という。すみれさんは根岸さんの車の近くで遺体で見つかった。警察は事件性はないとみている。

 すみれさんは根岸さんの親しい同級生の妹で、思い続けた根岸さんが米ペンシルベニア大に留学する1960年に結婚。おしどり夫婦で知られ、米国で2女に恵まれ、孫も4人いる。

 地元テレビ局が親族の話として報じた内容によると、すみれさんはパーキンソン病の闘病中で、夫妻は旅行のため、車でロックフォード空港に向かっていた。根岸さんは、助けを求めに空港へ向かって歩いている途中だった。

 根岸さんは10年、2種類の有機化合物から別の有機化合物を作る「クロスカップリング」の開発で鈴木章北大名誉教授とともにノーベル化学賞を受賞した。