上映中の作品
伏見ミリオン座
スリー・ビルボード(115分)
舞台は、アメリカのミズーリ州。田舎町を貫く道路に並ぶ3枚の広告看板に、地元警察を批判するメッセージを出したのは、7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッド・ヘイズ。何の進展もない捜査状況に腹を立てたミルドレッドがケンカを売ったのだ。町の人々から嫌がらせや抗議を受けても、一歩も引かないミルドレッド。その日を境に次々と不穏な事件が起こり始め、町に激震が走るなか、思いがけない展開が待ち受ける──。
アカデミー賞R受賞の実力派スタッフ&キャストの会心のコラボレーションで放つ、世界が待ち望んだ、これぞ重量級の本物の映画ミルドレッドに扮するのは、アカデミー賞Rに4度ノミネートされ、『ファーゴ』で主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンド。ジャンプスーツとバンダナという“戦闘服”に身を包み、全身で怒りのエネルギーを放射し続けるミルドレッドを決然と演じきった。爽快なほどの毒舌でブラックなユーモアを散りばめる一方で、娘を守れなかった悲しみと後悔を繊細に表現するなど、様々な感情の芯を捉えた演技で観る者を圧倒する。
各々の大切なものを守るために、予想もしない道へと外れていく大人たちをダークなユーモアを潜ませて熱く切なく描き、観る者を途方もない結末へと連れ去るクライム・サスペンス。
出演:フランシス・マクドーマンド
★第90回アカデミー賞(R)<主演女優賞><助演男優賞>受賞!
ラッキー(88分)
神など信じずに生きてきた90歳の男ラッキーは、ひとりで暮らす部屋で目を覚まし、コーヒーを飲んでタバコをふかしては、なじみのバーで常連客たちと酒を飲むことを日課としていた。ある朝突然気を失ったラッキーは、自分の人生の終わりが近づいていることに気付き、「死」について思いを巡らせるようになる。子どもの頃に怖かった暗闇、去っていったペットの亀、“エサ”として売られるコオロギ・・・小さな町の風変わりな住人たちとのふれあいの中で、ラッキーは「それ」を悟っていく。
『パリ、テキサス』『ツイン・ピークス』で知られ、2017年9月に逝去したハリー・ディーン・スタントンの最後の主演作。90歳の気難しい男ラッキーを主人公に、全ての者に必ず訪れる最期の時間を描く。作中ではスタントン本人の体験に基づいたエピソードが描かれることに加え、長年にわたる盟友、デヴィッド・リンチ監督が主人公の友人役で登場する。
出演:ハリー・ディーン・スタントン、デヴィッド・リンチ、ロン・リビングストン
悪魔(83分)
【谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE】上映作品
大学入学のために上京した佐伯。彼の下宿先となる林邸は閑静な住宅街に居を構えており、大家の千枝、千枝の娘・照子、林家の親戚にあたる鈴木が住んでいた。しかし佐伯はアルコールにおぼれ、大学にもなじめず、幻覚に苦しむ日々を送るようになる。高校生ながら不思議な色気と魅力を持つ照子は、頻繁に佐伯の部屋を訪れては彼の心を惑わせる。照子を偏愛する鈴木は、佐伯に照子には近づかないよう警告するも、佐伯は鈴木の言葉に反発する。
大正元年に発表された同名小説を、インディーズ映画からテレビドラマまで数多くの作品を手掛ける俊英・藤井道人監督が映画化。キャストには、次代の日本映画界を担う若手俳優として注目を浴びている吉村界人や、映画初出演ながら主演のヒロイン役に大抜擢された大野いとなど、注目の若手が名を連ねる。
出演:吉村界人、大野いと、前田公輝
※3月24日(土)~3月30日(金)期間限定上映
BPM ビート・パー・ミニット
1990年代初頭のパリ。当時はまだエイズの治療は発展途上だったため、誤った知識や偏見が横行していた。そんな現状を変えるべく、「ACT UP-Paris」という抗議団体のメンバーたちは、エイズ患者やHIV感染者への差別に対してさまざまな活動を行っていた。その中でも行動派のメンバー・ショーンは、HIV陰性でありながら活動に参加するナタンと恋に落ちる。ところがショーンのエイズの症状は進行し、顕在化していく。さらにACT UPの執行部に対して、批判的な態度を取りはじめるショーン。それでも、そんな彼を献身的に介護するナタンだったが…。
第70回カンヌ国際映画祭にてグランプリを獲得し、監督・脚本を担当したロバン・カンピヨの実体験を元に描かれたドラマ。『グランド・セントラル』のナウエル・ペレーズ・ビスカヤールや、『午後8時の訪問者』『ブルーム・オブ・イエスタディ』のアデル・エネルが出演し、若者達の恋や葛藤、人生の輝きを生き生きと描く。
出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、アルノー・ヴァロワ、アデル・エネル
(R15+)
聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
心臓外科医のスティーヴンは美しい妻と健康な2人の子供に恵まれ、何不自由ない幸福な生活を送っていた。そんな彼の前に、1人の少年・マーティンが現れる。スティーヴンは彼を招き入れるどころか、友人のように接し始めるが、何故かスティーヴンはマーティンの要求を断れない。さらに彼を招き入れたことで、突如子供達が歩けなくなり、目から血を流しだす…。果たしてマーティンの目的とは?スティーヴンは、ある容赦ない選択を迫られる――。
第70回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞したサスペンス作品。監督を「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス、出演にコリン・ファレル、ニコール・キッドマンらが名を連ね、マーティン役は「ダンケルク」で注目を集めたバリー・コーガンが務める。
出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、バリー・コーガン
(PG12)
彼の見つめる先に(96分)
目の見えない少年レオは、初めてのキスと留学を夢見るごく普通の高校生。何でもすぐ心配する両親は少し鬱陶しいが、優しいおばあちゃんと、いつも一緒にいてくれる幼馴染のジョヴァンナに囲まれて平凡な日々を送っている。ある日、クラスに転校生のガブリエルがやってくる。レオの目が見えないことをからかったりしない彼に、レオとジョヴァンナは自然と親しくなっていく。レオはガブリエルと一緒に映画館に行ったり、自転車に乗ってみたりと、今まで経験の無かったことを通じて新しい世界を知っていくが、やがてレオとガブリエル、ジョヴァンナの3人の気持ちに変化が現れ始める。
第64回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で上映され、国際批評家連盟賞とテディ賞の二冠に輝いたブラジル映画。大人の入り口に立つティーンエイジャーの揺れ動く感情をみずみずしく描いた、ひと夏の青春ストーリー。
出演:ジュレルメ・ロボ、ファビオ・アウディ、テス・アモリン
(PG12)
あなたの旅立ち、綴ります(108分)
広告業界で成功し財産を築いたハリエットは何不自由ない生活を送っていたが、80歳を過ぎてからは孤独と死へ不安を感じるようになっていた。そんなある日、新聞で訃報記事を目にしたハリエットは、生前に自身の訃報記事を作成することを思いつき、地元の若い新聞記者であるアンへ依頼をすることに。アンは仕方なく周囲への取材を始めるが、長いこと会っていない家族だけでなく、かつての仕事仲間や地元の牧師まで、自己中心的なハリエットのことを良く言う者は誰一人としていなかった。理想とかけ離れた原稿を読んだハリエットは、”最高の訃報記事”に必要な4つの条件を満たすため、自分を変えることを決意するが…。終活への関心が高まっている現代に送る、思わず人生を見つめ直したくなるハートフルストーリー。物語のメインとなる2人には、大女優シャーリー・マクレーンと同世代から絶大な支持を受けるアマンダ・セイフライドを起用。世代の違う女性2人が友情を築いていく様子を息の合ったやりとりで演じている。
出演:シャーリー・マクレーン、アマンダ・セイフライド、アン・ヘッシュ
文豪ストレイドッグス DEAD APPLE
中島敦、太宰治、芥川龍之介・・・文豪の名を懐いたキャラクターたちが、著作にちなんだ“異能力”にて熱いバトルを繰り広げる文豪×文豪異能バトルアクション「文豪ストレイドッグス」。KADOKAWA「ヤングエース」にて2013年より連載中の原作コミックはシリーズ累計480万部を突破。2016年には監督に五十嵐卓哉、シリーズ構成・脚本に榎戸洋司を迎えボンズにて制作されたTVアニメーションが2クールにわたり放送され、好評を博した。また、文豪ゆかりの地や文学館とのさまざまなコラボレーション企画を実施、さらにはソーシャルゲーム化や舞台化など、幅広いメディア展開が続いている。そんな「文スト」の世界が、いよいよスクリーンへ!原作者全面協力による完全新作オリジナルストーリーで、今、新たな闘いの1ページが綴られる。
声の出演:上村祐翔、宮野真守、小野賢章、谷山紀章
© 2018 朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグスDA製作委員会
ハッピーエンド(107分)
フランス北部の町カレー。両親の離婚により家族と離れて暮らしていたエヴは、父親のトマと暮らすため、祖父たちの住むこの町にやってくる。そこではアフリカや中東から押し寄せた人々が難民キャンプを形成していたが、裕福なフランス人一家は難民問題などまるで気に留めず、快適な日々を送っていた。しかし彼らは、不倫や裏切りなどそれぞれに秘密をかかえており・・・。
『ファニーゲーム』『愛、アムール』を手がけ、過去2度パルムドールを受賞した、ミヒャエル・ハネケ監督の新作。壊れていく現代の家族を痛烈に描き、今回は良い映画ではなく、“不快”な映画を作ったと宣言した“ハッピーエンド”の真意に注目が集まる。『愛、アムール』で父娘役を演じたジャン=ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールが、今作でも父と娘を演じる。
出演:イザベル・ユペール、ジャン=ルイ・トランティニャン、マチュー・カソヴィッツ
センチュリーシネマ
ニワトリ★スター(135分)
東京の片隅にある奇妙なアパート“ギザギザアパートメント”。そこで共同生活を送る天真爛漫で自由な楽人と、大麻の半端な末端売人をする草太。二人はこれといった目標もなく、大都会東京の底辺で自堕落な日々を過ごしていた。アパートの住人も、覚せい剤の依存に苦しむシングルマザーや、虚言癖を持つ自称ラスタマンなど、個性的な人々ばかり。そんな日々のなか、街の不良を影で操るヤクザや、草太に大麻を卸している不良ラッパーJが動き出し、予想もしなかったことが楽人と草太を襲う。
主人公の草太を井浦新、同居人の楽人を成田凌が演じ、風変わりなアパートを舞台に、そこに暮らす住人達や彼らを取り巻く人々による群像劇が繰り広げられる。玉木宏主演で映画化された『殴者 NAGURIMONO』の原作者である、かなた狼が今作品で初監督を務める。
出演:井浦新、成田凌、紗羅マリー
(R15+)
※3月24日(土)~4月5日(木)期間限定上映
素敵なダイナマイトスキャンダル(138分)
幼い頃に、母親が隣家の息子と不倫の末にダイナマイト心中を遂げるという壮絶な体験をした末井昭。高校を卒業してから町工場へ集団就職するもののすぐに退職し、その後キャバレーの看板描き、イラストレーターを経て雑誌業界へ足を踏み入れる。やがて写真家・荒木経惟も参加し編集長として雑誌を創刊するが、軌道に乗ったのも束の間、わいせつ文書販売容疑で発禁となってしまう。
伝説の雑誌「ウイークエンドスーパー」や「写真時代」などの編集長として知られる末井昭の自伝的エッセイを映画化。幼少期に衝撃的な体験をした青年が、やがて伝説の雑誌編集者と呼ばれるようになるまでの波乱の半生を描く。主人公の末井昭を柄本佑、母・富子を尾野真千子が演じ、監督は長年今作の映画化を熱望していたという冨永昌敬が務める。
出演:柄本佑、前田敦子、三浦透子
(R15+)
ピンカートンに会いにいく(86分)
かつてブレイク寸前で解散した伝説の5人組アイドルグループ「ピンカートン」。リーダーだった優子はその後も20年間女優として活動していたが、売れないままプライドだけが肥大し、立派な”こじらせ女子”になっていた。ある日、優子の元にレコード会社の松本と名乗る男から連絡があり、「ピンカートン」再結成を提案される。所属事務所もクビになり、気づけば人生半ばで崖っぷちだった優子は松本の誘いに乗り、一緒に元メンバーに会いに行くことに。ところがメンバーのうち3人はすでに芸能界を引退しており、あまり乗り気ではない様子。更に一番人気だった葵の行方がつかめず、彼女を探して知人たちの元を訪ねる2人だったが…。
『東京ウィンドオーケストラ』、『エキストランド』の坂下雄一郎監督のヒューマン・コメディ。誰もが感じる過去へのわだかまりや後悔を痛々しいほどリアルに表現し、恥を捨てて人生の再起に挑むアラフォー女子の大勝負を描く。
出演:内田慈、松本若菜、山田真歩
シェイプ・オブ・ウォーター(124分)
1962年、冷戦下のアメリカで、イライザは政府の極秘研究所で清掃員として働いていた。あるとき彼女は、研究所へ秘密裏に運ばれる不思議な生物を目撃する。アマゾンで神のごとく崇拝されていたという、その不思議な生き物、“彼”に魅了されていくイライザ。彼女は他の者に見つからぬよう、密かに“彼”に会うようになる。幼い頃のトラウマで声が出せないイライザでも、“彼”とのコミュニケーションには言葉は必要なく、2人は心を通わせていく。しかしイライザは、いずれ“彼”がある実験の犠牲になることを知り――。
『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロが、監督・脚本・製作をすべて自身で手がけた、ファンタジーラブストーリー。第74回ベネチア国際映画祭では、金獅子賞を受賞し話題をさらった。主演のイライザを『ブルー・ジャスミン』のサリー・ホーキンスが演じる。
出演:サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス
(R15+)
★第90回アカデミー賞(R)<作品賞><監督賞><作曲賞><美術賞>最多4部門受賞!
The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(93分)
南北戦争期のアメリカ南部にある、世間から遠く離れた女子寄宿学園。そこに負傷した北軍兵士の男・マクバニーが現れ、学園の女性達に介抱される。マクバニーは、彼女達に対して紳士的な振る舞いをするだけでなく、その美しい容姿も持ち合わせ、全員が心を奪われていく。しかし彼女達は徐々に、情欲と恐ろしい嫉妬心に支配されるようになる。自分の身にも危険を感じたマクバニーは、寄宿舎を脱出しようと試みるも、この行為が女達の憎悪をより一層描き立ててしまい・・・。
『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア・コッポラが、過去にクリント・イーストウッド主演で映画化された『白い肌の異常な夜』を、新たに女性目線でリメイク。主演は『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』でも共演するコリン・ファレルとニコール・キッドマンが務め、ソフィア・コッポラ監督の過去作『ヴァージン・スーサイズ』のキルスティン・ダンスト、『SOMEWHERE』のエル・ファニングも共演している。
出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、エル・ファニング
(PG12)