組織的天下り問題で文部科学事務次官を引責辞任した前川喜平氏(63)が、2月に名古屋市の公立中学校で行った授業内容を自民党議員が文科省に照会、同省が市教育委員会に問い合わせたとして騒ぎになった。その2日後に前川氏が同市内の私立高校で行った講演について参加した高校生から不満の声があがっている。講演時間の半分以上が「安倍政権批判」に終始していたというのだ。

 前川氏は2月16日、名古屋市立八王子中学校の授業で講演を行ったが、18日には同市内の私立高校で開かれた「第25回授業改革フェスティバル」にも参加していた。

 体験授業や展示など多くの課外授業のトリを飾ったのが、前川氏や、ゆとり教育を推進したことで知られる元文科官僚の寺脇研氏(65)らによる講演だった。

 パンフレットには「これからの日本と教育、そして私学の進むべき道を徹底討論する」とあったが、参加した高校生によると、約2時間のうち前川氏が半分の1時間を使って講演したが、持ち時間の半分以上は、加計学園の獣医学部新設問題について「いまの首相が一個人として、とある学園の理事長に斡旋(あっせん)利得をはたらいた」「細かな情報が官僚だった頃に内部で噂されていた」などと発言、名指しこそしなかったものの安倍晋三首相批判を繰り返したという。行政や教育の取り組みについては「取って付けたような内容だった」。

 政権批判が続いたため、「隣同士で話す生徒や、最前列で寝ている生徒もいた」。また、高校生のための講演だったはずが、「出席した多くは教職員や一般人だった」という。

 高校生は「正直、時間の無駄だった」と感想を述べた。

 前川氏の動向に詳しいとして話題になったツイッターの匿名アカウント(現在は非公開)は《八王子中学校で生徒たちに話ができたのは楽しかった》《18日の授業フェスでは、言いたい放題言わせてもらった》とつぶやいている。