最近, web 上で, ある数学書につき, ある読者の方が,
『私との合作である. 』
という趣旨の発言をされており, その発言に対し,
『その数学書がその読者との合作であるという事実はない』
という反論のコメントがなされているのを発見しました.
その反論に対し, その読者の方は,
『デマを撒き散らすのをやめてください. 何なら, 出版社の
A 社に確認を取ってください.』
と, さらに反論.
これはこのままでは泥沼化するのではないかと思い,
また, その数学書も, 今は亡き K 先生の, T 大学での講義に基づいた,
解析学の優れた教科書であるとの評価も目にしていたこともあり,
僕は版元の A 社に, 今日, 電話で確認を取りました.
以下に述べることは, 出版社の A 社の編集長のご説明, そのままです.
版元の A 社の編集長の話によると,
『その数学書は, 100%, K 先生の著書であり,
他の誰かとの合作であるとか, 共著であるとかいうことはありえない.
その数学書の内容は, その読者とは無関係である.』
というお話でした.
また, 出版の世界では, 合作と言ったら, 『共著』を意味するそうです.
さらに, その数学書は, 著者の K 先生が亡くなられていることもあり,
今後版を重ねるにあたって, 出版社の方では書き換えを行うつもりはない,
というお話も伺いました.
編集長によると,『合作』の噂については, 実は事情があり,
ある一人の読者の方が, その数学書を大変愛読されており,
その出版社 の A 社に, 誤植の訂正などと称する手紙を
100通以上送りつけており, また,
A 社は, その熱心な読者の方から,
『俺の名前をその数学書に載せろ』
とか
『俺のことを序文で書け』
などの書き換えの要求を再三に渡って受けてきたこともあり, 編集長としては,
『その読者の方が愛読してくださるのはいいのですが,
また, こちらも読者の方が手紙を送ってくること自体は
拒否できないものですから, うちでも対応に困っているんですよ.』
とのことでした.
編集長は,
『その読者の方は, 自分の気に入るように K 先生の本を
書き換えないと気が済まないんですよ.』
と, あきれた様子でおっしゃっていました.
『合作』の噂も, この事情から発したものです.
ただ, 編集長さんは,
『その数学書は, 現在では新訂版となっていますが,
今後版を重ねるにあたって, うちでは書き換えは一切行いません.
それは 100%, K 先生の著書ですから, 安心してお買い求めください.』
とおっしゃっていました.
僕も月末に, 収入がありますので, 購入する予定です.
それにしても, はあ~~, こんな読者もいるんですね.
困った世の中になりました.
その読者と思しき人物が, 数学について発信している内容を
僕は見たことがありますが, 基本がわかっていないというレベルの
間違いが至る所にあり, この読者の言うとおりに K 先生の著書を書き換えたら,
大変なことになるであろうと思われます.
このような読者の理不尽な要求を水際で食い止めている,
版元の A 社の対応には, 頭が下がる思いです. また, 一般の善良な読者の方たちに申し上げますが,
(もちろん, 普通の方達はわかってらっしゃると思いますが, )
数学書は論理構成がデリケートですから, 書き換えの要求を,
むやみやたらと, 出版社の方になされないでください.
出版社の方でも, 著者が故人であったりすると,
完全に専門の方が常時チェックしているわけではないので,
対応に困るだけです.
このような事情があったので, あえてこれを記事にし,
数学専攻の学生のみならず, 数学を愛好されている読者の皆さま方に,
上記の点をお願い申し上げる次第です.
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