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【芸能・社会】

帝王カラヤン、神対応 77年の世界初サイン会 秘蔵写真発見

2018年3月24日 紙面から

銀座山野楽器で行われたカラヤン(右中央)の世界初のサイン会。カラヤンの左は娘のイザベルさん、右はアラベルさん=1977年11月11日

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 世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルを33年間率いた“帝王”ヘルベルト・フォン・カラヤンの生誕110年に当たる今年、1977年に来日した際の秘蔵写真が見つかった。東京・銀座山野楽器で世界で初めて行ったサイン会のショット。「握手とサインはしない」と言われていたマエストロが、ファンに神対応。関係者を驚かせた。

 写真は、山野楽器の倉庫に埋もれていた。社員が整理していた段ボール箱を開けたところさまざまな紙焼き写真が出てきた。クラシック担当だったため、すぐにカラヤンと分かったという。全部で36枚あった。

 当時69歳のカラヤンは、イザベルさんとアラベルさんの2人の娘を同行。大阪で5回、東京で6回の公演を行った。会見も行われたが、この時、ベートーベンの新交響曲全集を購入した人の中から抽選で当選した100人を対象にサイン会が企画されていた。

 親日家としても知られていたが、ファン向けのイベントは皆無だったため注目を集めていたという。サイン会が行われたのは11月11日。30分ほど遅れて山野楽器に到着したカラヤンは、笑顔を見せながらも黙々とペンを走らせた。そのうち抽選にもれながらも、一目カラヤンを見たいという人たちが続々店内に。「あの人だかりは何だ」と尋ねるカラヤンに、店長が事情を説明すると、「時間の許す限り一人でも多くサインしたい」とサイン会は続行され、追加で約100人が幸運に恵まれた。サイン会は翌日も行われ、約300人がサインをもらった。

 銀座山野楽器では、カラヤンの誕生日の4月5日と6、14、15日に当時の貴重な写真などのパネル展を開催する。

カラヤンがカタカナで自筆したサイン

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◆銀座山野楽器 来月パネル展

 パネル展初日の5日午後7時から、タレントふかわりょうのトークイベントが銀座山野楽器で開かれる。中学時代にカラヤンに出会った熱い思いなどを語る。また、究極ベスト「パッヘルベルのカノン~カラヤン超定番ベストpremium」(税別2000円)のほか名盤の高音質盤、廉価盤DVDなどが続々発売中だ。

<ヘルベルト・フォン・カラヤン> 1908年4月5日、オーストリア・ザルツブルク生まれ。兄の影響で3歳半からピアノを弾き始め、神童と言われるが、ホロヴィッツ、アラウらにはかなわないと指揮に転じる。29年ドイツ南部の小都市ウルム市立劇場でキャリアをスタート。54年に単身来日してN響を指揮。55年にベルリン・フィルの芸術監督に就任、以後9度の来日ツアーを行った。小澤征爾と師弟関係にあったほか多くの日本人音楽家とも交流。スポーツカーマニアだったほか自ら操縦かんを握って航空機を操った。飛びきりの美意識と完ぺき主義で知られる。サントリーホールの設計にもかかわった。89年7月16日没、81歳。

 

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