頑張れ!頑張れ!ヒキガエル

段々と暖かさを感じる様になってきましたが
皆さんの周りで「あ!春が来てる」と感じるような発見はありますか。
今日は春が来てる!と感じた生き物のお話です。

89Tamago.jpg

一軒家の多く建つ目黒の住宅街に住んでおられる友人から、春を告げる便りがありました。それは今年もヒキガエルが池に卵を産みにやって来たというものです。
早速見に行きました。その池は住宅に囲まれた庭の一角につくられた1m×2m位の小さな池でした。
覗き込むと何十匹ものヒキガエルの雄たちが、数少ないヒキガエルの雌を奪い合い、雄に抱きつかれた雌が池の中で産卵をしていました。
ゼリー状の透明な直径約1cm位の管が何本も水の中に見えます。

管の長さは1m以上あり、その中には真っ黒な色をした直径約2mm程の卵が
規則正しく並んで入っています。
調べましたらなんと卵の数は、1,500個から8,000個位入っているとの事です。
家の前の道路では、車にひかれたヒキガエルがあちこちにいました。
数少なく貴重な場所となったこの池に、遠くの庭から産卵を目指して
移動している最中に、車にひかれたものと思われます。

このヒキガエルは通称ガマガエルとも呼ばれて昔から親しまれていますが、
皆さんが多く目にするのは関東中心に分布するアズマヒキガエルと
関西以西に多く分布するニホンヒキガエルです。

89Azuma.jpg

面白い習性がこのヒキガエルにはあります。
産卵を終えると、カエルたちは元いた庭の土の中や石の下にもぐり、また眠りについてしまうのです。
これを「春眠」と呼んでいるそうですが、再び目を覚まして出てくるのは桜シーズンが終わり若葉も伸び始め、ヒキガエルの餌となる様々な昆虫が数多く飛び始める4月下旬から5月中旬の暖かくなった頃なのです。
熱烈な恋の後は余分なエネルギーを使わずに一眠りして、餌が多くなるまで休んでいようという事でしょうか。

89Otama.jpg

産卵された卵は6日目位で小さなオタマジャクシになり、およそ1ヶ月ほどで体長約2cm位になります。
池の中で一生懸命餌をとって動いている様子を見る事が出来ますよ。

やがて5月の中頃、体長が7~8ミリほどにまで成長したオタマジャクシは子ガエルに変身し、6月初旬のある日、一斉に池から上陸して何処かに行ってしまいます。
本当に不思議なのですが、昨日までいっぱいいたはずのカエルの子が、ある日一斉に姿を消してしまいます。

道路では車にひかれた子ガエルの死骸がいっぱい見られる事もあります。
資料によりますと、1年間に生き延びる事が出来るのは
全体の約3%ほどでしかないという事です。
車が多くなり、池が少なくなり、庭がある家すら少なくなっている今日、
この頑張っているヒキガエルの親や子ども達に「頑張って!頑張って!」
と声援を送りたくなります。
皆さんももし見つけたらそっと安全な場所に移動して助けてあげて下さいね。

2011年3月16日 11:25 | | コメントを読む (0) | コメントを書く